【座間9人殺害事件】白石隆浩死刑囚が執行前に記者に明かした「衝撃の本心」…「捕まらなければ次も殺していた」「被害者は交通事故と同じだと思って諦めて」

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窓一つない殺風景な部屋に現れた一人の男。記者を確認すると軽く一礼し、無表情のままアクリル板の前に置かれた椅子に腰を下ろす。黒髪は肩まで伸び、やつれた顔には無精ひげが生えている。
「以前、漫画を差し入れてくれましたよね。だから会おうと思いました」
笑みを浮かべ、男は接見に応じた理由をそう語った。この男こそ、神奈川県座間市内の自宅アパートで男女9人を殺害し、遺体を解体した罪などで2017年に逮捕された白石隆浩死刑囚(34歳)だ。全国紙社会部記者が語る。
「白石死刑囚はSNS上で『死にたい』などと書き込んだ人物に次々と接触し、自宅へ招き入れて殺害。遺体を風呂場で解体し、遺棄した容疑などで逮捕・起訴されました。また、遺体の一部は自宅内に置かれたクーラーボックスで保管していたことも判明。被害者の数は合計9人で、犯行はわずか2ヵ月の間に行われていました」
9人もの被害者がいただけに裁判の長期化が懸念されたが、予想に反して公判は異例のスピード判決となった。要因に挙げられたのが、白石死刑囚による罪の全面容認だった。
2020年9月に始まった裁判で検察側は死刑を求刑。白石死刑囚も容疑を認め、動機について「悩みを抱えた女性は口説きやすいと思い、SNSで『疲れた』などとつぶやく女性を狙った。お金にならなそうであれば性的暴行をして、通報されるのを防ぐため殺害した」と供述した。
同年12月の判決では「9人の若く尊い命が奪われた被害結果はきわめて重大」として求刑通りの死刑が言い渡される。その後、白石死刑囚が東京高裁への控訴を取り下げたため、2021年1月に刑が確定した。それから4年6ヵ月後となる6月27日午前、白石死刑囚の死刑が執行された。
社会を震撼させた逮捕劇から約1年後となる2018年9月以降、記者は当時被告人だった白石と複数回にわたって接見を重ねた。冒頭はその一幕だ。
わずか2ヵ月で9人もの男女を殺めるという日本犯罪史上、類をみない事件を引き起こした白石死刑囚。犯行理由について聞くと、本人は淡々とした口調でこう語った。
「人を殺して、解体して、遺棄して、それによって金銭が得られる、あるいは性欲を満たすことができたのでやっていました。裁判ではこのことも正直に喋ろうかなとは思っています。証拠とかもありますし」
記者との会話を重ねるうち笑顔を見せるようにもなっていった白石死刑囚。一方で、事件についてはこんな”後悔”を滲ませていた。
「うーん、やっぱり自分のことが一番なんですよね。私は9人目の被害者の方を殺したせいで警察に見つかってしまった。だからある意味、9人目のせいで捕まったと後悔しています。それで捕まらなければ、こうはならなかったでしょうし、10人目もやっていたと思います」
被害者遺族の心境について尋ねると、考えこむかのように押し黙り、こう言葉を返した。
「はっきりこう言ったら失礼かもしれないんですけど、普段、交通事故とか天災が起きていますよね。事件はそれと同じだから正直、諦めてほしいというか……。そういう思いですかね」
終始、飄々とした口ぶりで心のうちを明かしていく白石死刑囚。それは自身の罪の大きさを認識しているとは到底思えない言動だった。
――事件の重さからしてあなたは極刑を免れない。
たまらず、記者がそう指摘しても「仕方ないとは思っています。覚悟はしています。でも痛いから死刑って嫌ですよね」とつかみどころのない返答するのみだった。そして、その面会以降、申請を出しても本人との接見が叶うことはなかった。
公判では裁判長から「本心からではなくとも謝罪する気はないか」と問われ、「極刑なら演技する甲斐がない」と語っていた白石死刑囚。果たして彼は死刑執行を前に一度でも己の罪と向き合うことはできたのだろうか。
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