“禁断の果実”に手を出した代償は大きすぎたようだ――。
国民民主党から参院選比例代表で立候補を予定していた山尾志桜里元衆院議員(50)が一転して、同党から公認を見送られた。山尾氏の擁立を決めてから、急速に支持者が離れていったためだ。
あまりにもお粗末な幕引きに、党内では玉木雄一郎代表(56)の責任論を問う声も上がり始めている。
山尾氏の公認取り消しは6月11日午後、急転直下で決まった。
前日10日には山尾氏は国会内で“出馬会見”を開き、100人以上の報道陣が集結。過去の不倫疑惑を皮切りに、“ガソリーヌ”の異名までついた地球5周分のガソリン代計上、JR乗り放題の議員パスの私的利用などについて話が及んだ。
なかでも質問が相次いだのが、当時、山尾氏の政策ブレーンを務めた男性との不倫疑惑だ。
8年前に大々的に報じられるも、山尾氏は「公私の線引き」を理由に説明責任を果たさず。挙げ句、
「むき出しの好奇心には屈しない」
と捨てゼリフを吐いて、その後、同氏は政界を離れた。
この日の会見でそのことについて聞かれた山尾氏は“私的な件”とした上で
「いろいな立場の方にご迷惑をかける。何か新しいことをお話しすることは控えさせてください」
とコメント。集まった報道陣からは
「何のための会見なんだ!」
「不倫していないのならそう言えばいいじゃないか!」
と怒号ともとれる声が飛び交った
現場取材した全国紙記者の一人は
「会見の感じを見る限り、不倫自体を認めたわけではないという印象。これでは国民が納得できるはずもない」
と指摘する。
会見では不倫相手とされる男性の元妻が自死した件についても質問が飛んだ。山尾氏はこれに
「申し訳ないんですけれど、いまご指摘のことについて、私は事情を存じ上げません。そういうなかで、何か私が皆さんに伝えることが、どうしてもできません。さらに、いろいろな立場の方にご迷惑をおかけすることになるのではないかと思います。本当に申し訳ありません。この場でその件についてお話しさせていただくのは、控えさせてください」
と話すのみ。
たしかに山尾氏の不倫疑惑と元妻自死の因果関係は不明。とはいえ、支持者の多くはこの件に最も注目していただけに、事実上の“ゼロ回答”には強烈な不満が残ったようだ。
「不倫疑惑の先にある元妻の死去。これに山尾氏がどう向き合っているのかが、最大の焦点だった。これに対し、山尾氏は事前に想定していた回答を話すだけ。会見は大失敗。むしろ火に油を注ぐ結果となってしまった」(スポーツ紙記者)
会見後から、国民民主党には支持者から“お怒り”の連絡が相次いだという。それまで“手取りを増やす”のキャッチコピーで破竹の勢いの同党だったが、山尾氏擁立を決めてから支持率が急降下。山尾氏本人の会見に一縷の望みをかけたが、それも失敗に終わり、ついに公認取り消しという異常事態を招くことになった。
「やはり国民民主党を古くから支えてきた支持者が離れていったことが大きい。一部では参院選は自公が盤石で、国民民主は苦戦するといった調査結果も出ている。これに党執行部は顔面蒼白になった」(政界関係者)
山尾氏の擁立は玉木代表の肝いりだった。公認を取り消したからといって、元の支持率に戻ることは不可能との見方も。前出の政界関係者は
「こうなることを予測できなかった玉木氏の責任は大きい」
とも語る。
政治評論家の有馬晴海氏も、
「山尾さんを含めて、須藤元気氏や足立康史氏、薬師寺道代氏ら元政治家を立候補させざるを得ないところは、国民民主党の人材不足を露呈していますね。ただ、今回の山尾さんの件では、党内からも多くの人が公認候補に推した玉木さんに呆れていました。支持者の方は黙って去っていくもの。山尾さんが失速の原因だったのは間違いないでしょうね」
と分析する。
山尾氏は6月12日にXを更新し、
《(国民民主党の)統治能力には深刻な疑問を抱いておりますので、今後は一線を画させて頂ければと思っております》
と、まさに“捨てゼリフ”を吐いて国民民主党からの離党を表明した。
政界復帰する気満々だった山尾氏にとって、急にはしごを外され納得いかない気持ちがにじみ出ている。今後、彼女がどのようなアクションを起こすか見ものだ――。