ロピアが納入業者に不当要求の疑い…大手小売りの「安さ」はワケあり? 裏にある商慣習とは

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納入業者に無償で商品陳列を手伝わせるなど、不当な要求をしていた疑いがあるとして、独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会が立ち入り検査したことが明らかになったのが、大手スーパー「ロピア」。運営するOICグループの2025年度2月期は売上高5213億円。24年2月期の4126億円から大幅に急伸している。
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近年、撤退したイトーヨーカドーの店舗や、テレビでおなじみのアキダイなどのスーパー事業だけでなく食品製造業や外食業などを傘下に収める積極的M&Aで業容拡大。だが、その裏でこうした行為が発覚したのだった。
「急成長を牽引しているのが13年に2代目社長に就任した高木勇輔氏で、21年には元フジテレビアナウンサー加藤綾子さんと結婚しています。しかし、ロピアは過去に『ブラック企業大賞』にノミネートされています」(経済ジャーナリスト)
■契約書は交わさず
ノミネートされた理由は、18年に同社食肉部門に勤務する男性が3000円相当の精肉製品をレジで精算せずに持ち帰ったことで、解雇処分になった件など。
男性は会計せずに持ち帰ったのは過失だと主張し、解雇の撤回を求めて提訴。裁判所は男性の訴えを認めて、名誉毀損の慰謝料として同社に77万円の支払いを命じた。さらに、男性は一般従業員にもかかわらず残業代が支払われない「名ばかり管理職」だったとして、未払い残業代の支払いも命じられている。
今回の納品業者による労働の無償提供について、消費経済アナリストの渡辺広明氏はこう話す。
「1980年代以降、ダイエーなどの大型スーパーが全国展開する過程で、小売りがメーカーや問屋に対して優越的地位に立つ中、慣習化していきました。自社商品を棚に置いてもらいたい営業マンが店舗オープンの際に搬入や陳列を当たり前のように手伝っていました」
流れが変わったのが、08年。公取委が小売業の優越的地位の乱用に関する注意喚起をしたことで、この商慣習は徐々に減っていたが……。
「これら労働の提供は有償化され、契約書に有償もしくは無償を選択する項目がありますが、無償を選ぶメーカーが多いため、小売り側が費用を支払うことはほとんどありません。今回、ロピアのような大手が契約書を交わさず無償対応させていたことに流通関係者の間では驚きの声があがっています」(渡辺広明氏)
ただし、中小のスーパーやドラッグストアでは、労働の無償提供がまかり通っているケースがあるという。高品質、低価格で消費者から支持されている大手食品スーパー。「安さにはワケがある」と言われても致し方ないだろう。
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