文豪も愛した城崎温泉にオレンジ色の看板が…Xで異論 市はドラッグストア側と事前協議「許可出している」

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風情のある街並みで知られる兵庫県豊岡市内の城崎温泉で、新規出店したドラッグストアについて、オレンジ色も入った看板が景観に合わないとXで問題提起があり、議論になっている。
この看板について、市は、同市屋外広告物条例に基づいて許可を出したという。「ルールを守っていただいていますので、言えることはありません」と市は説明するが……。
城崎温泉は、1300年の歴史があるとされ、中心部を流れる大谿(おおたに)川 に沿って、温泉街が広がっている。7つの外湯巡りが楽しめることも特色だ。
小説の神様とうたわれた文豪、志賀直哉の小説「城の崎にて」の舞台になったことでも知られている。
そんな温泉街で、外湯の筆頭とされる一の湯から橋を渡った先で、2025年6月27日にダイコクドラッグ城崎一の湯前店がオープンした。
川沿いには、柳が並んでいるが、その合間から、店のオレンジ色が入った看板が見える。「ダイコク」の文字は、青色になっており、そのコントラストで目立っていた。
この写真は、地元温泉街のある店主が26日、Xで投稿した。投稿者は、温泉街の中心部に店があるのに、風情のある街並みに合わないとして、もっと景観に配慮できないのかと嘆いていた。
この投稿は、10万件以上の「いいね」が集まり、まとめサイト「togetter」でも取り上げられて、波紋が広がっている。
また、別の店主も28日、ダイコクの本部と面談して、景観についての要望や懸念を伝えたとXで投稿しており、少なくとも温泉街の一部で配慮を求める声が出ているようだ。
店主らの投稿について、X上では、「もうちょっと気を使って欲しい」「ぜひ改善お願いしたいですね」などと共感の声が寄せられた。温泉街のコンビニなどは、景観にも配慮しているといくつか写真が投稿され、比較もされた。今回の店は、以前はコンビニだったが、こちらは茶色基調で景観に配慮されていたようだ。一方で、「べつにいいと思う」「多少なりとも配慮した看板にも見えます」といった意見も見られた。
ドラッグストアの看板については、豊岡市の法令に違反している点はないのだろうか。
この点について、市の都市整備課は6月30日、J-CASTニュースの取材に対し、設置までの経緯を説明した。
それによると、ダイコク側から9日、市の屋外広告物条例に基づく看板の許可申請があった。城崎温泉は、条例に定めた第2種禁止地域に当たり、広告の表示面積が20平方メートル以下、広告の個数は4枚以下などの基準がある。ダイコク側からは、最初は「薬」の文字も赤色で申請があった。しかし、彩度の高い色は2色以下になっており、事前協議で、基準に適合しないと伝えると、適合するように配慮があったという。その結果、彩度の高い色は、オレンジ色と青色だけになった。
市では、看板が許可基準に適合していたため、13日にダイコク側に許可を出していた。
市によると、店の看板について、いくつか問い合わせが来ているという。ダイコク側に看板の色を変えてもらうかどうかにつては、「ルールを守っていただいていますので、言えることはありません」と否定した。ダイコク側からは、30日午前の時点では、申し出などは来ていないという。彩度の高い色は2色以下とする基準を見直すかについても、「現時点では、何とも言えません」と答えた。
地元温泉街では店の看板について、どう考えているのだろうか。城崎温泉旅館協同組合の理事長は7月1日、取材に対し、こうコメントした。
ダイコクドラッグ城崎一の湯前店の店長は6月30日、取材に対し、「本部の方に話が来ていますので、お店では対応していません」と答えた。店を運営するダイコクの大阪本部(大阪市)に取材を申し込んでおり、回答があり次第追って伝える。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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