【前後編の後編/前編からの続き】
通常国会最終盤の6月21日、参議院では異例の土曜審議が開かれていた。野党提出の法案は結局、本会議採決には至らなかったのだが、その攻防のさなか、三原じゅん子・内閣府特命担当大臣(60)は国会に背を向け、ひそかに「アンチエイジング」に精を出していた。
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【証拠写真】国会を抜け出し「美容整形クリニック」を訪れた三原大臣
前編【三原じゅん子大臣が国会を抜け出して「美容整形クリニック」に行っていた! 「国会周辺での待機」指示も、アンチエイジングへ】では、6月21日に三原氏が国会を抜け出して美容整形クリニックに赴き、3時間滞在していた問題について報じた。この日、自民党は所属の参院議員に「禁足」(審議や採決に備え、国会の周辺で待機させる措置)を指示されていたが、三原氏は西新宿の「湘南美容クリニック」で長い時間を過ごしていたのだ。
党の取り決めに背いてまで優先したかった美容施術。実はその「湘南美容クリニック」と大臣は、浅からぬ縁がある。
「現在、親会社のSBCメディカルグループホールディングスのCEOを務める相川佳之氏(55)は、2000年に神奈川県藤沢市で最初のクリニックを立ち上げました。三原大臣とは、女優時代からかれこれ20年ほどの交流があると聞いています」
とは、SBCグループのさる関係者である。
実際に08年2月には、相川氏のブログ(当時)に登場し、
〈先日、三原じゅん子さんが当院で
・目尻のボツリヌストキシン注射
・ギャラクシーレーザーによる若返り
・口周りのヒアルロン酸(パーレーン)
を治療されました〉
との記述と共に、施術中の様子が公開され、ご丁寧に「術前術後」の比較写真まで添えられていたのだった。さらに、
「この時の施術の模様は『独占・あの女優がカメラの前で整形手術を』と題し、夕刻の民放のニュース番組でも取り上げられていました」(同)
その“公開プチ整形”の施術料は当時、トータルでおよそ12万円だったという。また、
「現在は削除されていますが、三原大臣が初当選した後も、相川氏と『働く女性のアンチエイジング』について対談する模様などが、クリニックのホームページに掲載されていたのです」(前出のSBCグループ関係者)
つまり大臣は“広告塔”となってきたわけである。
「以降も大臣は、大体数カ月おきに新宿や渋谷のクリニックに来院しています。かつてテレビで紹介した施術のほか、コラーゲン注入、そして当院の看板ともいえる『サーマクール』や『ウルトラリフトプラスHIFU(ハイフ)』などの施術も受けてきました」(同)
同クリニックのホームページなどによれば、「サーマクール」とは肌のたるみやしわを高周波(ラジオ波)で改善する治療だといい、また「ウルトラリフト」は、超音波の熱エネルギーを皮膚深層に照射することでリフトアップ効果が得られるという。
美容家の立花ゆうり氏によれば、
「これらの施術は、どれもメスを用いない“軽めの整形”ともいえます。いずれも自然に肌の張りが出たり、たるみが引き締まったりする効果が期待できます」
とのことで、
「ボトックスやコラーゲンは皮膚に吸収され、またレーザーや高周波も時間とともに効果が薄れてしまいます。そのため、ほとんどが数カ月に1回の定期的ケアとして施されるのが一般的です。サーマクールは、脱毛器のような機械を肌に当てて照射するイメージ。真皮層や脂肪層に高周波の熱エネルギーでアプローチして肌のコラーゲンを増やし、ハリや弾力をアップさせて引き締めます。こちらが1回での効き目が大きいのに対し、同じくたるみ治療のHIFUは比較的安価な傾向があり、定期的に続けるイメージです。いずれもダウンタイム(施術部位の回復期間)がほとんどなく、手軽に受けられるのが特徴です」
