日本国内で米の価格高騰が続く中、外国産の米が注目されている。その中でも人気が高まっているというタイ産の米について、テレビ朝日外報部の中崎佑香記者に聞いた。
【映像】「1番まずい」「臭い」1993年にタイ米を食べた日本人の“辛辣すぎる”インタビュー
5月上旬、中崎記者は都内で行われたタイフェスティバルにおいてタイ米を生産して輸出する企業ブースを取材。人気の高さを痛感したという。
「イベントの開会式は10時だったが、その前からそのブースにはお客さんが次々に来ていた。その企業は2日間のイベントで販売するために1000キロのタイ米を持ってきていたが、2日目の午前中には全て売り切れてしまい、担当者の方も想像以上の反響に驚いていた」
タイ米を含む外国産の米の輸入量は増えているのか?
中崎記者は「輸入には政府が関税なしで輸入する『ミニマムアクセス』と民間企業による民間輸入の2つがある。このうち、民間の輸入量が顕著に増えている。実際、2024年度の輸入数量を見ると、今年2月末の時点で1497トンと過去最多を更新している」と説明した。
もちろん、輸入量増加の背景には米価格の高騰がある。
中崎記者も「全国のスーパーの米の平均価格が、先月25日までの1週間で5キロあたり4260円となっており、去年の同時期と比べて2倍ほど高い状態が続いている。実際に今回取材したイベントでも米が高くて『半年以上、日本米は買ってない』と話す人もいた」と話す。
イベントで売り切れとなった商品はどのようなものなのか?
「1キロのタイ米、そしてレトルトのカレーが2つにショッピングバッグがついて1000円で販売していた。去年から200円ほど値上げしたらしいのだが、お得と感じる人が多かったようだ」
実は、日本におけるタイ料理店の数も増え続けており、今や550店舗以上とも言われ、人気の高さがうかがえるという。
一方、タイ米に対して悪いイメージを持っている人もいる。
1993年に発生した「平成の米騒動」において、タイ米を試食した人は「タイ米はもう評判が全員悪かった。食べた感じはタイ米が1番まずい」「カレーをかけていただいたが、でもどうしても食べにくい」「見た目も食べてもまったくの粘り気もないし、ちょっと臭いというか。日本人の嗜好にはまったく合わない」などと感想を口にしていた。
味が変わったのだろうか?
中崎記者は「タイとしても、あまり良くないイメージを払拭するために日本人の好みに合った味に変えている。タイ米と聞くと、どうしても“固くてパラパラ”というイメージを持っている方が多いと思うが、今回取材した企業は甘くて柔らかい米に変えていると話してくれた」と説明した。
さらに、輸出する際にも工夫をしているという。
「1キロの米ならすぐ消費できるが、5キロの米だとどうしても食べきるのに時間がかかるので、チャック付きで保管しやすいような袋を採用しているという。『日本米は米びつに入れて保管するため、タイ米は棚で保管する方も多いのでは』ということで、工夫がされている。もう1つの工夫は袋の下の部分が少し透明になっている。これは棚で保存する際に残りの米がどのくらいか分かりやすくしている」
美味しく食べるにはどうしたらいいのか?
「私もタイ料理が好きでよく食べる。タイ料理には辛い、甘い、酸っぱいというようないろいろな味が1つの皿に調和されているという特徴がある。だから、そういった特徴を持った料理に合いやすいのではないか。例えば日本人にも人気のカオマンガイやガパオライスだ」
とはいえ、まだタイ米に抵抗感を持つ人も少なくない。
中崎記者は「取材した企業の方も言われていたが、馴染みのある和食とタイ米を組み合わせるのがいいだろう。例えば、焼き鳥とタイ米を組み合わせて食べる。するとご飯が進んで、タイ米の魅力に気づくきっかけになったりする。あるいは、『日本米の代わり』に食べようという考え方ではなく、『日本米とは別のもの』として捉えてもいい。例えば、タイにはマンゴーともち米を一緒に食べるカオニャオ・マムアンという料理もある。これは日本のおはぎのような感じで、甘いものと米を合わせて食べる。タイ米にはいろいろな食べ方ができる可能性がある」と話した。
タイ米の購入については「今はインターネットで購入する方が多い。加えて、他のアジアや海外からの輸入食品を幅広く扱っているスーパーにも扱いはあるだろう」と述べた。(ABEMA/ニュース解説)