高気圧に覆われた影響で、17日午前から全国各地で気温が上昇し、真夏並みの厳しい暑さとなった。
気象庁によると、暑さのピークは20日頃まで続く見通しで、猛暑日となる地点も多いという。専門家は「まだ暑さに慣れていない時期なので、油断している人も少なくない。梅雨期も熱中症のリスクは高く、注意が必要だ」と呼びかけている。
総務省消防庁によると、5月以降に熱中症で救急搬送された人は今月8日までに3833人(速報値)。2008年の統計開始以来最多となった昨夏(5~9月で計9万7578人)の同時期(3665人)を上回っている。発生場所は住居が27・8%と最も多く、道路(20・2%)、駅の屋外ホームや屋外駐車場など(14・7%)と続く。
熱中症に詳しい埼玉慈恵病院(埼玉県熊谷市)の藤永剛副院長は、「梅雨期は、高湿度による熱中症のリスクもある」と指摘する。
東京都江東区の女性(86)は今月、自宅居間で昼寝中に頭痛や吐き気に襲われ、病院に行くと「軽度の熱中症」と診断された。朝から雨で窓を閉めきっていたが、「まだ夏じゃないから」とエアコンの使用を控えていたという。
藤永さんによると、こうした「梅雨型熱中症」は高湿度が原因で起こる。高湿度だと汗をかいても蒸発しにくく、体内に熱がこもりやすくなるという。
気付かないうちに体内の水分が減る「隠れ脱水」にも注意が必要だ。湿度が高いと喉の渇きを感じにくいため、知らぬ間に脱水症状が進み、熱中症のリスクが高まるという。
藤永さんは「梅雨型は通常の熱中症よりもジワジワと進行するため、本人も異変に気付きにくい。『この時期だから大丈夫』と油断しないでほしい」と話している。