新型コロナ「2類相当」→「5類」で医療費が“自費”になったら?飲み薬が約3万円に?【解説】

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厚労省が、新型コロナウイルスの分類について「5類」への引き下げを含め、見直しの検討を始める方針であることが分かりました。仮に「5類」になった場合、医療費の“負担増”が指摘されていますが、一体何がどう変わるのでしょうか?詳しく解説します。【写真を見る】新型コロナ「2類相当」→「5類」で医療費が“自費”になったら?飲み薬が約3万円に?【解説】■“インフル並み”の扱いで、検査も新薬も入院費も“自費負担”に?日比麻音子キャスター:新型コロナの分類の見直し検討について、背景にはこういったデータもあるということです。「“コロナ”と“インフル”の重症化率」厚労省アドバイザリーボード資料より・新型コロナ(オミクロン株)…60歳未満0.03% 60歳以上2.49%・季節性インフルエンザ…60歳未満0.03% 60歳以上0.79%

やはりオミクロン株の重症化率が60歳以上では2.49%ということで、季節性インフルエンザよりも高いわけですが、60歳未満に関しては0.03%、インフルエンザと同じということなんですね。そこで季節性インフルエンザと同じ分類に、という検討がされるわけですけれども、現在はこのような分類となっています。1類…エボラ出血熱など2類相当…新型コロナウイルス感染症2類…結核、SARSなど3類…コレラなど4類…デング熱、サル痘など5類…季節性インフルエンザなど新型コロナに関しては2類相当から5類への見直しということなんです。では、分類が変わったら、具体的に何が変わるのか?大きく2つ変わります。まずは検査や治療にかかる費用についてです。現在は2類相当ですから、全額公費での負担ということになっていますが、5類になりますと、公費での負担はなし。つまり自費になるということです。2つ目が、国・自治体の要請に関して。2類相当においては「入院の勧告」「就業制限」「外出自粛」が国や自治体から要請できる。5類になりますと、こういった要請ができなくなるというわけなんです。では、負担について具体的に見ていきましょう。現在は2類相当ですから、検査キットは、自治体などによって異なりますけれども、お金がかからないところもあります。医療機関を受診した場合、診察費は約4000円かかります。解熱鎮痛剤など薬についても数百円かかっています。新しい薬、軽症者の人にも処方される飲み薬「ゾコーバ」、11月28日から本格的に供給されるということですが、これに関しても、公費負担ということですから実質0円となっています。では5類になると、どれぐらい負担が増えるのか?検査キットは、種類によって異なりますが約1500円かかります。医療機関を受診した場合、診察費は同じだけかかりますが、PCR検査などで、プラスで2500円ほどかかります。解熱鎮痛剤などは同じくらいの値段ですけれども、新しい薬「ゾコーバ」5日分、3割負担で考えますと、約3万円かかるということです。自費がかなり増えるなといった印象があります。さらには入院した場合も見ていきましょう。入院費に関して、2類相当ですと公費負担ですから自費はなし。ところが、5類相当ですと入院費、1日約2万円かかります。状況によって異なりますから一口には言えませんがお金がかかっていきます。さらには新型コロナの治療薬について、2類相当ですと、公費負担で自費はなし。中等症以上になりますとレムデシビルなどが処方されますが、3割負担と考えますと、11万4000円ほどということですから、かなりの高額になってくるわけです。■「どうしても新型コロナの患者が忍びやすくなる」医療現場の懸念ホラン千秋キャスター:分類を変えるときに、医療費だけは今の扱いと同じにしましょうなど、さまざまな案があるとは思うんですけれども、5類にしたときに、一体どんな懸念があるのか?東京歯科大学市川総合病院寺嶋毅医師:医療機関でも、通常医療がやりやすくなるとか、どこの医療機関にも発熱のときにアクセスできるとか、便利になる部分もあると思います。けれども、今のままでは厳しい立場になるところもあります。というのは、1つは、例えば濃厚接触者であっても、入院前にPCR検査を行っているところもありますが、それもなくなると、医療機関のガードが下がって、どうしても新型コロナの患者が忍びやすくなること。それから、インフルエンザの致死率に近づいてきましたけれども、広がりやすさということでいうと、新型コロナの方がまだずっと高いこと。最後に、致死率は近づいても、やはり日中の患者さんというのは抗がん剤治療を受けていたり、体力の弱い患者さんがいたりしますから、それほど致死率がまだ下がっていないということを考えると、病院は今、ゼロコロナを目指してやっていて、どうしてもウィズコロナに近づいていかざるを得ないというところがある。実際、入院中に予定通りがんの治療を受けられなくて病状が厳しくなった場合に、そういう人たちから、厳しい言葉を聞いたり、やりきれない思いを聞いたりするということは度々ありました。