近年、「女性の性」をテーマにした報道や作品が増えている。朝のテレビ番組では「セルフプレジャー」の特集が組まれ、大手出版社が「女性用風俗」のマンガを発売。今年4月には、「ハプニングバー(通称ハプバー)」を舞台に女性の“性の秘密”を描いたマンガ『今夜、ハプニングバーで』がKADOKAWAから刊行された。
【衝撃マンガ】10歳上の夫と結婚1年目で“レス”→夫公認で不倫→いろんな男性と“男女の関係”に…経験人数800人の女性・あぐさんの“セクシーすぎる素顔”を見る
同作の原作者・あぐさんは、実際にハプバーで働いた経験を持つ。元夫とのセックスレスがきっかけでハプバーに行くようになり、その後、常連客を経てスタッフになったという。
いったい、ハプバーとはどんな場所なのか。そもそもなぜ、あぐさんはハプバーに行くようになったのか、本人に話を聞いた。(全2回の1回目/2回目に続く)
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――あぐさんは以前ご結婚されていた時、セックスレスに悩んでいた時期があったそうですね。
あぐさん(以下、あぐ) 交際中は普通に夜の営みがあったんですけど、結婚してすぐになくなってしまって。結婚が決まって元夫が住んでた土地に移住をしたので、そもそも環境に慣れるのとか、新しい仕事を始めるのにお互い忙しかったのも理由のひとつにはあります。
結婚して2年くらい経った頃に「あれ、もう2年もしてないな」と気づいて。何かしら行動しないと、と思ってたどり着いたのが、当時のTwitter(現X)でした。
――元パートナーはどんな人だったのですか。
あぐ 彼は10歳ぐらい上の人で、結婚した時は40歳手前ぐらいでした。昭和っぽい価値観の人でしたね。
「家族になったら、性交渉は子作りのため以外に必要ない」「そういうことは抜きにして、家族になっていきましょう」という考えを持っていたんです。
あと、女性に性欲があるなんて信じられない、とも思ってるタイプでした。
――「性交渉は子作りのため以外に必要ない」と言われた時はどう感じましたか?
あぐ ショックでした。彼がその考えに至るまでに、何度か夜の営みについて話し合ったことはあったんです。それでも、彼の考えは変わらなくて。だから、今さら何を言われても驚かないぞ、という諦めみたいな気持ちもありましたけど。
――あぐさん自身は、お子さんがほしいと思っていた?
あぐ 当時はほしかったです。ただ、彼は妊娠しやすい日に狙いを定めて、子作りをしましょうって感じで。私は新婚モードでいたかったので、少し抵抗があったんです。結婚していきなり妊活モードになるのは違うなと。
――先ほど、レスになって2年くらい経ってからSNSアカウントを開設したとおっしゃっていましたね。
あぐ そうです。まずレスになって1年くらい経ってから、自分に性欲があることを自覚したんです。
10代の頃は男性に求められたらそれに応じるという感じで。経験人数は800人くらいいたんですけど、自分からしたいと思ったことはなかったんです。結婚してレスになってから初めて「あ、私、したいんだ」と気づきました。
それから、同じようにレスで悩んでいる人の愚痴を聞いたり、繋がったりできるんじゃないかと思って、Twitterでいわゆる「レス垢(レスに悩む人が使うアカウント)」を始めて。
そこで初めてセックスレスで悩んでる女性たちと出会って、「女性にも性欲があっていいんだ」ってことを知りましたね。当時は20代後半くらいだったので、かなり遅咲きだと思いますけど。
――SNSではどんな情報を得ていたんですか?
あぐ それまで知らなかった性に関する情報をたくさん教えてもらいました。たとえば、女性は道具とかを使って自己開発したら、気持ちよくなれるとか。そういう情報をもとに自分でもやってみたら、快感を得るという部分を追求していくのは楽しいなって思うようになって。
あと、同じ悩みを持つフォロワーの女性と実際に会うようになりました。話を聞いたら「パートナーとはセックスレスだけど性の部分は外で発散をして、家庭を円満に維持してる」という方がわりと多かったんです。それを聞いて「そういうやり方もあるんだ」と世界が広がった感覚でしたね。
――自分も外で性欲を発散したいと思うように?
