「カッターで自傷しろ」「慰謝料か切腹」“ハウル”が消えたトー横の治安が「北斗の拳」状態に 献花台には「次は地獄でカンパイ!」とも…

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

歌舞伎町・新宿東宝ビル横の広場などに集う少年少女たち、通称“トー横キッズ”。
【写真】地雷系ファッションの10代前半に見える少女たちの姿も… 彼らに炊き出しで食事を与え、広場の清掃活動などをしてきたボランティア団体「歌舞伎町卍会」の通称“ハウル”こと、小川雅朝被告(33)が少女にみだらな行為をしたとして逮捕されたのが6月のこと。 あれから5カ月後の11月15日、突然の訃報が新宿を駆け巡った。11月22日に初公判を控えた矢先に、勾留先の東京拘置所で死亡が確認された。全国紙社会部記者が解説する。

「小川被告の死因はまだわかっていません。逮捕前から精神安定剤を服用し、周囲には『群発性頭痛がある』『心臓が痛い』など持病を窺わせる発言もあったといいます。逮捕後にはさらに精神的に不安定になり、まともに取調べも受けられない状態でした。ただ10月下旬に一度は落ち着き、会話したり文字を書いたりできるくらいまで回復していたといいます。初公判で事件の真相が語られるのか注目が集まっていた矢先の悲報でした」トー横広場に設置されたハウルこと小川雅朝被告の献花台「ハウル 次は地獄でカンパイ!」 トー横広場の小川被告がよく座っていたという一角には椅子が1つ置かれ、大量の花束や煙草、菓子が供えられ“献花台”ができていた。なかには「ハウル 次は地獄でカンパイ!」と書かれた高級スパークリングワインまであった。「ハウルはバラの刺青を入れてたから……」と、バラを供える青年や、少年院から出所したものの行き場を失っていた時に「飯食うか?」とハウルに声をかけられて居場所ができたという青年まで、多くの人が線香を手向けて死を弔っていた。トー横に出入りする30代の男性はハウルの話をする時、懐かしそうな顔になる。「最初にハウルに会ったのは去年の秋。全身刺青で奇抜な服装、振る舞いも落ち着きがなくて相当ヤバい奴だと思いました。だけど話が一段落すると、いきなり手袋をはめて『よし、やるぞ!』とトー横の掃除を始めた。周りにいたゴミ拾いが似合わない派手な服装の女の子たちも一緒に掃除を始めて『いいことやってんじゃん』と思いましたね。逮捕されたのは言い訳できないですけどね……」 少女に手を出した事件については口を濁しつつも、全体的にはハウルに対して好意的なようだった。しかし一方で、“弔いムード”に乗りきれないキッズも多い。昨年からトー横に来るようになったという“古参”キッズの20代の男性が話す。「僕はそこまでハウルと仲が良かったわけでもないけど線香はあげました。ただ、彼を嫌って『絶対に線香なんかやらない!』というキッズも多いですよ。ご飯を渡すかわりに女の子にLINEを聞いてしつこく連絡してくるという話も逮捕前からよく聞いていました。彼は広場を仕切りたい気持ちがあったので反対するメンバーの嘘の噂を仲間内のLINEグループで流して嫌がらせをすることもあり、慕う人も多かったけど敵も多かったですね」 突然の訃報から3日後の11月18日、トー横に区の職員が清掃に入り、広場を占拠していた椅子などが撤去された。しかし“献花台”だけは撤去されずに今も残っている。キッズたちはここを「ハウルのお墓」と呼んでいる。歌舞伎町関係者が語る。「ハウルが亡くなった当日に、元卍会のメンバーの1人が花を持って広場にやってきたのが“お墓”の始まりでした。ハウルに世話になった人がどんどん集まり、供え物が増えていった。逮捕されて急に広場から消えたことで『お礼が言えなかった』という人も多かったのでしょう。もちろん少女への淫行や金にがめついところなど、悪いところはたくさんありました。