「赤ちゃんの頭のゆがみを矯正するヘルメットを見ると、身構えてしまう」といったX投稿が議論になった。ヘルメット治療は、主に出産時や乳児の寝る向きなど、圧力的な要因で生じる頭のゆがみを改善するものだ。治療に対しては肯定派がいる一方で、「親のエゴだ」などの批判も出ている。
【映像】ヘルメット治療している赤ちゃん(実際の映像)
ヘルメット治療以外にも、近年は子どもが小さいうちから、親の主導で歯科やくせ毛の矯正、二重手術などのプチ整形を行うケースも増えている。この状況に「高須クリニック」名古屋院の高須幹弥院長は「親が自分の子どもを否定することになる」と警鐘を鳴らす。
親主導の整形や矯正は、ルッキズムの押しつけなのか。『ABEMA Prime』では、高須氏とともに考えた。
「ルッキズムだ」との声に対して、高須氏は「頭の形が左右非対称の赤ちゃんは、一定数いる。出産の過程や、子宮内での変形、寝る向きによっても変わる。母親が責任を感じて、『治してあげたい』となる気持ちはわからなくもない。大人になってからでは治せないため、その時に後悔するならとヘルメット治療を行う。外科手術ではなく、数カ月間のヘルメット治療で治るのであれば、やってもいいと思う」と語る。
元「でんぱ組.inc」でタレントの最上もがは、「子どもが0歳の時、ブログに『ヘルメットをするか』『頭の形が気になっているが、治療は調べたか』といった質問が、よく届いた」と振り返る。「頭蓋骨のゆがみで、血流の悪さからの頭痛や、かみ合わせの悪さにつながるのであれば、先に改善しておいた方が楽だとは感じた。ただ、どこまでが大丈夫な範囲かは、個人ではなかなか判断が付かないだろう」。
ゆがみによる健康上の問題について、高須氏は「左右非対称の場合、問題が起こることがある。頭蓋骨の片側が盛り上がり、片側がへこんでいると、目や耳の高さ・大きさに左右差が出る場合もある。顔全体がゆがみ、かみ合わせにも影響が出る」と説明する。
他方で「軽い絶壁ぐらいなら、髪形などでカバーできるため、個人的にはヘルメットをしなくてもいいと思う」とも話す。「早いうちであれば、大きな左右非対称にも対応できる。大人になって子が心を悩ませるなら、ヘルメットで左右差を治すのはありだろう」。
高須氏によると、「日本中の若者が“外見至上主義”になっている。外見と学歴の至上主義が加速すると、勝ち負けの競争になり、若者は不幸になる。イケメンやカワイイ女の子はいいが、劣等感を覚える人が不幸だ。SNSやインフルエンサーの影響で、自撮りと周囲を比べて、顔の大きさや、腕や足の太さに過剰に悩んでいる若者は多い」のだそうだ。
顔面には“黄金比率”があり、「美容整形は黄金比率に向けて手術するのが原則だ」としつつ、「二重の幅の広さなど、流行りの顔もある」と話す。「鼻では最近、軟骨を鼻先に移植する“ピノキオアップノーズ”が流行している。しかし10年、15年たつと、ダサくなってしまう」。
美容外科医として20年以上の経験から、「昔では気にしなかったことを、気にする若い子が多い。スマホで自撮りして、『笑ったときに頬がふくらむのが嫌だから、脂肪を取りたい』『アゴを引いて写真を撮ると、二重アゴになる』などと気にする。最近では“写真ガー”がすごく増えた。カウンセリングの時に、『写真を撮ったときの顔が嫌い』と言う人のことだ」と解説する。
まぶたについて、高須氏は「日本人は本来、7割が一重。生まれつきや成長過程で二重になる人は3割だが、若い女の子はほとんど二重だ」と明かす。「いまや中高生でも、ほとんどの子がアイプチやアイテープで二重にしている。学校に行く前に、毎朝何十分もかける。ノリでまぶたがかぶれて、『それならプチ整形しよう』と母親が娘を連れてくることも多い。それだけ二重でないといけない風潮になっている」。
これに最上が、自身のエピソードを重ねる。「私も一重気味で、つけまつげで押さえると、目を開けたときにパッチリ二重になって安心していた。みんな小中学生から気にし始めて、小学生ではアイプチができないが、中学になるとやり始める。でも、いま思うと『二重はカワイイ、一重はキツい』という基準は、確かに不思議だ。そこにはテレビなどの影響も大きいのだろう」。
(『ABEMA Prime』より)