〈まじもぅ絶対殺される私。まじ警戒しないと〉(2024年12月19日21時50分)──失踪の前日、岡崎彩咲陽さん(あさひ・当時20)は友人にこんなメッセージを送っていた。LINEのやり取りを続けていたが、明朝7時20分ごろ、岡崎さんからのメッセージが突如途絶え、住んでいた祖母の家から姿が消えた。【前後編の後編。前編から読む】
【証拠写真】白井秀征被告が”不法侵入”したと思われる足あと
4か月後、ようやく所在が見つかった岡崎さんは、元交際相手の白井秀征被告(27)が住む自宅の台所の床下で“黒コゲ”の状態で放置され、亡くなっていた。男は一方的な思いからストーカーに走り、岡崎さんを殺害した疑いがかけられている。大手紙社会部記者が話す。
「捜査関係者によれば白井被告は昨年12月、岡崎さんの知人関係をめぐって〈許さないからな〉などとメッセージを送っていたことが新たにわかっている。男は同月中旬、岡崎さんが知人男性と一緒に写るSNSの投稿を見て『腹が立った』などと説明しているようです」
NEWSポストセブン取材班はこの捜査情報が示すメッセージと思われるやり取りの一部を入手した。
12月19日夜、岡崎さんは友人にLINEで〈知らないアカウントから(Instagramのストーリー)見られてて(中略)ひで(白井被告)だなとは思ってたの〉〈〇〇と付き合ってるって勘違いしてるのか知らないけど〉などと疑惑を呈しながら、「知らないアカウント」からのDMのスクリーンショットを送信している。
〈お前まじ覚えとけよあんなことさせといてあいつと付き合うなんて、絶対に許さないからな〉(原文ママ)
岡崎さんに送られた“脅し”の一文。メッセージは白井被告が送ったものなのだろうか──。そうであれば、このときからすでに被告の心に“殺意”が芽生えていたのかもしれない。
岡崎さんはほかにも、バイト終わりに〈しらいまたいた〉(12月20日6時57分)などと友人に連絡しており、男が付きまとっていることを認識していた。そしてこの約20分後、9時間近くにわたり音信不通になる。
岡崎さんがさらわれたとみられる時間帯の直前まで一緒にいたという祖母が、当時の状況を明かす。
「あの日の前日、彩咲陽はうちのスナックで働いていました。出勤の途中で、すでに白井が店の周りをウロウロしているのを発見していましたから、21時頃にも緊急用に知らされていた警察官のケータイに直接通報したし、ずっと『怖い』と言っていたの。お店を出たのが12月20日の朝7時5分くらいで、その直後にも帰りの車内で警察に連絡しています。
自宅に到着したのは、それからすぐでしたが、そのときは白井の姿はなく、2人で家に入った。いつも彩咲陽は、私と息子がいる家の3階で寝るんですが、その日に限って、友達とLINEするからって2階にいたんです。怪しい物音や叫び声は一切聞こえなかったわ」
祖母が気づいた頃には、すでに岡崎さんの姿は部屋になく、自宅の玄関ドアが開きっぱなしになっていた。真冬にもかかわらず靴や上着は自宅に残されたままで、1階の窓ガラスは割られた状態になっていたという。岡崎さんのバイト先の飲食店で取材に応じた、祖母の姉もこう証言する。
「駆けつけた警察は、割られたガラス窓をみるやいなや、『これは外からではなく、中から割ったはずだ』と言いました。部屋の中の確認も一切せずに、帰っていきましたからね。本当にふざけています。床には男性らしき足跡、壁には大きな手形もあって、明らかに外から人が侵入した形跡があったんですよ。金槌も落ちていました。それなのに警察は『事件性はない』の一言。こんな不条理なことがありますか。
そんな状況だったから、現場の写真は自分らで撮っておきました。そのあとも現場に来てほしいと何回も訴え続けたの。それでようやく刑事課強行犯係の刑事さんが来て、現場を見たときに『これはやばい!』となったんです」
当時、撮影された写真からは、確かに足跡や手形と思われる汚れが確認できる。親族たちはこの痕跡を見て、「あいつ(白井被告)にやられた」と確信したのだ。
すでに報じているとおり、昨年10月以降、白井被告は岡崎さんに対してストーカー行為を繰り返していた。つきまといは日を追うごとにエスカレートし、自宅や職場にも姿を現すことがあったという。身を案じた家族は、岡崎さんを祖母の家に一時的に避難させていたが、男は以前からこの家を訪れることがあった。
「あるとき、白井があの割れた窓ガラスに耳を当てて、電話をかけていたのをうちの姉が発見しているんです。『あんた、人の家でなにしてんの』って問い詰めたら白井は、『彩咲陽さんの居場所がわからないんです』と言っていたそう。ふつう、敷地に入ってそんなことをしますか。憶測ですが、あいつは電話して彩咲陽の声が自宅の何階から聞こえるのかを確認していたんじゃないかな……。
当日、窓ガラスを割ったのも、白井しか考えられないんです。他に誰がいるんですか。1階の部屋は普段、倉庫部屋にしていましたから、窓ガラスが割れているのを確認したのは翌日の夕方になってしまいました。でももう少し早く気づいていたら、また違っていたかもしれませんね……」(同前)
取材の最後には「とにかく警察には真実を明らかにして、彩咲陽や我々に謝罪をしてほしい」と漏らした。
再三の警察への相談があったにもかかわらず起こってしまった悲劇──。事件から約3か月経った今でも、親族や知人からは県警に対する“怒りの声”が止まない。
岡崎さんのアルバイト先の店長も「なぜ未然に防げなかったのか」と怒りを交えてこう吐露していた。
「警察に何度も相談しても、『事件性がない』とずっと逃げられてきました。昨年末なんか担当の警察官がお店にやって来て、『年末はみんな休みを取るから、人手が足りなくて手薄になります』って、わざわざそんなこと言ってきたんですよ。あれは職務放棄宣言みたいなものですよ。
その結果が今なんです。私たちからすれば警察に殺されたのも同然です。正直、白井に対しては彩咲陽がやられたのと同じことをやり返したいけど、法律で厳しく裁いてほしい。時間が経って、少しずつ真実が明るみに出てきているのは本当によかったと思います。今でも毎日のように、『あと少しの辛抱だからね、真実が明らかになって、白井に法の裁きが下されたら、安心して天国に行けるよ』ってあの子に伝えているんです。とにかく早く真相を知りたい。
彩咲陽はすごく甘えん坊だったから1人でいるのは寂しいだろうと思います。カラオケではよく片平里菜の『女の子は泣かない』を歌っていてね……。とにかく明るい女の子だった」
再逮捕の容疑である殺人罪でも起訴される場合、白井被告はストーカー規制法違反を含む4つの罪について法廷で争うことになる。今後、事件の一因となった“異常な執着心”について本人が語ることはあるのか──。
(了。前編から読む)