湘南美容での料金は、サーマクールを顔に当てる施術はおよそ15万~25万円ほど。HIFUは2万円台から。目の周りの細かいしわに効果があるという「ベビーコラーゲン」注入は、1本10万円ほどである。
さて「SBCメディカルグループ」といえば、20年の新型コロナウイルス禍のさなか、政府が進めていた東京五輪用プレハブ宿舎を用いた「コロナ治療」計画の運営主体に“内定”していた業者である。
これについては本誌(「週刊新潮」)でも報じており、当時“呼吸器系が専門ではないSBCがなぜコロナに”などと訝しがられていたのだが、そこには計画を強く推してきた菅義偉官房長官(当時)とグループ創業者の相川氏が昵懇(じっこん)の間柄だという“事情”があったのだった。
この計画は結局、日の目を見ることはなかったものの、こうした形で政府のプロジェクトを受注すべく画策してきた医療機関のトップと、三原大臣は長きにわたって交流を続けてきたことになる。
さかのぼれば昨年秋、党総裁選において三原大臣は、同じ神奈川選出で自身の“後ろ盾”でもある菅氏の意向に忠実に従い、結果、石破政権誕生に尽力した論功行賞として初入閣がかなったとされている。政治ジャーナリストの青山和弘氏も、
「菅グループから誰かを入閣させようとなった時に、参院で当選3回の三原さんは“丁度よい”となったのでしょう。ですが、少子化の分野に造詣が深いという話は聞いたことがない。他に任せられるポストがなかったのだと思います」
としながら、
「こども家庭庁を所管しているのに大臣としての政策や働きぶりがさっぱり見えず、まるで存在感がありません。そもそも入閣前から、記者をはじめ他人とは交流しないで距離を置く“秘密主義”を貫いている。元女優だという意識がいまだに強いのでしょう。今回の土曜国会での行動については、禁足の重要性を甘く見ていたのかもしれません」
範を垂れるべき閣僚としての自覚に欠けるのはもちろん、国権の最高機関たる国会を軽視しているとの謗りも免れまい。政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。
「自民からすれば物理的、時間的に“採決には至らないだろう”との見通しがあったのでしょう。それでも禁足となれば従うのが当然。今回、もし採決となって三原さんが出席できなかったら処分の対象になったはずです。選挙には非常に強いのですが、タイプとしては元ヤンキー。彼女には、そんな印象しかありません」
70年代、ツッパリ少女役で人気を呼んだ三原大臣は、1987年には写真誌のカメラマンに暴行して逮捕されるという役柄通りのアクションを見せていた。雀百まで踊り忘れずで、還暦を過ぎたからといってそうした浅慮が必ずしも改善されるものではなく、今回の一件も、それを如実に物語っているといえよう。
横浜市にある三原大臣の自宅を訪ねると、私設秘書で24歳年下の夫・中根雄也氏が現れた。小型犬を連れて散歩に出ようとする彼によれば、大臣は不在だとのこと。ほえ続ける犬をなだめつつ笑顔で取材の趣旨に耳を傾けていた夫は、途中から表情がこわばり、
「その内容を文書で頂けますか」
と言い出す始末。あらためて三原大臣の事務所に尋ねると、
「財務(ママ)金融委員会での質疑は終局しており、13時からの本会議については実際の開会時刻が確定していない状況でしたが、動きがあれば直ちに対応できるように参議院自民党事務局と連絡を密にとり、参議院自民党事務局の許可を得た上で外出しておりました」
との回答だった。国民の重大課題より自らの「メンテナンス」が大事な“こども”担当大臣。無用の長物と言うほかない。
前編【三原じゅん子大臣が国会を抜け出して「美容整形クリニック」に行っていた! 「国会周辺での待機」指示も、アンチエイジングへ】では、6月21日に三原氏が国会を抜け出して美容整形クリニックに赴き、3時間滞在していた問題について報じている。
「週刊新潮」2025年7月3日号 掲載