ただ彼に救われた人が多かったことは、献花台に集まった人やモノを見ればわかります」ハウルの死後、「オレオレ詐欺」や美人局も急増中 ハウルはトー横広場に出入りする大麻の売人や特殊詐欺を持ち掛ける大人を広場から“出禁”にしていて、「ハウルが逮捕される前の方がトー横の治安は良かった」と言う人もいる。夏休み期間は警察による一斉補導でキッズの数は一時的に減ったが、補導の頻度が減った9月以降は再び人が集まり始め、ハウルに“出禁”にされていた人々も広場に舞い戻り、現在のトー横はカオスになっているという。別の歌舞伎町関係者が語る。「広場のあちこちで殴り合いも起きるようになり、いまでは『北斗の拳』状態です。ハウルは良くも悪くも広場の顔役で、大麻を売る人間ににらみをきかせ、薬物に手を出してオーバードーズになったキッズのことも心配していました。パパ活はキッズの収入源なので黙認していましたが、悪質な手法は嫌っていた。それが今は地方から上京した売人や、『オレオレ詐欺』の“出し子”をキッズに斡旋する中年男性も広場に出入りしている。彼らの舎弟のようになって、大麻を吸ったり詐欺に加担して逮捕されたキッズもいます。おじさんをターゲットにしたツツ(美人局)も増えています」 トー横では、未成年の女の子がSNSで知り合った男性との売春を繰り返す姿がたびたび報じられてきた。なかには女の子が中学1年生のケースもあるといい、SNS上では月に200万円稼いだとお金を見せびらかす投稿さえある。トー横で売春をするキッズが増えすぎて、近くの大久保公園で“立ちんぼ”をする子まで現れたという。「慰謝料を払うか切腹しろ」 それほどお金が必要な理由は、生活費に加えて“リアコシステム”と呼ばれるものの影響がある。“リアコシステム”とは、女性が気に入った男性に金銭を支払い、男性は女の子の「メンケア」(メンタルケア)をする。リアコとは「リアルに恋している」の略だが、金銭が絡むため男女関係のもつれが大きなトラブルに発展するケースもあるという。前述の30代の歌舞伎町関係者が続ける。「トー横のAちゃんはリアコのBくんに普段からお金を渡していたのですが、9月のある日他の男の子のCくんと一緒に、たまり場になっている新宿のビジネスホテルで睡眠薬を飲んで寝ていたそうです。そこへリアコのBくんが乗り込んできて『何やってんだ!』とCくんを駐車場に連れていってボコボコにし『カッターで自傷しろ』と強制しました。その後も馬乗りになって殴り『慰謝料を払うか切腹しろ』と迫りました。根性焼きをされ、コンビニに連れていかれて金を下ろすように言われたのですがCくんはなんとか交番に駆け込み、被害届を出してBくんの追及は止んだようです。トー横の治安の悪さを象徴する、危険な事件だと思います」 記者がトー横を訪れた際も、スーツケースを引いて歩く10代前半にしか見えない家出風の女子と何人もすれ違った。保護者が行方不明者届を出して保護される人が多いというが、トー横に居ついて犯罪に巻き込まれるケースもある。 “ハウル”がいなくなったトー横で、今も若者たちは傷つき続けているのだ。「過干渉な親に『裏切者!』と責められ…」“穏健派キッズ”の10代男女がそれでもトー横に通う「切実な理由」とは… へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
彼らに炊き出しで食事を与え、広場の清掃活動などをしてきたボランティア団体「歌舞伎町卍会」の通称“ハウル”こと、小川雅朝被告(33)が少女にみだらな行為をしたとして逮捕されたのが6月のこと。
あれから5カ月後の11月15日、突然の訃報が新宿を駆け巡った。11月22日に初公判を控えた矢先に、勾留先の東京拘置所で死亡が確認された。全国紙社会部記者が解説する。
「小川被告の死因はまだわかっていません。逮捕前から精神安定剤を服用し、周囲には『群発性頭痛がある』『心臓が痛い』など持病を窺わせる発言もあったといいます。逮捕後にはさらに精神的に不安定になり、まともに取調べも受けられない状態でした。ただ10月下旬に一度は落ち着き、会話したり文字を書いたりできるくらいまで回復していたといいます。初公判で事件の真相が語られるのか注目が集まっていた矢先の悲報でした」