ですから、そうなってもその施設やスタッフを責めることがないように、また、当事者や社会がそれを受け入れるということにしていただかないと、医療機関はまだ厳しいのかなと思います。井上貴博キャスター:そのしわ寄せが医療従事者のみなさんにいきますので、社会の考え方が変わっていかないといけないんだと思う。よく医療機関の人がおっしゃるのが、分類がどうであれ、今、現場はかなり柔軟に対応しているんだというふうな話を聞きます。今、一部の医療機関で全部の患者さんを受け入れているのを、全ての医療機関に増やせないのはなぜなのか?医師会の働きかけが弱いのか、政府の本気度なのか、ほかに何か要因があるのか?寺嶋医師:今、新型コロナ患者を見ていないところにも裾野を広げるということは大事だと思いますが、マンパワーやスペースの面で、今やっているところほどできないというところもどうしてもあると思います。ですから、そこまで厳密な感染対策ではなくても、感染が広がった分、やはり受け入れるということが大事なのかなと思います。井上キャスター:税金でどこまで賄うのか、新型コロナには湯水のごとく税金使っていいという考え方を変えるべきではないかという考えもありますが?寺嶋医師:もう3年近くなってますし、いつまでもこのままっていうわけにいきませんから、ある程度は自分で負担したりとか、検査も治療もそうなっていくのは流れかなと私も思っております。井上キャスター:特殊なウイルスですので、新型コロナに合わせた設計像を決めていく、そういった時期に来ているのかもしれません。
厚労省が、新型コロナウイルスの分類について「5類」への引き下げを含め、見直しの検討を始める方針であることが分かりました。仮に「5類」になった場合、医療費の“負担増”が指摘されていますが、一体何がどう変わるのでしょうか?詳しく解説します。
【写真を見る】新型コロナ「2類相当」→「5類」で医療費が“自費”になったら?飲み薬が約3万円に?【解説】■“インフル並み”の扱いで、検査も新薬も入院費も“自費負担”に?日比麻音子キャスター:新型コロナの分類の見直し検討について、背景にはこういったデータもあるということです。「“コロナ”と“インフル”の重症化率」厚労省アドバイザリーボード資料より・新型コロナ(オミクロン株)…60歳未満0.03% 60歳以上2.49%・季節性インフルエンザ…60歳未満0.03% 60歳以上0.79%

やはりオミクロン株の重症化率が60歳以上では2.49%ということで、季節性インフルエンザよりも高いわけですが、60歳未満に関しては0.03%、インフルエンザと同じということなんですね。そこで季節性インフルエンザと同じ分類に、という検討がされるわけですけれども、現在はこのような分類となっています。1類…エボラ出血熱など2類相当…新型コロナウイルス感染症2類…結核、SARSなど3類…コレラなど4類…デング熱、サル痘など5類…季節性インフルエンザなど新型コロナに関しては2類相当から5類への見直しということなんです。では、分類が変わったら、具体的に何が変わるのか?大きく2つ変わります。まずは検査や治療にかかる費用についてです。現在は2類相当ですから、全額公費での負担ということになっていますが、5類になりますと、公費での負担はなし。つまり自費になるということです。2つ目が、国・自治体の要請に関して。2類相当においては「入院の勧告」「就業制限」「外出自粛」が国や自治体から要請できる。5類になりますと、こういった要請ができなくなるというわけなんです。では、負担について具体的に見ていきましょう。現在は2類相当ですから、検査キットは、自治体などによって異なりますけれども、お金がかからないところもあります。医療機関を受診した場合、診察費は約4000円かかります。解熱鎮痛剤など薬についても数百円かかっています。新しい薬、軽症者の人にも処方される飲み薬「ゾコーバ」、11月28日から本格的に供給されるということですが、これに関しても、公費負担ということですから実質0円となっています。では5類になると、どれぐらい負担が増えるのか?検査キットは、種類によって異なりますが約1500円かかります。医療機関を受診した場合、診察費は同じだけかかりますが、PCR検査などで、プラスで2500円ほどかかります。解熱鎮痛剤などは同じくらいの値段ですけれども、新しい薬「ゾコーバ」5日分、3割負担で考えますと、約3万円かかるということです。自費がかなり増えるなといった印象があります。さらには入院した場合も見ていきましょう。入院費に関して、2類相当ですと公費負担ですから自費はなし。ところが、5類相当ですと入院費、1日約2万円かかります。状況によって異なりますから一口には言えませんがお金がかかっていきます。さらには新型コロナの治療薬について、2類相当ですと、公費負担で自費はなし。中等症以上になりますとレムデシビルなどが処方されますが、3割負担と考えますと、11万4000円ほどということですから、かなりの高額になってくるわけです。