テレビ東京で放送中の深夜ドラマ「夫よ、死んでくれないか」。
原作は丸山正樹氏の小説。安達祐実・相武紗季・磯山さやかが演じる3人の女性がそれぞれの旦那に不満をもち、彼らの死を願うというマリッジサスペンスだ。
第1話が放送されると、TVerのお気に入り登録は数々のGP帯のドラマを上回り、“全夫が震える” と大きな話題になっていた。
今回はこのドラマに共感し「夫に死んでほしい」と語る女性にその胸の内を聞かせてもらった。
「夫に死んでほしい」と笑いながら話してくれたのは、澤田夏菜さん(46歳・仮名)だ。
澤田さん夫婦は結婚20年。子供はいないが、2匹の猫を我が子同然に育てている。
「東京郊外に新築の自宅と、静岡に別荘もあります。夫も私も年収は1000万円以上あるので、俗に言うパワーカップル。毎年、海外にも2回は行くし、子どももいないから自由に時間も使えるので、よく『羨ましい』と言われますね」
澤田さん夫婦は20代で結婚し、子どもを望んでいたがなかなか出来なかった。夏菜さんは妊活を望んだが、旦那はそれを拒否したという。
「拒否まではいかないかもしれませんが『病院に行くのは嫌だ』と。検査をしたりするのは嫌で『子供は自然に任せよう』と」
そうこしている内に月日は流れ、猫を飼い我が子のように可愛がるようになってからは自然とセックスレスになり、いつの間にか、お互いを「パパ」「ママ」と呼ぶようになっていた。
「新居を建てた頃には寝室も自然と別の部屋になって、本当にただの家族になっていました。人としては好きだけど、男性としては…。もちろん夫もそうでしょうけど」
セックスはないものの夫婦関係は良好。子どもがいない分、自由に時間もお金を使えて何不自由していなかった。平穏な生活が老後まで続くと思っていたが、夏菜さんは驚愕の事実を知ることとなった。
「旦那にいわゆる“隠し子” がいたんですよね…。認知までしていると人伝に知ることとなりました。『絶対に嘘』だと信じられませんでしたが、SNSで見た子供が夫に顔がソックリでした…。セックスレスだけど、周りの夫婦も似たようなものだと聞いていたので、重く受け止めていませんでした。遊びでワンナイトや風俗に行くくらいならまだしも、子どもを産ませたっていうのは許せない。もしかしたら、たまたま出来てしまったのかもしれませんが、妊活でもしていたなら許せませんね…。私との間には子どもがいないのに」
夏菜さんはこの事実を知っても離婚は一切考えていない。その理由を「プライドが許さない」と語る。
「自然と子どもがいない人生になりましたが、知人には『敢えて子どもを望まず、夫婦二人で生きていくことにした』と言っています。それなのに旦那が他所に子どもがいたなんてしれたら、私はどう思われるんでしょうか…? 哀れまれるに決まってますよね…。ただでさえ、子持ちの女性に『子どもがいなくて自由で羨ましいけど、老後寂しいよ』『子どもを育ててこそだと思っている』などと嫌味を言われてきました。こんなことがバレたら…と思うと…」
憤りを感じつつも、相手女性には慰謝料の請求などはする予定もないそうだ。その理由とは?
「相手もわかっていますし、多少のお金を取ることは出来ます。でも調べたところ、そもそも旦那から誘っているようなんです。信頼できる離婚経験のある元サレ妻に相談しましたが『きっと知りたくないことまで知ることになる』と言われて納得しました。彼女曰く、相手の女性とのLINEのやり取りや写真を見せられて『すごく惨めになった』と。場合によっては泥沼になりかねない。見てみぬふりが一番だと思いました」
「この生活を死ぬまで続けます」と話しつつも「夫には早く死んでほしい」という夏菜さん。その真意とはーー。
「やはり許せないからです。私に出来なかった子どもを、隠れて他の女とつくったこと。離婚されたらされたで頭に来ていたけど、他所につくって認知までしておきながら、しれっと私と生活しているのが許せない。離婚しないのは私のプライドを私が守りたいだけ。早く彼が死んで彼の財産を全部私のものにしたい。毎日彼を『パパ』と呼ぶ自分が惨めでなりません」
夏菜さんは「明日死んでくれても構いません」と真顔だった。
都内在住の森岡里子さん(38歳・仮名)も「夫に死んでほしい」と力なく笑う一人だ。
「2歳年上の旦那と結婚して10年目。子どもは小学生が2人います。もう夫婦仲は冷え切っていて、ここ1週間、旦那と口を聞いていません。口を聞いてもらっていないが正しいかな」
旦那は年収2000万円近くあり、人当たりも良く人望もあるそうだが「私にはすごくモラハラです」と眉をひそめた。
「月の中で同じメニューは2回まで。メインに副菜を最低2種類、サラダ・汁物は必須。それに加え、部屋はホテル並みに綺麗にしておかなければいけません。少しでも気になるところがあれば、文句を言わずに私を一切無視。最長3ヶ月だったでしょうか」
森岡さんの存在を透明人間かのように完全無視を決め込むようだが「TPOを弁えているからタチが悪い」と吐露する。
「完全無視期間であっても、子どもの前では普通に話しますし、お互いの実家に帰ったり、子どもの行事では普通にするのです。はたから見たら高収入で見た目も爽やか、さらにコミュニケーション能力が高い良いパパ。たとえ私が誰かに告げ口をしても信じてくれないと思います」
このTPOを弁えた完全無視が始まったのは、二人目の子どもが生まれた頃だった。何か旦那に無視をするきっかけはあったんだろうか?
「わかりませんね…。昇進したあたりかな。すごく他人の目を気にするから、私にも美容院のお金や友人と会う時にも余分にお金をくれたりするので助かっている部分は大きいです。でも、定期的に無視されるって結構きついですよ…。怒鳴られたり、怒られた方が私は良いです」
2年ほど前から心療内科に通い、安定剤をもらっていると話す。
「無視されているときに、すごく落ち込んでしまって『死にたい』と希死念慮まで出てきたので、病院に行きました。泣きながら離婚を切り出しましたが、それも完全無視。だから、もう夫が死ぬのを待つしかないんです」
購入したばかりの新築マンションは団体信用生命保険にはいっているため、ご主人が死んだ場合はローンがなくなる。さらに生命保険も入るため「私が働けば子ども達が成人するまではなんとかなる」と微笑む。
「『私が専業主婦で無能だから子どものために手厚い生命保険に入りたい』と頭を下げて、高額な生命保険に加入させてもらいました。ローンも無くなるし、夫が死ぬのが一番いいんです」
毎日、帰宅時間がわかるとLINEが届く。その度に森岡さんは「今日も生きているんだ…」とため息を吐く。
森岡さんは「夫の死だけが私の希望」と遠い目をしていた。
結婚後、手取り20万円男性に待ち受けていた「地獄」…「裕福な私立小の子」を見た妻が放った一言