一時期は世論調査で立憲民主党を上回る支持率を得ていた国民民主党の人気が、参議院選挙を前に急降下している。その一因とされているのが、一部で「汚物まみれ」とまで酷評された参院選の候補者の顔触れだろう(関連記事:汚物まみれの四人衆” 国民民主党を酷評したカメラマンが本音を明かす 「こんな候補しか立てられないのは、それだけ人材がいないってこと」 榛葉幹事長の見解は“)。中でも厳しい目を向けられているのが、「四人衆」のうち、もっとも知名度の高い山尾志桜里元衆議院議員である。
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【写真を見る】“美魔女”と呼ばれていた頃の「菅野志桜里氏」
東大法学部卒、元検事という華々しいキャリアを持つ山尾氏だが、多くの人々の記憶に残っているのは「不倫」「ガソリン」という奇しくも韻を踏む二つの疑惑であることは否定できない。
このうち「ガソリーヌ」なる異名のもととなったのが「地球9周分のガソリン代不正使用疑惑」。週刊新潮のスクープだったこの記事については、以前、振り返った通りである。
(関連記事:「地球5周分のガソリン代を計上…」 “汚物まみれ”と評された山尾志桜里氏が「ガソリーヌ」になるまでの疑惑の履歴書)
若くして民進党政調会長となった山尾氏に関するこの疑惑が報じられたのは2016年のこと。当時、本人はもっぱら秘書の個人犯罪のような説明を会見でしたものの、一般の理解を得られたかは疑問が残る。会見の場では、記者から「反省の言葉がない」と詰められるという場面も見られたようだ。
また、この頃、山尾氏についてはほかにもさまざまな疑惑が指摘されていた。今回は、そのうちの一つ、「謎のショートメール大量送信」をご紹介しよう(以下、「週刊新潮」2016年4月7日号、4月21日号をもとにしました)。
山尾氏に関するミステリーは、驚くほどのガソリン大量消費にとどまらない。
地元ではメールを巡るミステリーを口にする向きが少なくないのだ。
例えば2014年の総選挙の翌日には、
〈皆様のお陰で当選致しました.厚く感謝御礼申し上げます.民意を国政へ頑張ります.山尾しおり(以下、事務所当選番号)〉
といった当選感謝のショートメールが、2016年2月27日には、
〈衆院予算委にて安倍総理に質問します.(中略)NHK放映ぜひご覧ください.山尾しおり事務所〉
と丁寧な宣伝が届いている。発信元は米国だが、登場する秘書の名や携帯番号は実在するもの。
「正確な数は把握していませんが、選挙区内のかなりの方に送られているのではないか。私の知り合いはもちろん、自民党の県議や市議も受け取っています」
と、政界関係者。
2014年11月に愛知県下のある自民党市議は、文末に山尾事務所の電話番号を記したメールを受け取った。そこには〈枝野幹事長来る!〉と総選挙における応援弁士の来訪を宣伝する文言が記されていた。それからというもの、
「20通近く変なメールが届きました。山尾さんにメールを送ってほしい“なんて頼むはずもないし」
中には〈当選に向け!人手が足りません〉とボランティアを求めるメールも。
「こっちが手伝うとでも思っているんでしょうか。私のみならず我が党の仲間にも、一方的に送られていたんです」
選挙期間中に「期日前投票」の依頼メールまで届いたという。
対立陣営が県警本部に掛け合ったところ、
「やっていることは違法。ただ、“送信者が海外のサーバーを利用し、番号が誰のものか特定できない”と言われたそうです」
事実、総務省や地元選管の話を総括すると、
〈選挙活動および政治活動に関しては公選法で、受信者が送信者に“ここへ送れ”と指定したアドレス以外に送ってはいけないと定められている。
さらに、提示されるような『当選のお礼』もメールでやってはいけません。これらの規定に反した者は、2年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科せられるのです〉
記者が試みにこの番号へショートメールを送ると、早速こんな返信があった。
〈この番号は送信専用です。恐れ入りますがお電話お願いします〉
末尾には、地元の山尾事務所の電話番号が記されていた。
この件について週刊新潮が質したところ「調査中」としていた山尾氏だが、2016年4月6日、「ガソリン代疑惑」などの説明を行う会見を開き、そこでこのメール問題についても弁明をしている。山尾氏は、送信元は自身の陣営だと認めた上で、
「後援会名簿に手違いがあり、同意を得ていない方々が混ざっていた(中略)ショートメールには連作先として事務所を表示していた」
と弁明したのだが、当時の秘書の携帯電話番号を記載したショートメールも見つかっている。この点について選管に聞くと、
「事務所の連絡先を表示していたのみでは不十分であり、これも公選法の規定に違反します」
山尾氏は会見でこの件について「手違い」と説明し、他の疑惑同様、「事実と知りながらうそをついたことはない」と主張していた。
2016年の春、山尾氏には「地球9周分のガソリン代」含む「政治とカネ」の問題に加え、この違法メール問題も指摘されていた。それでも知名度を重視したか、民進党は彼女を翌年9月には幹事長に据えようとする。が、その時期に今度は不倫疑惑が報じられ、この人事は見送られる。
当時、玉木雄一郎氏は民進党の幹事長代理。一連の経緯を知らなかったはずがない。
最近になって、山尾氏擁立への批判的な意見に対して、国民民主党の玉木代表は「本人が説明すべき」との見解を示している。しかし多くの国民が知りたいのは、玉木氏自身が数々の疑惑についてどのように判断したのか、という点ではないだろうか。
デイリー新潮編集部