“朝食抜き”が熱中症の原因に!?体験者が語る熱中症 予防のヒントを現場の医師が解説【ひるおび】

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総務省消防庁の調査によると、全国の熱中症による救急搬送は1週間(6月16日~22日)で8603人。2024年の約5倍となっています。熱中症に至るにはどのような要因があるのか、体験した人に聞いた実際のケースをいとう王子神谷内科外科クリニック院長の伊藤博道氏と見ていきます。
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伊藤院長のクリニックでも熱中症の患者が増えています。先週は平日で1日1人ほどだったのが、直近3日間では10人が受診しています。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:先週末の土曜日、日曜日、昨日までは、「熱中症の嵐が吹き荒れた」という感じでした。湿度が高くて、またそれが朝から晩まで、しかも夜中まで。リセットする時間がないんですよね。連日の暑さでクールダウンする暇がなく、1日の疲労や脱水などがリセットされずに持ち越されることで、熱中症の発生頻度が高くなっています。
●40代女性●2024年6月26日 都内 最高気温31.4℃ 湿度73% 曇り
▼午前中 起床 体調に異変なし 朝食はとらず▼正午前 昼食(冷たいたぬきそば)▼午後2時頃 徒歩30分かけてスポーツジムへ※日傘を差す、腰と首に扇風機、スポーツドリンクを飲むなど万全の対策をしながら▼冷房がガンガンに効いたジムに到着してしばらくすると、急に足の力が抜けて倒れ込む
女性は、めまい・激しい頭痛・顔が青ざめるなどして、立ち上がれなくなりました。その後、塩分タブレットと水分を摂取しながら1時間横になったところ、少し回復したそうです。
恵俊彰:熱中症になってしまったポイントがあると思いますが、先生教えてください。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:まず、31℃で73%ですと、「暑さ指数」はかなり高いですね。こういう環境の中だと僕の経験ですとおそらく15分ぐらいで簡単に熱中症になってしまいます。お昼は食べたにしても、朝ご飯を食べていないので、体の中に十分栄養分やミネラル、水分が満たされていない状態で本格的な熱中症の厳重警戒のレベルの中を歩いた。30分の歩行の中で一気に熱中症が発生したのではないかと思います。
予防のポイントは、『朝食で適度な塩分と栄養補給』です。
伊藤院長:バナナと牛乳やヨーグルトでもいいんです。水分だけでは保水力というところで体の中にとどまる力が弱かったり、ミネラルが不足しがちですから、やはり朝ご飯でミネラルと、できればタンパク質も摂っていただくといいと思います。
コメンテーター 水谷隼:塩分タブレットで少し回復したということですが、塩分タブレットの効果はどうなんですか?
伊藤院長:てきめんにあったと思います。よく経口補水液を胃腸炎や熱中症で脱水がひどいときに飲むと、ものすごく美味しく感じると皆さん言うんですよね。美味しく感じるというのは体が欲してるからで、やっぱりミネラルが不足してることを示唆するのかなと思います。
恵俊彰:タブレットなどを持ち歩くのも大事ですね。
●東京在住 50代女性●2024年4月20日 最高気温26.1℃ 湿度48% 曇り
▼午前10時 朝食をとらずに子どもの屋外スポーツイベントに参加▼午前11時頃から 1時間ほど、イベント進行のお手伝いやボール拾いなど忙しく動き回る※この間に麦茶500mLを摂取▼正午~午後3時頃 屋外で友人と座って3時間ほど談笑※昼食はとらず、白ワインを小さな紙コップに半分ほど飲む▼午後3時ごろ、トイレの前で座り込んでいるところを発見され、意識障害を伴う熱中症で救急搬送される
女性は「トイレに行った記憶も座り込んだ記憶もなく、「大丈夫?」という声が聞こえて答えようとして、声が出なかったことだけ覚えている」と話します。病院で点滴を受けましたが、1人では歩けず、話すこともできない、また激しい頭痛が1週間続いたそうです。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:このケースは温度も26℃とそんなに高くないのでちょっと難しいんですけど、これを熱中症と診断するということは、体の中に熱がこもってる感じがするとか、あるいは客観的に見て深部体温が高いということがあったと推測されます。もしそこまで深部体温が高くなかったと仮定すると、やっぱり脱水。アルコールも飲んでいますから、利尿が起こってその脱水の要素が大きいのかなと。脳の血流が落ちて酸素供給が十分に届かなくなる、糖も行き届かなくなる。朝ご飯を食べていないので、低血糖になっていた可能性もあります。ですから血流が悪くなって酸素供給や糖の供給が不足して、意識が突然切れるようになくなってしまった。
予防のポイントは、先ほどの朝ごはんに加え、『先手先手で水分補給』をすることです。定期的に水分を摂取するようにしてください。
弁護士 八代英輝:経口補水液を予防的に飲むのはあまり意味がないと聞いたんですけど、いかがでしょうか?
伊藤院長:ちょっと過剰な予防だと一般的に言われていますね。スポーツ飲料を水やお茶と混ぜながら時々飲むのはいいと思うんですけど、経口補水液はちょっと濃すぎますので、予防的に飲むのは過剰なミネラルの補充になってしまいます。ただ、熱中症になりかけの時や症状が出てきた時には、“飲む点滴”と言われてるぐらいですから効果があります。
●東京都在住 46歳女性●6月25日 最高気温29.4℃ 湿度93% 曇り時々雨
▼7時頃 朝食(クリームパンとコーヒー1杯)▼12時頃 昼食と夕食の準備を同時に行う・グリルで焼き魚・鍋で肉じゃが▼午後1時過ぎ めまいや頭痛・吐き気などの症状が出始め全身汗だくで立っているのも困難に。医師に熱中症と診断される。
キッチンで料理をしていたところ、熱中症になってしまったというケースです。隣にあるリビングのエアコンはつけていましたが、キッチンのドアを閉めていたため、冷気が全く入ってこない状態だったそうです。
伊藤院長:キッチンは非常に暑くなって湿度も高くなりがちです。換気扇を回しても外が暑いと入ってくる空気も暑いですね。いくら朝ご飯を食べていて水分を摂っていても、極度に高い温度、湿度でしかも立ち仕事だと、脳に十分血流が行かなくなったり、熱中症が発症する要因があったのかなと思います。エアコンを使っている空間とうまく循環するように、サーキュレーターなどを使うといいです。
恵俊彰:朝ごはんを食べたからと言って大丈夫なわけじゃなくて、室内でも環境を整えることが大事ですね。
(ひるおび 2025年7月1日放送より)

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