タワマン、侵入者による窃盗事件が多発…「ロープを使って最上階から」「ベランダを懸垂のように」の驚愕手口

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タワーマンションの最大の魅力は「なんといっても眺望」…。そんなふうに思われがちだが、購入者の意見を聞くと、必ずしもそうではないようだ。高額なタワマンでは「眺望以上に魅力的を感じるもの」があるというが…。実情を見ていく。
威風堂々とした外観もあってか、何かと嫉妬の対象になりがちなタワーマンション(タワマン)だが、最近では立地などによっては比較的手ごろなものも出現し、富裕層以外にも購入者が増えている。
そうはいっても、だれでも購入できる価格ではない。住宅購入時に融資の判断基準のひとつとなる年収倍率は4倍前後が適正とされ、頭金は物件価格の1割程度が目安だ。仮に1億円の東京都心のタワマンなら、世帯年収2,250万円程度となる。夫婦共働きで同程度の給与でも、年収1,000万円超えの会社員であることが大前提。東京都心部の好立地な物件となれば、購入者は一部の高所得者層に限られるということだ。
多くの人を引き付けるタワマンだが、最大の魅力・実際の購入動機は、じつは「眺望」ではなかった。
東京・新宿が2019年に行った『タワーマンション実態調査』によると、購入動機で最も多いのが「交通利便性」だった。1990年代までは建設制限があり、ゆったりとした敷地でなければタワマン建設は叶わなかった。そのため、交通が不便な物件も少なくなかったが、規制緩和によって都心部でのタワマン建設が可能に。それが勢いとなって、郊外や地方都市への建築も進んだが、多くの場合、拠点となる駅前の再開発とセットであり、そのことから「タワマン=交通至便」というイメージが定着した。
「眺望」を上回る購入動機は「防犯面」だった。多重オートロックシステム、防犯カメラのみならず、24時間常駐のコンシェルジュによる有人管理がされている物件も珍しくない。「暮らしの安心」は、眺望以上の魅力を備えているのだ。
タワーマンションを選んだ動機交通の利便性:64.5%防犯面で安心:57.4%眺望が良い:47.5%耐震性:37.7%コンシェルジュ等サービスの充実度:34.7%プライバシー性:26.3%パブリックスペースの充実度:25.0%間取りが良い:23.1%虫が少ない:19.7%ステータス性が強い:15.3%出所:新宿区『新宿区タワーマンション実態調査報告書(令和元年度)』よりタワマン住民の隙をつく「窃盗犯」高いセキュリティが魅力のタワマンなら、犯罪に巻き込まれる危険性も限りなくゼロかというと、実情は異なるようだ。警察庁『令和3年の刑法犯に関する統計資料』の、共同住宅の「空き巣(留守時に侵入)」「居空き(在宅時に侵入)」「忍び込み(就寝時に侵入)」の認知件数によれば、階数が多いほど認知件数は低い傾向にあるが、高層階の窃盗被害はゼロかというと、そうではない。侵入手段の最多は「無施錠」であり、侵入経路の最多は「表出入口」。堂々と表から侵入というケースが多いらしい。共同住宅における「空き巣」「忍込み」「居空き」認知件数数値左より、認知件数/新入手段が「無締り」の件数/侵入口が「表出入口」の件数空き巣:「3階以下」2,541件 / 1,175件 / 1,067件 「4階以上」1,226件 / 432件 / 791件忍込み:「3階以下」385件 / 312件 / 222件 「4階以上」169件 / 126件 / 109件居空き:「3階以下」139件 / 104件 / 65件 「4階以上」98件 / 78件 / 81件出所:警察庁『令和3年の刑法犯に関する統計資料』「まさか、部外者が表から入るなんてムリ」と思っているタワマン住民も多いのではないか。しかし、高層階になるほど「こんなところまで来るわけがない」という油断が生まれ、「玄関ドアの無施錠」「ベランダ側窓の無施錠」の割合も増えるという。あのタワマンにおいても窃盗犯は粘り強く、驚くべき方法で侵入を試みる。高層階を狙う窃盗犯の手口としては「屋上からベランダにロープを垂らして侵入」「雨樋や排水管などを登り高層階のベランダへとよじ登り侵入」といったものがあるが、10階を超えるマンションでもこれらの被害が報告されている。なかには10階以上のマンションのベランダを「懸垂のようにして登って上層階に侵入」というツワモノも。なかには、鍵番号等を盗み見して合鍵を作製し、100件以上の空き巣を繰り返したというケースすらあるが、合鍵が作られてしまえばどうしようもない。規模の大きなタワマンになれば、住民か不審者かの見分けは難しい。一度侵入を許せば、タワーマンションのほうが大胆な犯行を行える可能性は高そうだ。これま報道された事件には、「東京都目黒区のタワーマンションで宅配業者を装った侵入者により、現金600万円の窃盗被害」「大阪府北区のタワーマンションで、2億7,000万円の窃盗被害」「東京都豊島区のタワーマンションで強盗致傷事件、現金100万円が奪われる」「神奈川県横浜市のタワーマンションでロープを使って最上階に侵入、現金3,500万円等の盗被害」などがある。タワマンの厳重な設備に安心している住民は、そこまで防犯意識が高くなく、そのうえ、複数のエレベータが設置されているほど世帯数が多いことから、コミュニティの関係も希薄になりがちだ。そこに犯罪が付け入るスキがあるといえるのではないか。せっかく手に入れたタワマン、犯罪被害で泣きを見ないためにも、油断することなく、防犯対策に努めたい。
タワーマンションを選んだ動機
交通の利便性:64.5%
防犯面で安心:57.4%
眺望が良い:47.5%
耐震性:37.7%
コンシェルジュ等サービスの充実度:34.7%
プライバシー性:26.3%
