《懲役は…》犯人と被害者は『不倫関係』にあっただけじゃない…日本人女性(44)とベトナム人女性(24)を殺害、彼女たちの臓物まで「欲望のはけ口にした」凶悪男のその後(平成23年)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

〈『ほとんど全裸の女性写真』がなぜ携帯に? 「がんで闘病中の夫のために働く女性(44)」を殺害した犯人男→逮捕後にわかった「もっと凶悪な罪」とは(平成23年)〉から続く
男はなぜ不倫関係にあった女性(当時44)を殺害したのか? 逮捕後、明らかになったベトナム人女性(同24)殺害の理由とは? 平成23年に起きた怖すぎる事件の顛末をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
【写真ページ】なぜ携帯に? ズタボロに切り裂かれた『ほとんど全裸の女性写真』
写真はイメージ getty
◆◆◆
警察は5年前に発生し、未解決事件になっていたベトナム人女性殺人事件の捜査本部に連絡。清川の自宅を捜索したところ、被害者の血痕がついた果物ナイフや鉄パイプを発見。被害者の遺体から検出された唾液のDNAが清川のものと一致したことから、まずはベトナム人女性のグェン・ティ・トゥイさん(同24)に対する殺人容疑で逮捕した。
動かぬ証拠を突きつけられ、清川は犯行を認めた。事件当時はトラック運転手をしていた。トゥイさんが住んでいた自宅アパートは、運転手たちが休憩に使うオートレストランの前にあった。トゥイさんは同郷の若い男女とアパート前でよく談笑していた。
事件前、トゥイさんを見かけた清川は一方的に一目惚れ。トゥイさんの住んでいたアパートの部屋をベランダ側に回って覗くようになり、ある日、1人で寝ている姿を確認。玄関のドアノブを回したところ、無施錠であることに気付いた。
「チャンスだ。襲うことができるかもしれないぞ!」
清川は千載一遇のチャンスに舞い上がり、車に積んでいた鉄パイプなどを取りに行った。そして、寝ているトゥイさんの頭にいきなり鉄パイプを振り下ろしたのだ。
「ギャーッ!」
悲鳴を上げたトゥイさんに馬乗りになり、首を絞めて殺害。衣服をまくりあげて乳房を舐め、下着を引き下ろして、陰部を携帯で撮影した。
清川はこの犯行について次のように述べている。
「扉が開くなんて予想もしていなかったので、異常なぐらい舞い上がる感情を覚えた。騒げば頭を殴るつもりで鉄パイプや軍手を用意した。部屋に人がいないことを確認し、服の上から胸を触っていたら、目を覚まして大声を上げたので、『殺すぞ!』と脅し、口を手でふさいだ。それでも声を上げて抵抗するので、鉄パイプで力任せに頭を6回ほど殴った。いったん静かになったが、また声を出して暴れ始めたので、生きたまま強姦するのをあきらめた。屍姦しようと思い、動かなくなるまで首を両手で絞め続けた。服を乳房の上までまくり上げ、揉んだり舐めたりしたが、下着を脱がして陰部を触っても勃起しないので、強姦するのはあきらめた」
さらにここからが清川の異常なところで、台所にあった果物ナイフで胸を切り裂き、手を差し入れて内臓を露出させ、携帯で撮影。その傷口から血液を飲んだような痕跡もあった。
トゥイさんの遺体は翌朝に戻ってきたルームメイトのベトナム人女性が発見した。ただちに警察に通報したが、交友関係からは清川は当然浮上せず、事件は未解決のままだった。
トゥイさんの遺体を見た当時の雇用主は次のように語っている。
「トゥイさんは布団の上で横たわっていたが、何か不自然な感じがした。遺体を見たときに何で血がないんだと思った。布団にもシワ一つない。不思議でしょうがなかった。警察にも言った。死んだときに何でこんな形で……。不思議な遺体だった」
一方、清川は事件の1カ月後に遅刻などが原因で運送会社をクビになり、生活の困窮などからひったくり事件を起こした。
その捜査ではトゥイさん事件は発覚せず、窃盗罪のみで起訴され、懲役1年2カ月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。その後、地元に戻ってコンビニで働き始め、そこで知り合ったのが下山由香里さんだった。

清川と由香里さんは早朝のシフトが重なることが多く、親しい関係になった。事件の半年前には男女の関係になったが、その直後、由香里さんは別にアルバイトしていたビジネスホテルの同僚の男性とも男女の関係となり、2人の間で揺れ動いた由香里さんは、清川とは別の男性を選び、清川には別れ話を切り出した。それに清川が納得せず、ヨリを戻すためにトラブルになっていた。