■「どうしても新型コロナの患者が忍びやすくなる」医療現場の懸念ホラン千秋キャスター:分類を変えるときに、医療費だけは今の扱いと同じにしましょうなど、さまざまな案があるとは思うんですけれども、5類にしたときに、一体どんな懸念があるのか?東京歯科大学市川総合病院寺嶋毅医師:医療機関でも、通常医療がやりやすくなるとか、どこの医療機関にも発熱のときにアクセスできるとか、便利になる部分もあると思います。けれども、今のままでは厳しい立場になるところもあります。というのは、1つは、例えば濃厚接触者であっても、入院前にPCR検査を行っているところもありますが、それもなくなると、医療機関のガードが下がって、どうしても新型コロナの患者が忍びやすくなること。それから、インフルエンザの致死率に近づいてきましたけれども、広がりやすさということでいうと、新型コロナの方がまだずっと高いこと。最後に、致死率は近づいても、やはり日中の患者さんというのは抗がん剤治療を受けていたり、体力の弱い患者さんがいたりしますから、それほど致死率がまだ下がっていないということを考えると、病院は今、ゼロコロナを目指してやっていて、どうしてもウィズコロナに近づいていかざるを得ないというところがある。実際、入院中に予定通りがんの治療を受けられなくて病状が厳しくなった場合に、そういう人たちから、厳しい言葉を聞いたり、やりきれない思いを聞いたりするということは度々ありました。ですから、そうなってもその施設やスタッフを責めることがないように、また、当事者や社会がそれを受け入れるということにしていただかないと、医療機関はまだ厳しいのかなと思います。井上貴博キャスター:そのしわ寄せが医療従事者のみなさんにいきますので、社会の考え方が変わっていかないといけないんだと思う。よく医療機関の人がおっしゃるのが、分類がどうであれ、今、現場はかなり柔軟に対応しているんだというふうな話を聞きます。今、一部の医療機関で全部の患者さんを受け入れているのを、全ての医療機関に増やせないのはなぜなのか?医師会の働きかけが弱いのか、政府の本気度なのか、ほかに何か要因があるのか?寺嶋医師:今、新型コロナ患者を見ていないところにも裾野を広げるということは大事だと思いますが、マンパワーやスペースの面で、今やっているところほどできないというところもどうしてもあると思います。ですから、そこまで厳密な感染対策ではなくても、感染が広がった分、やはり受け入れるということが大事なのかなと思います。井上キャスター:税金でどこまで賄うのか、新型コロナには湯水のごとく税金使っていいという考え方を変えるべきではないかという考えもありますが?寺嶋医師:もう3年近くなってますし、いつまでもこのままっていうわけにいきませんから、ある程度は自分で負担したりとか、検査も治療もそうなっていくのは流れかなと私も思っております。井上キャスター:特殊なウイルスですので、新型コロナに合わせた設計像を決めていく、そういった時期に来ているのかもしれません。
日比麻音子キャスター:新型コロナの分類の見直し検討について、背景にはこういったデータもあるということです。
「“コロナ”と“インフル”の重症化率」厚労省アドバイザリーボード資料より・新型コロナ(オミクロン株)…60歳未満0.03% 60歳以上2.49%・季節性インフルエンザ…60歳未満0.03% 60歳以上0.79%
やはりオミクロン株の重症化率が60歳以上では2.49%ということで、季節性インフルエンザよりも高いわけですが、60歳未満に関しては0.03%、インフルエンザと同じということなんですね。そこで季節性インフルエンザと同じ分類に、という検討がされるわけですけれども、現在はこのような分類となっています。
1類…エボラ出血熱など2類相当…新型コロナウイルス感染症2類…結核、SARSなど3類…コレラなど4類…デング熱、サル痘など5類…季節性インフルエンザなど
新型コロナに関しては2類相当から5類への見直しということなんです。では、分類が変わったら、具体的に何が変わるのか?大きく2つ変わります。
まずは検査や治療にかかる費用についてです。現在は2類相当ですから、全額公費での負担ということになっていますが、5類になりますと、公費での負担はなし。つまり自費になるということです。
2つ目が、国・自治体の要請に関して。2類相当においては「入院の勧告」「就業制限」「外出自粛」が国や自治体から要請できる。5類になりますと、こういった要請ができなくなるというわけなんです。
では、負担について具体的に見ていきましょう。
現在は2類相当ですから、検査キットは、自治体などによって異なりますけれども、お金がかからないところもあります。医療機関を受診した場合、診察費は約4000円かかります。解熱鎮痛剤など薬についても数百円かかっています。新しい薬、軽症者の人にも処方される飲み薬「ゾコーバ」、11月28日から本格的に供給されるということですが、これに関しても、公費負担ということですから実質0円となっています。
では5類になると、どれぐらい負担が増えるのか?