あぐ そうですね。身近にやってる人がいるんだって知ったら、自分もやってみたいなって。それで元夫に、「あなたがしないなら外でしてきてもいいですか」と話し合いを持ちかけました。
元ハプバー店員のあぐさん。SNSでは、エロ垢界のカリスマ的存在となっている 細田忠/文藝春秋
――元夫はどんな反応でしたか。
あぐ 最初はイヤそうでしたけど、話し合いを重ねて。最終的には「致し方ない、いいよ」と言ってもらえました。そこからいろんな男性と会って、性行為をするようになりましたね。
――いわゆる“公認不倫”という形ですね。
あぐ 不特定多数の男性と関係を持つようになって、そのタイミングで初めてハプバーにも行くようになりました。ただ結婚中はそこまで通ってなくて、離婚してから本格的に通うようになりましたね。
――パートナー以外の男性と関係を持つようになって、レスの悩みは解決しましたか?
あぐ 性欲という部分では満たされました。レスになって自己肯定感も下がっていたので、行為をする時に相手が褒めてくれるのが心の支えにもなっていましたね。ただ相手の男性にとって、私は恋愛対象ではないので、その場限りの優しさだったりもするんですけど。
――“公認不倫”とはいえ、罪悪感はなかった?
あぐ 最初は女性の快感を突き詰めていくのも楽しいなと思っていたんですけど、一通り好奇心が収まってくると、今度は罪悪感が芽生えてきましたね。
許可を得たとはいえ、夫の本心が嫌なのはわかってるので、後ろめたくて。「ああ、私は不倫には向いてないな」と思って、結婚生活をやめる決断をしたんです。でもすぐには離婚できなくて、“公認不倫”をするようになってから2~3年は結婚生活を続けていました。
――なぜすぐに離婚しなかったのですか?
あぐ セックスがなくても、彼のことは好きだったんですよね。それに彼も、関係を改善しようと努力を見せてくれる場面がチラホラあったんです。
――どんな努力をしてくれたのでしょうか。
あぐ 彼は普段あまり出かけるタイプではなかったのですが、「場所を変えてみよう」と言って、ちょっといいホテルに2人で行きました。ホテルのバスタブにバラを浮かべて、まず一緒にお風呂に入ってみようと頑張ってくれたんです。
でも、いざ行為をするときには、「照れるね」となってしまって……。それに、行為が数年ぶりだったのもあったのか、緊張して彼が勃たなかったんです。
彼は女性が積極的に行為をするのを嫌がるタイプで、「女たるもの淑やかに」という考えの人だったから、私がリードして勃たせてあげるというのもできなくて。結局、未遂で終わってしまいました。
――チャレンジしてみたけど、上手くいかなかったんですね。
あぐ 彼の努力する姿を見たときに、「あ、もう解放してあげなきゃいけないんじゃないかな」という思いが強くなりました。「セックスがないと嫌だ」という私の価値観を、この人相手に貫かなくてもいいんじゃないかって。それで離婚を決意したんです。
――離婚した時は、どんな心境でしたか?
あぐ 離婚届を出す時は、彼と「最後だし仲良く行こう」と話して2人でルンルン気分で役所に行きました。婚姻届を出しに行くくらいのテンションで。
離婚直後もそのテンションでなんとかなってたんですけど、1~2ヶ月くらいして別々に住み始めてから、急に空虚感が襲ってきたんですよね。やっぱりわたしは彼のことが好きだったんだな、寂しいな、って思いましたね。
――急にひとりになると、寂しくなりますよね。
あぐ 離婚して心機一転、引っ越しをしたんですけど、友達もいないし、土地勘もないし……。どうやって過ごそうかと悩んでいる時に、家から通える範囲にハプバーを見つけて。
ハプバーに行けばとりあえず話す相手はいるし、運が良ければセックスもできるかなと思ったので、そこから通うようになりました。
〈「さっきは俺とシてたのに、次は別の男とヤってる」“特殊な環境”で男女がカラダの関係を…元ハプバー店員の女性が語る、ハプバーの知られざる実態〉へ続く
(桃沢 もちこ)