〈転売禁止の境界線〉備蓄米は禁止、ニンテンドースイッチ2はOK? 転売ヤー対策に残るモヤモヤ「できるならやってよ」

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政府が5月から備蓄米の市場放出を進める中、メルカリやジモティーなどのフリマ・掲示板アプリで、米の出品が急増しているという声がネット上で相次いでいる。
【画像】任天堂の人気キャラが並ぶゲーム売り場
市場のコメ不足が続く中、これまでも政府備蓄米の放出は行なわれてきたが、今回のように広く一般向けに、しかも大手小売店の店頭で低価格販売されたのは初めてのケースとなる。
政府の物価高対策の一環として放出された備蓄米は、イオンやイトーヨーカドーなど全国の大手スーパーで取り扱われ、5キロあたり約2000円という価格で販売。通常、5キロで約4200円程度する市販米と比べると半額以下の水準だ。
販売初日には早朝から買い求める人々が列をなし、一部店舗では即完売となるなど、その人気ぶりが話題となった。
今回の備蓄米の放出で、コメ全体の値段が期待されているが、今のところは目立った効果はそれほど出ていない。
また一方では、この備蓄米の流通開始とほぼ同時期に、メルカリやジモティーなどのフリマアプリや地域掲示板で、「米の出品が急増している」との指摘がSNS上で広がった。
Xでは、以下のような投稿が相次いでいる。
《備蓄米がたくさん出回るようになってメルカリでもたくさん米が出品されてるね。マジで転売ヤーが保管してた米なんか誰が買うんだよ》
《ジモティーで米まつりが始まった》
《ジモティーとかメルカリで急に出品増えてる。転売ヤーが焦って売りに出してる》
こうした声の背景には、個人保管の古米や転売目的の商品が出回っているのではないか、という不信感がある。では、実際に米の出品数は増加しているのだろうか。メルカリは取材に対し、次のようにコメントした。
《米については目立った変化は確認できておりませんが、昨今の流通状況を踏まえて、販売または購入の際には冷静なご対応をお願いする旨の注意喚起を実施しております》
一方、ジモティーからはやや踏み込んだコメントが寄せられた。
《前年よりも傾向として出品数が増えていることは認識しており、昨今の米の出品に関して社会的な関心事と捉えております》
こうした動きを受けて、メルカリ、ヤフオク、Yahoo!フリマ、楽天ラクマ、ジモティーなどの主要サイトでは、相次いで「政府備蓄米の出品禁止」を表明した。
メルカリはこの対応について、《マーケットプレイスの基本原則に照らし合わせ、出品を禁止することといたしました》と説明。ジモティーはより明確に《生活に不可欠な物資の円滑な流通を妨げる恐れのある行為や、不当な価格での転売による混乱を未然に回避することが、サービスの健全な運営に不可欠であると認識しております》と理由を述べている。
ここで注意したいのは、「米そのものの出品」が禁止されたわけではなく、あくまで政府が放出した備蓄米の出品のみが禁止対象となっている点だ。
なぜ“コメ”そのものの出品は禁止しないのだろうか。これから禁止にすることも考えていないのか。
この点について尋ねると、ジモティーの担当者からは、《弊社は「地域の情報を可視化すること」を基本理念としており、個人間の健全なやり取りはその理念に沿うものと考えております。食品に関してはガイドラインを設けており、これにあたらない出品は可能となっております》という返答があった。
昨年から続くコメの価格高騰については、具体的な要因がいまだ明らかになっていない。そうした中、「まずは目に見える転売行為を取り締まるべきだ」との声がネット上では根強く、今回の件ではフリマサイト各社の対応に注目が集まっている。そして、政府備蓄米の出品禁止措置については、一定の評価を獲得した。
しかしそんな中で、他の商品に対する対応との差が新たな波紋を呼んでいる。6月5日に発売された「Nintendo Switch 2」だ。発売元の任天堂の徹底した転売対策は高く評価され、転売撲滅について期待の声が多く上がっていた。
これに合わせて、ヤフオクとYahoo!フリマでは「Nintendo Switch 2」の出品を禁止して転売を防ぐ努力を見せたが、楽天フリマやメルカリなどでは発売日からさっそく転売が相次いでおり、6月6日時点でも目立った対策は取られていない。
これにはネット上では落胆の声も多く上がっている。
《備蓄米は出品禁止にできたんだし、こういうのも禁止にして欲しい》
《switch2や備蓄米を規約の改訂程度で簡単に禁止にできるなら転売や偽物対策を真剣にやってきたとは思えないのよね》
《備蓄米の転売は禁止できたのになんでSwitch2の転売は禁止しないんだろ。意味不明。任天堂の努力の意味……》
《備蓄米は対応できるのにswitch2できないわけないし、メルカリさんひどいんよ》
備蓄米、ゲーム機、マスク–。何が転売として不適切で、どこまでが自由な個人取引なのか。その線引きは、今後ますます重要なテーマとなるだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部

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