自分でタイヤ交換をするのは危険…全国で相次ぐ自動車の脱輪事故「本当の原因と予防法」

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自動車の脱輪事故が相次いでいる――。
4月27日、長野県長野市の県道を走行していた車のタイヤが外れて近くのたいやき店に衝突。店に並んでいた4歳と6歳の男の子と15歳の女子高校生、49歳の女性の4人がケガをした。5月28日には、北海道・深川市納内町でも走行中のワゴン車のタイヤが外れる事故が発生している。
「国土交通省が発表した最新データである、令和5年度に発生した大型車の車輪脱落事故は142件。10年前の件数と比べて3倍以上に増えています」(全国紙社会部記者)
なぜこんなに脱輪事故が頻発しているのか。「タイヤセンター豊富 滑川店」の陰山英樹店長は「最近の不景気によって、業者に整備を頼まず自分でやる人が増えたのが原因のひとつかもしれません」と指摘する。
「タイヤと車をつなぎ留めるホイールナットが外れて脱輪するケースがほとんどです。原因はナットの締め付け不足による緩み。ホイールナットの穴の形状に合わないナットを使って脱輪するケースもあります。
外れるのが怖いからとナットを締め付けすぎるのもダメです。あまりに強く締め付けると負荷がかかったボルトが伸びたり、走行中に折れてしまって結果的にタイヤが外れてしまうのです。業者はこのあたりのバランスを理解していますが、最近は自分でタイヤ交換をする人が増えたことによって、点検不足や適切な装着がなされていないことがあります。それによって、脱輪事故が増えている傾向にあります」
陰山氏によれば「タイヤそのものの劣化も脱輪の要因のひとつ」なのだという。
「タイヤの劣化が進むと、中に入っているワイヤーが切れてしまう。タイヤが変形したり、破れたりして、脱輪につながることもあります。
脱輪以外では、空気圧不足による事故も多発しています。空気圧が低すぎるとタイヤの接地面がたわみ、両端と中央部分の接地面が弱くなります。それによってタイヤがヨレたり歪んだりして熱を発し、ひび割れの原因になる。これらはバーストにつながる要因にもなります。タイヤにはそれぞれ推奨されている空気圧の数値があるので、遵守してください」
事故防止のため、他にやるべきことはあるか。
「日本のタイヤメーカーの技術水準は世界トップクラスですが、車の整備不良やドライバーの危機意識の不足によって、脱輪事故が増加し続けています。4~5年に一度のペースで、プロの業者に交換してもらうことをおすすめします。自分でタイヤ交換をされる方は、ホイールの規格に合ったホイールナットを使い、適切なトルクで締め付けるように心がけてください」
脱輪したタイヤは凶器でしかない。大事故を避けるために、ドライバーひとりひとりがタイヤに関する正しい知識を身につけなければならない。
取材・文・PHOTO:幸多潤平

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