パブリックスペースの充実度:25.0%
間取りが良い:23.1%
虫が少ない:19.7%
ステータス性が強い:15.3%
出所:新宿区『新宿区タワーマンション実態調査報告書(令和元年度)』より
高いセキュリティが魅力のタワマンなら、犯罪に巻き込まれる危険性も限りなくゼロかというと、実情は異なるようだ。
警察庁『令和3年の刑法犯に関する統計資料』の、共同住宅の「空き巣(留守時に侵入)」「居空き(在宅時に侵入)」「忍び込み(就寝時に侵入)」の認知件数によれば、階数が多いほど認知件数は低い傾向にあるが、高層階の窃盗被害はゼロかというと、そうではない。
侵入手段の最多は「無施錠」であり、侵入経路の最多は「表出入口」。堂々と表から侵入というケースが多いらしい。
共同住宅における「空き巣」「忍込み」「居空き」認知件数数値左より、認知件数/新入手段が「無締り」の件数/侵入口が「表出入口」の件数空き巣:「3階以下」2,541件 / 1,175件 / 1,067件 「4階以上」1,226件 / 432件 / 791件忍込み:「3階以下」385件 / 312件 / 222件 「4階以上」169件 / 126件 / 109件居空き:「3階以下」139件 / 104件 / 65件 「4階以上」98件 / 78件 / 81件出所:警察庁『令和3年の刑法犯に関する統計資料』「まさか、部外者が表から入るなんてムリ」と思っているタワマン住民も多いのではないか。しかし、高層階になるほど「こんなところまで来るわけがない」という油断が生まれ、「玄関ドアの無施錠」「ベランダ側窓の無施錠」の割合も増えるという。あのタワマンにおいても窃盗犯は粘り強く、驚くべき方法で侵入を試みる。高層階を狙う窃盗犯の手口としては「屋上からベランダにロープを垂らして侵入」「雨樋や排水管などを登り高層階のベランダへとよじ登り侵入」といったものがあるが、10階を超えるマンションでもこれらの被害が報告されている。なかには10階以上のマンションのベランダを「懸垂のようにして登って上層階に侵入」というツワモノも。なかには、鍵番号等を盗み見して合鍵を作製し、100件以上の空き巣を繰り返したというケースすらあるが、合鍵が作られてしまえばどうしようもない。規模の大きなタワマンになれば、住民か不審者かの見分けは難しい。一度侵入を許せば、タワーマンションのほうが大胆な犯行を行える可能性は高そうだ。これま報道された事件には、「東京都目黒区のタワーマンションで宅配業者を装った侵入者により、現金600万円の窃盗被害」「大阪府北区のタワーマンションで、2億7,000万円の窃盗被害」「東京都豊島区のタワーマンションで強盗致傷事件、現金100万円が奪われる」「神奈川県横浜市のタワーマンションでロープを使って最上階に侵入、現金3,500万円等の盗被害」などがある。タワマンの厳重な設備に安心している住民は、そこまで防犯意識が高くなく、そのうえ、複数のエレベータが設置されているほど世帯数が多いことから、コミュニティの関係も希薄になりがちだ。そこに犯罪が付け入るスキがあるといえるのではないか。せっかく手に入れたタワマン、犯罪被害で泣きを見ないためにも、油断することなく、防犯対策に努めたい。
共同住宅における「空き巣」「忍込み」「居空き」認知件数
数値左より、認知件数/新入手段が「無締り」の件数/侵入口が「表出入口」の件数
空き巣:「3階以下」2,541件 / 1,175件 / 1,067件
「4階以上」1,226件 / 432件 / 791件
忍込み:「3階以下」385件 / 312件 / 222件
「4階以上」169件 / 126件 / 109件
居空き:「3階以下」139件 / 104件 / 65件
「4階以上」98件 / 78件 / 81件
出所:警察庁『令和3年の刑法犯に関する統計資料』
「まさか、部外者が表から入るなんてムリ」と思っているタワマン住民も多いのではないか。しかし、高層階になるほど「こんなところまで来るわけがない」という油断が生まれ、「玄関ドアの無施錠」「ベランダ側窓の無施錠」の割合も増えるという。
あのタワマンにおいても窃盗犯は粘り強く、驚くべき方法で侵入を試みる。
高層階を狙う窃盗犯の手口としては「屋上からベランダにロープを垂らして侵入」「雨樋や排水管などを登り高層階のベランダへとよじ登り侵入」といったものがあるが、10階を超えるマンションでもこれらの被害が報告されている。なかには10階以上のマンションのベランダを「懸垂のようにして登って上層階に侵入」というツワモノも。
なかには、鍵番号等を盗み見して合鍵を作製し、100件以上の空き巣を繰り返したというケースすらあるが、合鍵が作られてしまえばどうしようもない。
規模の大きなタワマンになれば、住民か不審者かの見分けは難しい。一度侵入を許せば、タワーマンションのほうが大胆な犯行を行える可能性は高そうだ。
これま報道された事件には、「東京都目黒区のタワーマンションで宅配業者を装った侵入者により、現金600万円の窃盗被害」「大阪府北区のタワーマンションで、2億7,000万円の窃盗被害」「東京都豊島区のタワーマンションで強盗致傷事件、現金100万円が奪われる」「神奈川県横浜市のタワーマンションでロープを使って最上階に侵入、現金3,500万円等の盗被害」などがある。
タワマンの厳重な設備に安心している住民は、そこまで防犯意識が高くなく、そのうえ、複数のエレベータが設置されているほど世帯数が多いことから、コミュニティの関係も希薄になりがちだ。そこに犯罪が付け入るスキがあるといえるのではないか。せっかく手に入れたタワマン、犯罪被害で泣きを見ないためにも、油断することなく、防犯対策に努めたい。

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