トー横広場に設置されたハウルこと小川雅朝被告の献花台
トー横広場の小川被告がよく座っていたという一角には椅子が1つ置かれ、大量の花束や煙草、菓子が供えられ“献花台”ができていた。なかには「ハウル 次は地獄でカンパイ!」と書かれた高級スパークリングワインまであった。
「ハウルはバラの刺青を入れてたから……」と、バラを供える青年や、少年院から出所したものの行き場を失っていた時に「飯食うか?」とハウルに声をかけられて居場所ができたという青年まで、多くの人が線香を手向けて死を弔っていた。トー横に出入りする30代の男性はハウルの話をする時、懐かしそうな顔になる。
「最初にハウルに会ったのは去年の秋。全身刺青で奇抜な服装、振る舞いも落ち着きがなくて相当ヤバい奴だと思いました。だけど話が一段落すると、いきなり手袋をはめて『よし、やるぞ!』とトー横の掃除を始めた。周りにいたゴミ拾いが似合わない派手な服装の女の子たちも一緒に掃除を始めて『いいことやってんじゃん』と思いましたね。逮捕されたのは言い訳できないですけどね……」 少女に手を出した事件については口を濁しつつも、全体的にはハウルに対して好意的なようだった。しかし一方で、“弔いムード”に乗りきれないキッズも多い。昨年からトー横に来るようになったという“古参”キッズの20代の男性が話す。「僕はそこまでハウルと仲が良かったわけでもないけど線香はあげました。ただ、彼を嫌って『絶対に線香なんかやらない!』というキッズも多いですよ。ご飯を渡すかわりに女の子にLINEを聞いてしつこく連絡してくるという話も逮捕前からよく聞いていました。彼は広場を仕切りたい気持ちがあったので反対するメンバーの嘘の噂を仲間内のLINEグループで流して嫌がらせをすることもあり、慕う人も多かったけど敵も多かったですね」 突然の訃報から3日後の11月18日、トー横に区の職員が清掃に入り、広場を占拠していた椅子などが撤去された。しかし“献花台”だけは撤去されずに今も残っている。キッズたちはここを「ハウルのお墓」と呼んでいる。歌舞伎町関係者が語る。「ハウルが亡くなった当日に、元卍会のメンバーの1人が花を持って広場にやってきたのが“お墓”の始まりでした。ハウルに世話になった人がどんどん集まり、供え物が増えていった。逮捕されて急に広場から消えたことで『お礼が言えなかった』という人も多かったのでしょう。もちろん少女への淫行や金にがめついところなど、悪いところはたくさんありました。ただ彼に救われた人が多かったことは、献花台に集まった人やモノを見ればわかります」ハウルの死後、「オレオレ詐欺」や美人局も急増中 ハウルはトー横広場に出入りする大麻の売人や特殊詐欺を持ち掛ける大人を広場から“出禁”にしていて、「ハウルが逮捕される前の方がトー横の治安は良かった」と言う人もいる。夏休み期間は警察による一斉補導でキッズの数は一時的に減ったが、補導の頻度が減った9月以降は再び人が集まり始め、ハウルに“出禁”にされていた人々も広場に舞い戻り、現在のトー横はカオスになっているという。別の歌舞伎町関係者が語る。「広場のあちこちで殴り合いも起きるようになり、いまでは『北斗の拳』状態です。ハウルは良くも悪くも広場の顔役で、大麻を売る人間ににらみをきかせ、薬物に手を出してオーバードーズになったキッズのことも心配していました。パパ活はキッズの収入源なので黙認していましたが、悪質な手法は嫌っていた。それが今は地方から上京した売人や、『オレオレ詐欺』の“出し子”をキッズに斡旋する中年男性も広場に出入りしている。彼らの舎弟のようになって、大麻を吸ったり詐欺に加担して逮捕されたキッズもいます。おじさんをターゲットにしたツツ(美人局)も増えています」 トー横では、未成年の女の子がSNSで知り合った男性との売春を繰り返す姿がたびたび報じられてきた。