【竹輪 次郎】凶悪マフィア「JPドラゴン」のボスを逮捕した五十路ジャーナリストの【渾身ルポ】確保の瞬間、現場で飛び交った「恐ろしすぎる怒号」

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前編記事『詐欺で20億円を荒稼ぎしたフィリピンの凶悪マフィア…!五十路ジャーナリストの気迫ルポ「JPドラゴンのボスを逮捕したのは私です」』より続く。
貧乏ジャーナリストにとってフィリピンへの渡航費は大きい。それだけに、ミッションが失敗に終わったことは痛かった。しかし帰国間際に、信頼できる情報源からこんな話が舞い込む。
「竹輪さん、来月は吉岡の誕生日です。フィリピンでは誕生日は特別。必ずパーティを開くはずです」
諦めるのはまだ早い。筆者は次の狙いを6月4日、吉岡の誕生日に定め、再びフィリピンへ向かった。
誕生日前日の6月3日、前回同様、ジョンとともにレミを尾行した。レミが向かったのは、マニラから北に車で2時間、パンパンガ州アンヘレスという中規模都市だ。
レミは郊外の安ホテルに車を停めた。ホテルの前で張り込んでいると、別の車で幼い子供を連れた吉岡のフィリピン人妻、家政婦などが続々と現れた。
本当に誕生パーティがあるようだ。一気に緊張感が高まる。
吉岡本人の姿は確認できなかったが、ファミリーの部屋はわかった。筆者はホテルのフロントで、自分の部屋も予約。フロントのPCを覗くと、吉岡ファミリーが6月7日まで予約を取っていることもわかった。
夜7時すぎ、吉岡ファミリーがホテルから出てきた。近所の韓国料理店に入っていく。店の前で張り込みを続けて1時間半、まず、吉岡の妻が姿を見せた。余談だが、吉岡はグラマラスな女性が好みのため、発見がしやすい。
妻に続いて、レミと小学生の娘も店を出てきた。そして最後に、黒のTシャツを着た吉岡が現れた。2年以上追いかけて、初めて見る姿だった。
明日、誕生日当日はより大きなパーティがあるはずだ。私は吉岡を発見したことを、信頼できるフィリピンの捜査関係者・X氏に伝えた。
翌朝は午前7時から張り込みをスタート。ホテル周辺には、X氏が派遣したであろう捜査員の姿もある。
吉岡のドライバーが、単独で郊外のリゾート施設へ向かった。屋外に食事スペースがあり、プールも併設。ここが、誕生パーティの会場だろう。
しかし夕方になっても、吉岡ファミリーに動きはない。捜査情報が漏れたのか……不安に駆られ、X氏が以前語っていた言葉を思い出す。
「吉岡は危機察知能力が著しく高い。簡単には捕まらないだろう」
午後5時を過ぎたとき、怖がりのジョンがこんな提案をしてきた。
「リゾート施設の中に入って、予約があるか聞いてきます」
ジョンが受付で話を聞いている間、筆者は望遠カメラで周囲を見渡した。すると、黒いTシャツの男が……間違いない、吉岡だ。吉岡の写真を撮ってX氏に送信した。そのとき、ちょうどジョンも戻ってきて、こう言った。
「パーティは夜から翌朝までの予定だそうです!」
吉岡の誕生パーティは午後8時すぎにスタートした。家族のほかに友人も多く招かれていた。その裏で、リゾート施設周辺では、入管職員や国家警察が静かに待機。そして午後9時50分、捜査員がパーティ会場に踏み込んだ。
突然の逮捕劇に参加者は騒然とし、家族は泣き崩れている。筆者は捜査員とともに、吉岡に近づいた。
180センチ以上ある吉岡だが、椅子に大人しく腰かけている姿は小さく見えた。
「吉岡さん!」
捜査員に確保された吉岡に、筆者がカメラを手に声をかける。吉岡は激昂した。
「お前、何で撮るんや!」
レミ、そしてレミの兄も迫ってきた。
「カメラを出せ! メモリを消せ!」
空き缶が筆者の近くを飛び、パーティの参加者たちもいきり立っている。これ以上の取材は危険と判断し、現場を離れた。直後、X氏の部下から連絡があった。
「協力ありがとう。お前の命が危ない。今すぐアンヘレスから去れ」
ホテルから荷物を取って、急いで撤収。念のため非常口から出たので、エントランスで待ち構えていたレミとは遭遇せずに済んだ。
本稿執筆の7月15日時点で、吉岡はフィリピンの入管施設に収容されており、強制送還への準備が進められている。
ルフィの黒幕と言われ、フィリピンで悪行を尽くしたマフィアのボスは、日本の法廷で何を語るのか。最後まで、見届けたい。
こちらもあわせて読む『裏切れば警察に密告…!すでに10人ほどが殺されている…!ルフィの黒幕「JPドラゴン」の異常すぎる「暴力支配」をすべて明かす』
「週刊現代」2025年08月04日号より
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