「東大合格は誰でもできる」偏差値35から逆転合格した男が伝えたいこと

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東京大学といえば、日本最難関クラスの大学。そこに通う学生の多くは、小さなころから塾通いをして名門中高を通ってきた、いわゆる「エリート」たちです。
しかし、それがすべてではありません。一部には、まったくエリートらしからぬ道筋をたどって東大に合格した学生もいます。ここでは、元落ちこぼれや休学経験者など、「普通の東大生」らしからぬ道を辿って東大へ入学した、みなさんの知らない「リアルな東大生」の姿をお届けします。
◆現役学生の傍らで社長業に奔走
今回も、前回に引き続き西岡壱誠さんにお話を伺います。前のインタビューでは、成績不良から小学校でいじめにあっていたこと、中学高校も同じくいじめられっ子として過ごしてきたこと、そして、高校生になって、そんな状況でも恩師との出会いから東大を目指したことなどを伺いました。
そんな西岡さんも、今では現役学生としての学業の傍らで、会社の社長として、日夜働き続ける立派な社会人としての一面を併せ持つ傑物に。いったいどうして、起業に至ったのでしょうか。今回は、一般的な東大生らしからぬ道を選択した「元落ちこぼれ」のその後の様子を聞いていきましょう。
「僕はもともと偏差値35のいじめられっ子です。そんな状態から合格した人間は、普通の東大生たちが進むような道を行くのではなく、自分らしい道を進みたいな、と思ったのです」
◆英語のテストは100点満点中3点だった
たしかに、筆者の周りも含めて、東大生の多くは有名企業に就職したり、官僚になって国で働く人が多いです。自分で起業して新しく何かをしようとする人は少ない印象を受けます。普通の東大生がしない経験をしたからこそ、普通の東大生が選ばない選択をしているということなのでしょう。では、その「西岡さんらしい道」とはどのようなものなのでしょう?
「無論、『僕なんかにできたんだから、君たちにもできるよ』というメッセージを伝えることです。僕は、偏差値35のいじめられっ子で、英語のテストが100点満点中3点で、中学生時代には成績が悪すぎて3時間も三者面談をすることになり、高校になっても学校の選抜クラスには入れなかった。そんな僕でも東大に合格できたんだから、みんなにもできることがあるんじゃないの?と」
世の中の多くの学生よりも「できなかった」西岡さんだからこそ、言葉は悪いですが、「自分ごときに」できたことなら、「自分よりもできるはずの人たち」にもできるのではないか、ということを伝えているのだそうです。
◆逆転合格した東大生は一定数いる
筆者も、東大を目指すのが大変な状態から東大受験をした人間なので、気持ちはよくわかります。「困難な状況にいた自分にできたのだから、多くの人もチャレンジすればきっとできる」というメッセージを発信することで、多くの人に「自分でもできるかもしれない」と思ってもらえるようになってほしい。それは筆者も同じモチベーションを持っているので、共感できる部分が多くあります。 「東大に合格して驚いたのは、実は僕なんて全然特別じゃなくて、逆転合格した東大生というのは一定数存在するということです。『その状態から東大を目指すのは難しいんじゃない?』と周りから言われていた状態から東大に逆転合格した人というのは、実は知られていないだけで、結構いるんです。僕が見てきた中でも偏差値37から合格した女の子、周りに誰も東大志望がいない状態から東大に合格する男の子、家族の問題を抱えながら東大に合格するなんて人もいました。そんな彼ら彼女らとともに、メッセージを届けていくことが、僕が今後やっていきたいことなんです」

東大というと、「エリートしかいけない」「小学校から勉強漬けじゃないと合格できない」というイメージばかりが先行して、西岡さんや僕のような「逆転合格した東大生たち」があまり取り沙汰されていない面があります。筆者も学校現場に行って指導することも多いのですが、「東大なんて、元々頭がいい人しか行けないんでしょ?」と多くの人が考えていて、戦う前から諦めている学生が多いことに驚かされます。
そんな中で、西岡さんは、現在そうした逆転合格した東大生たちとともに、全国の学校に訪問して講演活動を行ったり、そのコンテンツを出版する活動を行っています。それはたしかに、「西岡さんにしかできない」活動だといえるかもしれません。
最後に西岡さんは、こんなことを言っていました。
「別に勉強じゃなくてもいいんです。部活でも課外活動でも、なんでもいい。自分のやりたいことをやって欲しいと思います。とはいえ、僕は、僕の経験として、『東大に合格するということは、誰でもできることである』ということは証明しておいたと思っているので、『少なくとも勉強においては東大にはみんな合格できるよ』と伝えているんですよ」
多くの学生が、西岡さんを見て「自分も東大にいけるかもしれない」と感じるようになるといいと思います。<文/布施川天馬>

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