なかには女の子が中学1年生のケースもあるといい、SNS上では月に200万円稼いだとお金を見せびらかす投稿さえある。トー横で売春をするキッズが増えすぎて、近くの大久保公園で“立ちんぼ”をする子まで現れたという。「慰謝料を払うか切腹しろ」 それほどお金が必要な理由は、生活費に加えて“リアコシステム”と呼ばれるものの影響がある。“リアコシステム”とは、女性が気に入った男性に金銭を支払い、男性は女の子の「メンケア」(メンタルケア)をする。リアコとは「リアルに恋している」の略だが、金銭が絡むため男女関係のもつれが大きなトラブルに発展するケースもあるという。前述の30代の歌舞伎町関係者が続ける。「トー横のAちゃんはリアコのBくんに普段からお金を渡していたのですが、9月のある日他の男の子のCくんと一緒に、たまり場になっている新宿のビジネスホテルで睡眠薬を飲んで寝ていたそうです。そこへリアコのBくんが乗り込んできて『何やってんだ!』とCくんを駐車場に連れていってボコボコにし『カッターで自傷しろ』と強制しました。その後も馬乗りになって殴り『慰謝料を払うか切腹しろ』と迫りました。根性焼きをされ、コンビニに連れていかれて金を下ろすように言われたのですがCくんはなんとか交番に駆け込み、被害届を出してBくんの追及は止んだようです。トー横の治安の悪さを象徴する、危険な事件だと思います」 記者がトー横を訪れた際も、スーツケースを引いて歩く10代前半にしか見えない家出風の女子と何人もすれ違った。保護者が行方不明者届を出して保護される人が多いというが、トー横に居ついて犯罪に巻き込まれるケースもある。 “ハウル”がいなくなったトー横で、今も若者たちは傷つき続けているのだ。「過干渉な親に『裏切者!』と責められ…」“穏健派キッズ”の10代男女がそれでもトー横に通う「切実な理由」とは… へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「最初にハウルに会ったのは去年の秋。全身刺青で奇抜な服装、振る舞いも落ち着きがなくて相当ヤバい奴だと思いました。だけど話が一段落すると、いきなり手袋をはめて『よし、やるぞ!』とトー横の掃除を始めた。周りにいたゴミ拾いが似合わない派手な服装の女の子たちも一緒に掃除を始めて『いいことやってんじゃん』と思いましたね。逮捕されたのは言い訳できないですけどね……」
少女に手を出した事件については口を濁しつつも、全体的にはハウルに対して好意的なようだった。しかし一方で、“弔いムード”に乗りきれないキッズも多い。昨年からトー横に来るようになったという“古参”キッズの20代の男性が話す。
「僕はそこまでハウルと仲が良かったわけでもないけど線香はあげました。ただ、彼を嫌って『絶対に線香なんかやらない!』というキッズも多いですよ。ご飯を渡すかわりに女の子にLINEを聞いてしつこく連絡してくるという話も逮捕前からよく聞いていました。彼は広場を仕切りたい気持ちがあったので反対するメンバーの嘘の噂を仲間内のLINEグループで流して嫌がらせをすることもあり、慕う人も多かったけど敵も多かったですね」
突然の訃報から3日後の11月18日、トー横に区の職員が清掃に入り、広場を占拠していた椅子などが撤去された。しかし“献花台”だけは撤去されずに今も残っている。キッズたちはここを「ハウルのお墓」と呼んでいる。歌舞伎町関係者が語る。
