準絶滅危惧種の海鳥、野生化したネコが年3万羽以上捕食か…世界最大の繁殖地・御蔵島で

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されている海鳥「オオミズナギドリ」が、伊豆諸島・御蔵島(東京都御蔵島村)で野生化したネコ(ノネコ)に年3万羽以上捕食されているとの推計結果を、森林総合研究所などのチームが発表した。
御蔵島は、ほぼ全域が国立公園に指定されており、チームは「国や都は捕獲対策を強化すべきだ」と訴える。
オオミズナギドリは東京都心の南約200キロ・メートルの御蔵島を世界最大の繁殖地とする渡り鳥だ。1970年代後半は島内に175万羽以上いたと推計されていたが、2016年は約10万羽に激減。IUCNが18年、準絶滅危惧種に指定した。
警戒心が低く、島で繁殖したノネコに捕食されていたことは以前から知られていたが、詳細は不明だった。チームは昨年1~3月、ノネコのフンを調査し、含まれる羽根や骨の量などから1匹が年330羽捕食していると推計。村などが22年度に捕獲したノネコは計106匹だったことから、捕食数は少なくとも年3万4980羽に上ると予測した。
従来、繁殖で島に戻るのは3月以降と考えられていたが、今回の調査で1月には帰島しており、捕食被害が過小評価されていた実態が判明した。調査した亘悠哉・森林総研チーム長(島嶼(とうしょ)生態系保全)は「ノネコの捕獲や保護のための人手と機材がさらに必要だ」と話す。
伊澤雅子・琉球大名誉教授(動物生態学)の話「想定より早く捕食される状況が分かったことは、対策を考える上で重要な成果だ」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。