検査キットは、種類によって異なりますが約1500円かかります。医療機関を受診した場合、診察費は同じだけかかりますが、PCR検査などで、プラスで2500円ほどかかります。解熱鎮痛剤などは同じくらいの値段ですけれども、新しい薬「ゾコーバ」5日分、3割負担で考えますと、約3万円かかるということです。自費がかなり増えるなといった印象があります。
さらには入院した場合も見ていきましょう。
入院費に関して、2類相当ですと公費負担ですから自費はなし。ところが、5類相当ですと入院費、1日約2万円かかります。状況によって異なりますから一口には言えませんがお金がかかっていきます。さらには新型コロナの治療薬について、2類相当ですと、公費負担で自費はなし。中等症以上になりますとレムデシビルなどが処方されますが、3割負担と考えますと、11万4000円ほどということですから、かなりの高額になってくるわけです。
ホラン千秋キャスター:分類を変えるときに、医療費だけは今の扱いと同じにしましょうなど、さまざまな案があるとは思うんですけれども、5類にしたときに、一体どんな懸念があるのか?
東京歯科大学市川総合病院寺嶋毅医師:医療機関でも、通常医療がやりやすくなるとか、どこの医療機関にも発熱のときにアクセスできるとか、便利になる部分もあると思います。けれども、今のままでは厳しい立場になるところもあります。というのは、1つは、例えば濃厚接触者であっても、入院前にPCR検査を行っているところもありますが、それもなくなると、医療機関のガードが下がって、どうしても新型コロナの患者が忍びやすくなること。それから、インフルエンザの致死率に近づいてきましたけれども、広がりやすさということでいうと、新型コロナの方がまだずっと高いこと。
最後に、致死率は近づいても、やはり日中の患者さんというのは抗がん剤治療を受けていたり、体力の弱い患者さんがいたりしますから、それほど致死率がまだ下がっていないということを考えると、病院は今、ゼロコロナを目指してやっていて、どうしてもウィズコロナに近づいていかざるを得ないというところがある。
実際、入院中に予定通りがんの治療を受けられなくて病状が厳しくなった場合に、そういう人たちから、厳しい言葉を聞いたり、やりきれない思いを聞いたりするということは度々ありました。ですから、そうなってもその施設やスタッフを責めることがないように、また、当事者や社会がそれを受け入れるということにしていただかないと、医療機関はまだ厳しいのかなと思います。
井上貴博キャスター:そのしわ寄せが医療従事者のみなさんにいきますので、社会の考え方が変わっていかないといけないんだと思う。よく医療機関の人がおっしゃるのが、分類がどうであれ、今、現場はかなり柔軟に対応しているんだというふうな話を聞きます。今、一部の医療機関で全部の患者さんを受け入れているのを、全ての医療機関に増やせないのはなぜなのか?医師会の働きかけが弱いのか、政府の本気度なのか、ほかに何か要因があるのか?
寺嶋医師:今、新型コロナ患者を見ていないところにも裾野を広げるということは大事だと思いますが、マンパワーやスペースの面で、今やっているところほどできないというところもどうしてもあると思います。ですから、そこまで厳密な感染対策ではなくても、感染が広がった分、やはり受け入れるということが大事なのかなと思います。
井上キャスター:税金でどこまで賄うのか、新型コロナには湯水のごとく税金使っていいという考え方を変えるべきではないかという考えもありますが?
寺嶋医師:もう3年近くなってますし、いつまでもこのままっていうわけにいきませんから、ある程度は自分で負担したりとか、検査も治療もそうなっていくのは流れかなと私も思っております。

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