「ハウルが亡くなった当日に、元卍会のメンバーの1人が花を持って広場にやってきたのが“お墓”の始まりでした。ハウルに世話になった人がどんどん集まり、供え物が増えていった。逮捕されて急に広場から消えたことで『お礼が言えなかった』という人も多かったのでしょう。もちろん少女への淫行や金にがめついところなど、悪いところはたくさんありました。ただ彼に救われた人が多かったことは、献花台に集まった人やモノを見ればわかります」ハウルの死後、「オレオレ詐欺」や美人局も急増中 ハウルはトー横広場に出入りする大麻の売人や特殊詐欺を持ち掛ける大人を広場から“出禁”にしていて、「ハウルが逮捕される前の方がトー横の治安は良かった」と言う人もいる。夏休み期間は警察による一斉補導でキッズの数は一時的に減ったが、補導の頻度が減った9月以降は再び人が集まり始め、ハウルに“出禁”にされていた人々も広場に舞い戻り、現在のトー横はカオスになっているという。別の歌舞伎町関係者が語る。「広場のあちこちで殴り合いも起きるようになり、いまでは『北斗の拳』状態です。ハウルは良くも悪くも広場の顔役で、大麻を売る人間ににらみをきかせ、薬物に手を出してオーバードーズになったキッズのことも心配していました。パパ活はキッズの収入源なので黙認していましたが、悪質な手法は嫌っていた。それが今は地方から上京した売人や、『オレオレ詐欺』の“出し子”をキッズに斡旋する中年男性も広場に出入りしている。彼らの舎弟のようになって、大麻を吸ったり詐欺に加担して逮捕されたキッズもいます。おじさんをターゲットにしたツツ(美人局)も増えています」 トー横では、未成年の女の子がSNSで知り合った男性との売春を繰り返す姿がたびたび報じられてきた。なかには女の子が中学1年生のケースもあるといい、SNS上では月に200万円稼いだとお金を見せびらかす投稿さえある。トー横で売春をするキッズが増えすぎて、近くの大久保公園で“立ちんぼ”をする子まで現れたという。「慰謝料を払うか切腹しろ」 それほどお金が必要な理由は、生活費に加えて“リアコシステム”と呼ばれるものの影響がある。“リアコシステム”とは、女性が気に入った男性に金銭を支払い、男性は女の子の「メンケア」(メンタルケア)をする。リアコとは「リアルに恋している」の略だが、金銭が絡むため男女関係のもつれが大きなトラブルに発展するケースもあるという。前述の30代の歌舞伎町関係者が続ける。「トー横のAちゃんはリアコのBくんに普段からお金を渡していたのですが、9月のある日他の男の子のCくんと一緒に、たまり場になっている新宿のビジネスホテルで睡眠薬を飲んで寝ていたそうです。そこへリアコのBくんが乗り込んできて『何やってんだ!』とCくんを駐車場に連れていってボコボコにし『カッターで自傷しろ』と強制しました。その後も馬乗りになって殴り『慰謝料を払うか切腹しろ』と迫りました。根性焼きをされ、コンビニに連れていかれて金を下ろすように言われたのですがCくんはなんとか交番に駆け込み、被害届を出してBくんの追及は止んだようです。トー横の治安の悪さを象徴する、危険な事件だと思います」 記者がトー横を訪れた際も、スーツケースを引いて歩く10代前半にしか見えない家出風の女子と何人もすれ違った。保護者が行方不明者届を出して保護される人が多いというが、トー横に居ついて犯罪に巻き込まれるケースもある。 “ハウル”がいなくなったトー横で、今も若者たちは傷つき続けているのだ。「過干渉な親に『裏切者!』と責められ…」“穏健派キッズ”の10代男女がそれでもトー横に通う「切実な理由」とは… へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「ハウルが亡くなった当日に、元卍会のメンバーの1人が花を持って広場にやってきたのが“お墓”の始まりでした。ハウルに世話になった人がどんどん集まり、供え物が増えていった。逮捕されて急に広場から消えたことで『お礼が言えなかった』という人も多かったのでしょう。もちろん少女への淫行や金にがめついところなど、悪いところはたくさんありました。ただ彼に救われた人が多かったことは、献花台に集まった人やモノを見ればわかります」
ハウルはトー横広場に出入りする大麻の売人や特殊詐欺を持ち掛ける大人を広場から“出禁”にしていて、「ハウルが逮捕される前の方がトー横の治安は良かった」と言う人もいる。夏休み期間は警察による一斉補導でキッズの数は一時的に減ったが、補導の頻度が減った9月以降は再び人が集まり始め、ハウルに“出禁”にされていた人々も広場に舞い戻り、現在のトー横はカオスになっているという。別の歌舞伎町関係者が語る。
