駅ロッカーに預けた荷物が引き取れず「大パニック」 原因は慣れない「常閉タイプ」の仕組み?運営会社「ご迷惑ご不便を」

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旅行やライブなどのイベントの際など、大きな荷物を一時的に預けるために駅に設置されたロッカーを使う人は多いだろう。首都圏の一部の駅には、預け入れの予約や宅配便の受け取りなどもできる「マルチエキューブ」が設置され、より多機能で便利になっている。しかし、このロッカーを利用し、荷物が翌日まで引き取れないという思わぬトラブルに遭ったという人がいる。
「マルチエキューブ」は、JR東日本のグループ会社、JR東日本スマートロジスティクスが提供するロッカーだ。23年10月から順次、首都圏のJRの駅構内で導入されている。ウェブ上であらかじめ予約ができるほか、宅配便などの受け取りや宅配物のホテルや自宅などへの発送もできる。
J-CASTニュースは、トラブルに遭ったというXユーザーと、その友人に詳しく話を聞いた。2人によると、25年6月9日にあるライブに訪れる前、一緒に参加した複数人の荷物を預けるために都内の駅の「マルチエキューブ」のロッカーを利用した。事前予約はしておらず、現地で空いていたロッカーを使ったという。
Xユーザーの友人によると、トラブルの経緯は次の通りだ。
昼頃、荷物を入れずにロッカーを確保。一緒にいた別の友人が決済したという。14時30分過ぎに開錠し、荷物を預け入れ、再び決済した。なお、支払いをしたのは先ほどとは別の友人という。この2回は正常に決済ができたという。
さらに17時前、追加で荷物を預けるために再度開錠した。1回目、2回目とも別の友人が決済しようとしたが、操作用タッチパネルの画面でエラーが出たという。しかし、ロッカーの扉がロックされたことから、預け入れができたと認識したという。
実は「マルチエキューブ」は、「空」状態で扉がロックされており、ウェブ上で予約のうえ現地で手続きする、もしくは現地で受付し、前払いで料金を支払った後にロックが解除される仕組みだ。これまで駅に設置されてきた一般的なロッカーは、「空」状態では開錠されているため、それとは逆だ。
つまり、この時は利用終了扱いになったためロックされたとみられるが、今回一緒に荷物を預けたほぼ全員が「マルチエキューブ」の利用が初めてだったうえ、「1回目と2回目が運良く今まで通りの使い方で確保出来てしまっていたのと、決済者が3回とも違った」ため、「決済エラーになったにもかかわらず、3回目も預けられたと勘違い」してしまったという。また、「空」状態を示すランプは扉のロック後すぐに点灯しなかったとし、「勘違い」の一因になったとした。
なお、「マルチエキューブ」は預け入れ15分以内であれば一時開錠ができるが、今回はいずれも15分以上経った後のことで、一度利用を終了し、再度利用を開始する形をとったとした。
Xユーザーらは21時過ぎ、ライブが終わってロッカーに戻り、荷物を取り出そうとするが、当然ロッカーが開かない。コールセンターに電話しても、受付時間が21時までだったためつながらなかったという。
すると、Xユーザーらが預けたはずのロッカーと同じロッカーから荷物を取り出している人がいたため話を聞くと、「自分たちが予約したロッカーに、荷物が入ってので、駅員さんに預けた」と言われたという。駅員に尋ねると、おそらくロッカーの運営会社に預けたとの回答で、所在もあいまいだったという。「(問い合わせ先の)電話は繋がらないのに、貴重品を入れてしまい家に帰れない人が複数出てしまい、大パニック状態」になったと説明した。
翌朝、コールセンターに電話の上、荷物を回収したという。
取材に応じたXユーザーの友人は、「マルチエキューブ」を「とても便利」としつつ、従来のロッカーに慣れている人や今回のような使い方をする人の中には、同様の事態に陥ってしまう人が「今後も出てしまいそうだと思いました」とした。
さらに、荷物が回収されたことは「不正利用状態」だったため「しかたない」としつつ、回収先がその場でわからなかったことは「とても困りました」といい、所在が分かる仕組みを作ってほしいとした。
JR東日本スマートロジスティクスの広報担当者はJ-CASTニュースの取材に、「弊社のロッカーをご利用いただいたお客さまでご迷惑ご不便をおかけしている件があることは承知しており、お客さまにはお詫び申し上げます」と謝罪した。
今回のケースで、3回目で決済エラーになった理由について、「ご利用終了後に予約が入ったので、当該ロッカーへの操作ができなくなったと思われます」と想定する。
2回目の決済時の状況については、予約が入らなければ現地で再度の預け入れが可能になるが、「前回のご利用終了時点でお客さまのお荷物が取り出されていることが、本来の取扱いとなります」と説明した。
そのうえで、「常閉タイプのロッカーであるため、こちらからのお客さま案内でうまく伝わらない部分もあり、お客さまに迷惑をおかけしてしまっていること反省しております」とする。
「1回お支払いいただくと何度もご利用いただけると思ってしまい、荷物の取り出し操作にてご利用終了している状況で、お荷物をロッカーに入れて閉じ込めてしまうことが起きております」とし、下記のように対策の方針を示した。
類似するトラブルとしては、利用を終了し、ロッカーにロックがかかった後に荷物の取り出し忘れに気づく、というケースがありそうだ。
こうしたケースの対応方法について、JR東日本スマートロジスティクスの広報担当者は、
とした。
また、今回はコールセンターの時間外の夜間に発覚したことも投稿者らが「困った」一因だった。受付時間外のトラブルについては、正確な件数は把握していないものの「お客さまから翌日の営業開始を待ってご連絡いただくケースは一定程度あります」とし、今後について、
とした。

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