マダニ感染症 野外活動では肌の露出避けて

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

野山でのキャンプなどだけでなく、庭の草むしりの際にも咬(か)まれて感染する恐れがある。
致死率が高く油断できない。
マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者が増えている。今年は今月3日までに124人の感染が報告されており、すでに、過去最多だった2023年の年間134人に迫る勢いだ。
SFTSを媒介するマダニは野山や草むらに生息している。目に見えないような小さなダニと異なり、体長は数ミリ程度ある。
このウイルスは、11年に中国で最初に見つかった。日本では13年に初めて確認され、近年は国内の感染者が毎年100人を超えるようになっている。
発熱や嘔吐(おうと)、下痢などの症状があり、血液中の血小板が減少するという特徴もある。重症化すると出血や意識障害を起こす。致死率は3割とも言われている。
感染者の大半が60歳以上だ。体力の低下した高齢者は重症化するリスクが高く、感染しないよう特に気を配らねばならない。
これまでは西日本での感染者がほとんどだったが、先月以降、神奈川県内や北海道内でも感染例が確認された。東日本にも感染のリスクが拡大していることは、もはや間違いないだろう。
国や自治体は、感染動向を分析してきめ細かく情報発信し、注意喚起してもらいたい。
SFTSに感染すると、6~14日の潜伏期間がある。発症した場合は医師の診察を受ける必要がある。治療は解熱剤などの対症療法のほか、インフルエンザに使う抗ウイルス薬が承認されている。
重要なのは、マダニに咬まれないよう対策を講じることだ。
夏休みでアウトドアを楽しむ際には、長袖や長ズボンなど肌が露出しにくい服装をしたい。首にタオルを巻いたり、虫よけ剤を使ったりすることも有効だ。
マダニが皮膚に付いているのを見つけた場合、無理にはがすとマダニの体液が流れ込む恐れがあるため、注意が必要だ。皮膚科で取り除いてもらうのが望ましい。
犬や猫がダニから感染する例も確認されている。感染したペットに触れた人にうつるリスクもある。猫を自由に外出させて飼っている人は気をつけてほしい。
今年5月には、SFTSの猫を治療した三重県内の獣医師が、感染して死亡している。体調を崩したペットに触れるような場合には、手袋やマスクの着用といった感染対策の徹底が欠かせない。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。