「広場のあちこちで殴り合いも起きるようになり、いまでは『北斗の拳』状態です。ハウルは良くも悪くも広場の顔役で、大麻を売る人間ににらみをきかせ、薬物に手を出してオーバードーズになったキッズのことも心配していました。パパ活はキッズの収入源なので黙認していましたが、悪質な手法は嫌っていた。それが今は地方から上京した売人や、『オレオレ詐欺』の“出し子”をキッズに斡旋する中年男性も広場に出入りしている。彼らの舎弟のようになって、大麻を吸ったり詐欺に加担して逮捕されたキッズもいます。おじさんをターゲットにしたツツ(美人局)も増えています」 トー横では、未成年の女の子がSNSで知り合った男性との売春を繰り返す姿がたびたび報じられてきた。なかには女の子が中学1年生のケースもあるといい、SNS上では月に200万円稼いだとお金を見せびらかす投稿さえある。トー横で売春をするキッズが増えすぎて、近くの大久保公園で“立ちんぼ”をする子まで現れたという。「慰謝料を払うか切腹しろ」 それほどお金が必要な理由は、生活費に加えて“リアコシステム”と呼ばれるものの影響がある。“リアコシステム”とは、女性が気に入った男性に金銭を支払い、男性は女の子の「メンケア」(メンタルケア)をする。リアコとは「リアルに恋している」の略だが、金銭が絡むため男女関係のもつれが大きなトラブルに発展するケースもあるという。前述の30代の歌舞伎町関係者が続ける。「トー横のAちゃんはリアコのBくんに普段からお金を渡していたのですが、9月のある日他の男の子のCくんと一緒に、たまり場になっている新宿のビジネスホテルで睡眠薬を飲んで寝ていたそうです。そこへリアコのBくんが乗り込んできて『何やってんだ!』とCくんを駐車場に連れていってボコボコにし『カッターで自傷しろ』と強制しました。その後も馬乗りになって殴り『慰謝料を払うか切腹しろ』と迫りました。根性焼きをされ、コンビニに連れていかれて金を下ろすように言われたのですがCくんはなんとか交番に駆け込み、被害届を出してBくんの追及は止んだようです。トー横の治安の悪さを象徴する、危険な事件だと思います」 記者がトー横を訪れた際も、スーツケースを引いて歩く10代前半にしか見えない家出風の女子と何人もすれ違った。保護者が行方不明者届を出して保護される人が多いというが、トー横に居ついて犯罪に巻き込まれるケースもある。 “ハウル”がいなくなったトー横で、今も若者たちは傷つき続けているのだ。「過干渉な親に『裏切者!』と責められ…」“穏健派キッズ”の10代男女がそれでもトー横に通う「切実な理由」とは… へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「広場のあちこちで殴り合いも起きるようになり、いまでは『北斗の拳』状態です。ハウルは良くも悪くも広場の顔役で、大麻を売る人間ににらみをきかせ、薬物に手を出してオーバードーズになったキッズのことも心配していました。パパ活はキッズの収入源なので黙認していましたが、悪質な手法は嫌っていた。それが今は地方から上京した売人や、『オレオレ詐欺』の“出し子”をキッズに斡旋する中年男性も広場に出入りしている。彼らの舎弟のようになって、大麻を吸ったり詐欺に加担して逮捕されたキッズもいます。おじさんをターゲットにしたツツ(美人局)も増えています」
トー横では、未成年の女の子がSNSで知り合った男性との売春を繰り返す姿がたびたび報じられてきた。なかには女の子が中学1年生のケースもあるといい、SNS上では月に200万円稼いだとお金を見せびらかす投稿さえある。トー横で売春をするキッズが増えすぎて、近くの大久保公園で“立ちんぼ”をする子まで現れたという。
