マンホール転落事故 元警察関係者が語る「高濃度硫化水素」恐怖の猩∈伸

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埼玉県行田市で下水道の点検作業を行っていた男性作業員4人が2日、マンホールに転落し死亡する事故が起きた。作業開始時点では労働安全衛生法に基づく硫化水素の基準値10ppm以下だったが、事故後に消防が下水道管内を測定したところ最大80ppmの硫化水素が検出されたという。
硫化水素は温泉、マンホールでの事故、集団自殺などの際に問題となる有害な気体。一度に複数の中毒死による死者が出ると、硫化水素が原因であることが多い。
硫化水素は空気より重い無色の気体で、腐卵臭がする。自然界では火山や温泉地帯の地下から発生する。今年2月、福島県高湯温泉で、3人が温泉の源泉管理のために山に入って死亡する事故があったばかりだ。
マンホールでは、下水中の有機物が嫌気性条件下で分解される際に硫化水素が生成されることがある。特に夏場、水温が上昇すると微生物の活動が活発になり、硫化水素を生み出す硫酸還元菌も活発になり、発生量が増加する。
強力な洗浄液などを混ぜることで生じる化学反応によって、人為的に発生させることもできる。かつて硫化水素による自殺および集団自殺、そして知らずにその場所に近づいた人が吸い込んでしまう2次被害が社会問題となった。
元警察関係者は「硫化水素は濃度が高くなると中毒死につながります。吸い込むと呼吸障害を引き起こし、濃度が高い場合は数回呼吸しただけで卒倒します。怖いのは、硫化水素は低濃度だといわゆる卵の腐ったようなにおいがしますが、高濃度になると嗅覚を侵され、臭気を感じなくなるのです。そして重いのでどんどんたまり、拡散する。倒れた人がいたとして、助けようとかがむと、助けようとした人も倒れるのです」と語る。
作業の際は、ロープで測定器を下ろす。今回の事件で行田署は、安全管理が十分だったかどうか、業務上過失致死の疑いも含め捜査するという。

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