〈「子宮が下がっている。いずれ重大な病気に」と全裸の18歳女性にマッサージを…医師のフリをしてわいせつ行為をした犯人(41)の“一人二役”〉から続く
2024年8月、医師を装って当時18歳だった女性に乱暴しようとしたなどとして、無職・福田友幸被告(当時40歳)が逮捕された。福田被告は医師を装って治療と思いこませ、女性の自宅で体を触るなどのわいせつ行為をしたうえ、名古屋市の宿泊施設で乱暴しようとした疑いが持たれている。
【衝撃現場】トイレで「老廃物を出さないといけない」と女性の前にしゃがみ、わいせつ行為をした事件現場を見る
被害女性がSNSで知り合った福田被告に「不安でよく眠れない。うつ状態で学校にいけない日もある」などと相談をしたところ、「後輩に精神科の専門医がいる」と言った福田被告自身が、“精神科の専門医”になりすまし女性に接触。一人二役を演じていたことも捜査の過程で明らかになっている。この事件の全貌を詳しく解説する。(全2回の2回目/最初から読む)
愛知県警中署
◆◆◆
「私は医師だ。性的な気持ちは一切ない」
そこでA子さんは自宅で全裸になって、福田被告のマッサージを受けることになった。
すると太股から陰部の方に指先が入り込み、膣の中に指を入れられた。
「子宮が下がっているな。だからうつになるんだ。いずれ重大な病気になる」
福田被告はこんなことを言って、A子さんの体が揺さぶられるほど激しく膣内を掻き回した。
A子さんが「トイレに行きたい」と言うと、福田被告も一緒に付いてきた。便座に腰掛けると、その前にしゃがみ込み、「老廃物を出さないといけない」と言って、また膣内に指を入れてきた。A子さんはその体勢のまま排尿させられた。
「子宮を押し上げるためにもっと太いものを入れなければならない。病院なら専用の器具があるんだが、ここにはないから陰茎を入れてもいいか?」
「イヤです。それじゃあ性行為が成立しちゃうじゃないですか。そんな治療は聞いたことがありません」
さすがにそれはA子さんに断られ、福田被告は裕翔に電話をかけて、「カラオケに行って、そこで裕翔と合流しよう」と言い出し、再び外出することになった。
JRで別の駅に移動。しかし、どこのカラオケ店も満員だったため、「カラオケさえあれば、どこでもいいよね」と言われ、ラブホテルに行くことになった。
ところが、福田被告はカラオケをまったくせず、「さっきの治療の続きをしなきゃならない」と言い出した。
「もういいです。疲れてるから」
「いいから、これに着替えるんだ!」
有無を言わさぬような厳しい口調で言われたので、A子さんは殴られるかもしれないと恐怖感を抱き、バスローブに着替えた。
すると、福田被告が足の間に体を挟むようにして割り込んできて、バスローブを脱がし、胸を舐めてきた。
「何するんですか!」
さらに下半身に顔を近付け、陰部を舐められそうになった。これは絶対に治療じゃないと思い、手で陰部を隠すと、福田被告はトランクスを穿いたまま、正常位の体勢になって、腰を前後に振ってきた。
「もうガマンできないよ!」
A子さんがパニックになって泣き始めると、「泣かないで。1万5000円あげるから。手か口でして」などと交渉してきた。
「イヤです!」
「それなら1分間でいい。このままでいさせて」
A子さんはそれで終わるなら耐えようと思ったが、福田被告は陰茎を取り出し、膣の中に挿入しようとしたので、絶叫して拒絶した。
結局、そこでわいせつ行為は終わったが、またどこかに電話をかけていて、「裕翔がキミの家に来ると言っているから、マンションに戻らないか?」と言われ、ホテルを後にした。
三度A子さんのマンションに戻り、A子さんは裕翔が来れば、福田被告を家から追い出してくれるのではないかと期待していたが、いつまで待っても裕翔は来なかった。
「裕翔って本当に実在するの?」
この期に及んでようやくA子さんは何もかもおかしいことに気付いた。
「じゃあ、ちょっと様子を見てくるよ」
こんなことを言って福田被告は出て行った。それっきり、裕翔とは連絡が取れなくなった。福田被告も戻ってこない。騙されたのだ。
翌日、A子さんは愛知県警中署に被害届を出したが、福田被告が捕まったのはそれから4カ月後のことだった。東京都内の牛丼店で他人のキャッシュカードを不正使用したという詐欺容疑だった。
だが、福田被告はA子さんに対する準強制わいせつ、窃盗、詐欺の事件については、容疑を強硬に否認した。
「彼女とは3年前から付き合っていた。10回以上会ったことがある。彼女の郷里にも行ったことがある。マッサージなんてしていません。彼女とは肉体関係もありません。なぜわいせつなことをしたと言われるのかさっぱり分からない。
彼女とはお金を貸し借りする仲で、自分もこれまでに70万円ほど貸している。ホテルに行ったのは彼女がマンガ喫茶じゃ休めないと言ったから。裕翔なんて聞いたこともない。翼先生と名乗ったこともない。彼女はメチャクチャなウソを言っている」
福田被告は詐欺の常習犯で、これまでもアイドルグループのメンバーを装って金を騙し取ったり、闇金の社長を名乗って「オレの女になれば、借金を肩代わりする」などと言って、女性から金と体を奪う犯行などを繰り返していた。
「被害者は事件翌日の朝に被害を届け出ている。事実誇張はうかがわれず、ことさら虚偽の供述をしている事情も見当たらない。11万円の交付は被害者の当時の年齢や精神状態を考えれば、必要だと誤信したことも不自然不合理とは言えない。
被告人の供述は客観証拠とも異なり、その弁解は荒唐無稽と言うほかなく、到底信用できない。本件はわいせつ性の程度も強度であり、被害者の精神疾患につけ込み、精神科医を装ってわいせつ行為を働いた計画的かつ卑劣なものである。大きな精神的悪影響を受けた被害者が厳しい処罰感情を抱くのも当然のことであり、被告人は2021年の窃盗罪で執行猶予中だったにもかかわらず、規範意識が鈍磨しており、不自然不合理な弁解に終始し、反省の態度も乏しい。刑事責任はかなり重いものと言える」(吉田智宏裁判長)
吉田裁判長は、準強制わいせつや窃盗、詐欺の罪に問われた福田被告に対し、懲役5年を言い渡した。
度重なる再犯で福田被告の親族はサジを投げており、面会にもやって来ないし、手紙を出しても返事がない。「今後は悪いことはしない」という決意は、今度こそ実現するだろうか。
(諸岡 宏樹)