由香里さんの失踪当日、遺体発見現場近くのトンネル付近で由香里さんと清川が会っているところが目撃された。その現場には由香里さんが乗っていた軽自動車が乗り捨てられていた。
清川は由香里さんと会っていたことや、警察に「遺体を発見した」という通報をしたことは認めたが、次のような言い訳を重ねて殺害や死体遺棄は否認した。
「彼女を車に乗せて、『道の駅』へ行ったが、そこで口論になり、彼女は車から降りてしまった。自分はその日、コンビニの勤務のシフトが入っていたので、彼女をそこに置いたまま、店に向かった。彼女はその後、別のトラブルに巻き込まれて殺害された可能性がある。遺体を発見したのはドライブ中、たまたま彼女の死体が見えたから。自分は彼女と不倫関係だったので、彼女の夫にバレたらマズイと思ったし、犯人なら自分から通報したりなんかしない」
だが、家宅捜索の結果、由香里さんのDNAを含む皮膚片が清川の車のトランク内にあったネックストラップから採取され、清川が所持していたデジタルカメラのメモリーからは由香里さんの遺体の画像が発見された。トゥイさんの遺体と同じように、由香里さんの陰部を撮影したものや、胸を切り裂き、手を差し入れて内臓を露出させた画像も残されていた。
由香里さんの遺体はほとんど動物に食い散らかされており、右腕が発見されなかった。着衣が周囲に散乱し、ほぼ白骨化。椎間板断裂のケガを負っており、刃物で背中を部分切断された跡もあった。
検察は「清川が被害者に暴力を加えて死亡させ、山中に捨てた」と断定。遺体発見現場が標高1000メートルを超える山岳地帯で、地元住民が誰一人、遺体に気付かなかったという状況を立証するため、地元の郵便局員などにも法廷で証言させた。
「被告人の主張はあり得ない偶然に満ちていて、話を作り上げているのは明らか。被告人が犯人でなければ、合理的な説明がつかない」
清川は2つの事件の間に窃盗罪で有罪判決を受けていたため、併合罪は適用されず、別々の事件として審理されることになった。
その結果、トゥイさんに対する殺人罪で無期懲役、由香里さんに対する傷害致死罪では求刑を5年上回る懲役20年を言い渡された。清川には刑法の規定で無期懲役が先に科されることになった。
「被告人が犯人であることは明らか。欲望の赴くままに犯行を繰り返しており、法律上選択し得る最高刑をもって臨むほかない」
清川の公判では、清川が撮った写真を白黒に加工して裁判員にも公開されたが、それを見た若い女性の裁判員が嘔吐しそうになり、よろめいて自分で立ち上がることもできなくなったため、その日の公判自体が中止になったこともあった。
清川は3人兄弟の次男である。窃盗などで前科4犯があり、結婚歴はない。清川の兄は情状証人として出廷し、次のように述べた。
「実家に帰ってきたのは、窃盗で警察に捕まったという理由だが、謝罪の言葉を聞いたことがない。今現在、町内会の付き合いが断たれてしまって、私自身、仕事に行くのが精一杯の状態。一番下の弟は子どもが4人いて、母を含めた計8人で生活しているが、子どもたちがどんな辛い思いをするのか気がかりだ。明雄は何事に対しても人のせいにするところがあった。母も明雄の行く末を心配しているが、長くかかっても反省の機会が与えられるなら、与えてもらいたい」
死体に性的興奮を覚える異常性癖をネクロフィリアと呼ぶ。海外には報告例が多いが、こうした性的倒錯者は孤独を紛らわすため、何年も殺人などを空想し、やがて強烈な刺激を求め始める。
清川も少年時代から「ガンキン(ばい菌)」などとからかわれ、反撃もしてこないことから、「面白味のない奴」として、誰の印象にも残らないほど孤独な男だった。そんな男が長年にわたり、ネクロフィリアの空想を膨らましたのだろうか。
もっとも清川はその性癖を否定し、何度も内臓の写真を撮っていた理由について聞かれたが、「なぜそんなことをしたのか分からない。内臓を見たいという欲求はない。刑事に『トゥイさんの写真を撮って、センズリしとったんだろう』と言われましたが、そんなことはしていないと否認しました」などと繰り返した。それなのに内臓の写真を携帯の待ち受け画面にしていた。
清川の心の内は誰にも分からないが、清川が再びシャバに出てくる可能性はゼロだろう。
(諸岡 宏樹)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。