「慰謝料を払うか切腹しろ」 それほどお金が必要な理由は、生活費に加えて“リアコシステム”と呼ばれるものの影響がある。“リアコシステム”とは、女性が気に入った男性に金銭を支払い、男性は女の子の「メンケア」(メンタルケア)をする。リアコとは「リアルに恋している」の略だが、金銭が絡むため男女関係のもつれが大きなトラブルに発展するケースもあるという。前述の30代の歌舞伎町関係者が続ける。「トー横のAちゃんはリアコのBくんに普段からお金を渡していたのですが、9月のある日他の男の子のCくんと一緒に、たまり場になっている新宿のビジネスホテルで睡眠薬を飲んで寝ていたそうです。そこへリアコのBくんが乗り込んできて『何やってんだ!』とCくんを駐車場に連れていってボコボコにし『カッターで自傷しろ』と強制しました。その後も馬乗りになって殴り『慰謝料を払うか切腹しろ』と迫りました。根性焼きをされ、コンビニに連れていかれて金を下ろすように言われたのですがCくんはなんとか交番に駆け込み、被害届を出してBくんの追及は止んだようです。トー横の治安の悪さを象徴する、危険な事件だと思います」 記者がトー横を訪れた際も、スーツケースを引いて歩く10代前半にしか見えない家出風の女子と何人もすれ違った。保護者が行方不明者届を出して保護される人が多いというが、トー横に居ついて犯罪に巻き込まれるケースもある。 “ハウル”がいなくなったトー横で、今も若者たちは傷つき続けているのだ。「過干渉な親に『裏切者!』と責められ…」“穏健派キッズ”の10代男女がそれでもトー横に通う「切実な理由」とは… へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
それほどお金が必要な理由は、生活費に加えて“リアコシステム”と呼ばれるものの影響がある。“リアコシステム”とは、女性が気に入った男性に金銭を支払い、男性は女の子の「メンケア」(メンタルケア)をする。リアコとは「リアルに恋している」の略だが、金銭が絡むため男女関係のもつれが大きなトラブルに発展するケースもあるという。前述の30代の歌舞伎町関係者が続ける。
「トー横のAちゃんはリアコのBくんに普段からお金を渡していたのですが、9月のある日他の男の子のCくんと一緒に、たまり場になっている新宿のビジネスホテルで睡眠薬を飲んで寝ていたそうです。そこへリアコのBくんが乗り込んできて『何やってんだ!』とCくんを駐車場に連れていってボコボコにし『カッターで自傷しろ』と強制しました。その後も馬乗りになって殴り『慰謝料を払うか切腹しろ』と迫りました。根性焼きをされ、コンビニに連れていかれて金を下ろすように言われたのですがCくんはなんとか交番に駆け込み、被害届を出してBくんの追及は止んだようです。トー横の治安の悪さを象徴する、危険な事件だと思います」
記者がトー横を訪れた際も、スーツケースを引いて歩く10代前半にしか見えない家出風の女子と何人もすれ違った。保護者が行方不明者届を出して保護される人が多いというが、トー横に居ついて犯罪に巻き込まれるケースもある。 “ハウル”がいなくなったトー横で、今も若者たちは傷つき続けているのだ。「過干渉な親に『裏切者!』と責められ…」“穏健派キッズ”の10代男女がそれでもトー横に通う「切実な理由」とは… へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
記者がトー横を訪れた際も、スーツケースを引いて歩く10代前半にしか見えない家出風の女子と何人もすれ違った。保護者が行方不明者届を出して保護される人が多いというが、トー横に居ついて犯罪に巻き込まれるケースもある。
“ハウル”がいなくなったトー横で、今も若者たちは傷つき続けているのだ。
「過干渉な親に『裏切者!』と責められ…」“穏健派キッズ”の10代男女がそれでもトー横に通う「切実な理由」とは… へ続く
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。