日本時間の7月30日午前8時25分ごろ、ロシアのカムチャツカ半島近辺を震源とする巨大地震が発生した。米地質調査所(USGS)は当初、地震の規模をM8.0と発表したが、後にM8.8という規模へと引き上げた。この巨大地震は、海洋に牙をむき、広範囲に津波をもたらしている。
【写真】津波が押し寄せた、別府港近辺でボランティア活動をする尾畠さん
気象庁は、太平洋側の広範囲に津波警報を発表。岩手県の沿岸では1メートル30センチの津波が観測されるなど、各地で緊迫した状況が続いている。
この報で気にかかるのが、ひとりの男性だ。大分県の別府湾を中心に、日々黙々と清掃活動を続ける“スーパーボランティア”、尾畠春夫さん(85)はこの災害を前に、どうしているだろうか──。
尾畠さんが一躍、全国にその名を知られるようになったのは、2018年のこと。山口県周防大島町で当時2歳の男の子が行方不明になった。大勢の捜索隊が投入されるも見つけられず、日本中が固唾を飲んで見守っていた。
そんな状況下で、「おーい、よしきちゃーん」と呼びかけながら山中に入ったのが尾畠さんだ。なんとわずか30分で男の子を発見。尾畠さんが東日本大震災などでボランティア活動をしてきた経歴がメディアで紹介され、“スーパーボランティア”というキャッチフレーズと共に、日本中で知られる存在になった。
尾畠さんが現在活動する別府港にも、約10センチメートルの津波が到達した。果たして、ご無事なのだろうか。電話をかけると、受話器の向こうから、いつもの張りのある元気な声が響いた。
「おお、電話してくれてありがとう! 心配してくれたんか。わしは大丈夫よ。今日は一日中家におります。娘から『今日は父さん絶対行っちゃダメだよ』って、きつく言われてしもうてね。わしがやっとるのは、テトラポッドに潜ってゴミを拾ういう、ちょっと危ない作業だから。それに、わしがどこにおるかすぐ分かるようなやつまで持たされとるんですよ。別府にも津波が来とるし、何日間かは近づかん方がええよね」
娘さんからGPSを持つように言われているという尾畠さん。自身の安全を確保しつつ、冷静に状況を見極めるベテランボランティアとしての姿がうかがえた。今後の活動について尋ねると、尾畠さんは力強くこう答えてくれた。
「もちろん、今回の津波で被害にあった自治体からボランティアの要請があれば、すぐにでも駆けつけるつもりでいます。今はただ、被害がこれ以上大きくならんことを祈るばかりです」
レジェンドは人々の安全を願いながら、静かに、次なる出動に備えていた。