ホストにハマったAさんが告白する“1000万円シャンパンタワーの悪夢”「ホテルの部屋で殴る蹴るに加え、首を絞められ、髪の毛を抜かれ…」《深刻化する売掛トラブル》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「バースデーイベントで『1000万円のシャンパンタワーをしたい』と急に言われて……。同意もサインもなしに“売掛け”されました。そしてその後に刑事事件にも発展してしまいました」──あるホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明けるのは、関西在住の女性・Aさんだ。ホストによる悪質な営業によるトラブルが後を立たず、警察による監視の目が年々厳しくなっている最中で起きた事件だったという。【前後編の後編。前編から読む】
【写真】「むしり取られた髪の毛、殴られたアザ…」悪質ホストの“色恋営業”が刑事事件に発展
2024年2月、客の20代女性に対し、売掛金およそ93万円を無理やり取り立てたとして、当時25歳のホストの男が東京都のぼったくり防止条例違反(不当な料金の取り立て)の疑いで逮捕された。ホストの売掛金に対する同条例の適用はこれが初だった。
こうしたホストの強引な営業は数年前から問題視されてきた。事態が深刻化し、2023年12月には、新宿区のホストクラブ経営者13人が協議を行なっている。全国紙記者が解説する。
「協議では『客の生活が破綻(はたん)するような営業を行わない』『すでに発生している高額な売掛金は行政と連携して対応する』『売掛金は店舗管理として客とホスト間の貸し借りをなくす』などの具体的な対策案が話し合われた。この際、ホストクラブ側は『“自主規制ルール”を定め、売掛を段階的になくす』と方針を示し、2024年4月から全廃を目指すことで合意に至りました」
この“売掛全廃ルール”が決まってから4か月後、Aさんに降りかかったのが“1000万円シャンパンタワートラブル”だった。Aさんは2024年4月下旬に訪れたホストクラブで、ホストのX氏と出会った。その後、急速に距離を縮め、恋人同士のようなやり取りを交わすまでになった(〈ちゅーしたら魔法かかるかも?〉被害女性が告白する有名ホストクラブの“恐ろしい色恋営業”【行政処分の対象となった悪質ホストの手練手管とは】)。
出会って約1か月でAさんがX氏に遣った金額は500万円以上にのぼっていた。そして8月、X氏は自身のバースデーイベントの数日前、Aさんに「店舗売上げを塗り替えたいから1000万円のシャンパンタワーをしたい」と依頼。その条件として「半同棲」を提示してきたという。X氏は「2人で住むためのマンションを契約して、週3回はそこへ帰ってくるから」とAさんの説得を試みた。
しかしながらAさんはその額の大きさに躊躇し、拒否したようだ。 AさんとX氏のLINEを確認してみると、8月16日から18日までの間に、こうしたやりとりが確認できる。
〈そもそも1000万なんて聞いてもらってもないしいいよなんていってないでしょ〉(Aさん)〈相談もしないで決めたの誰?〉(Aさん)〈家は来月までにどうにかするつもり〉(X氏)〈だからそんな未定は信じない。去年のタワーやった子みたいにタワーやったら用無しみたいにされるのはごめんだからね〉(Aさん)〈絶対にそれはしない〉(X氏)
しかし“色恋営業”にハマっていたAさんは、冷静な判断ができなくなっていたのだろうか。こうしたやりとりの合間には、彼女のこんな甘い言葉も残っている。
〈もうさすがに心が折れちゃったよ。でも、Xくんが抱っこしてくれる度にまだ大丈夫、頑張ろうって思ってやってきたの〉(Aさん)
結局、Aさんは当日のイベントに参加。1000万円を支払う金銭的余裕はあったが、X氏の口約束を信用しきれず、「あくまでこれはタワー代じゃなくて、同棲のためのお金」と言って500万円を入金した。このときX氏は「残りは全額払わなくていいし、同棲はじめてから考えよう」「俺もいくらか払うから。信じて」などと伝えたが、結局、シャンパンタワー代金の総額がいくらかはわからないまま退店したという。
しかしのちにホストクラブの運営に問い合わせて伝票を確認すると、残額の500万円は“売掛金”となっていたのだ。Aさんはこの売掛に同意した覚えはないという。
Aさんが続ける。
「シャンパンタワーの件についてはすでに弁護士さんも立てていて、ロマンス詐欺でXを刑事告訴する準備も進めています。それくらい『騙された』という思いが強いんです」
この件以降、AさんはX氏に対して、「なぜ勝手に勝手に売掛にしたのか」「同棲はいつになるのか」などと問い詰めることが増えていった。
「シャンパンタワーの件で、私がしつこく問い詰めるのを鬱陶しく思ったのか、Xは私に手をあげるようになりました。1回目は8月21日から翌日にかけて、ホテルの部屋内でタワーの件で言い争いになり、『こんなの詐欺じゃん!』と言ったら、彼がブチギレて……。殴る蹴るの暴行に加え、首を絞めたり髪の毛を抜かれたりして、このときは全治3週間のケガを負いました。
2回目は9月11日~12日。このときもホテル内です。傘で足を刺されたり、足で踏まれたりして右足の小指にヒビが入り血腫ができました。傷が癒えず、いまだにリハビリに通っています。あとその翌月にも、例の同棲の約束について言い合いになり、手を出されました。このふたつについては、警察の現場検証も済んでいます」
やっと我に返ったAさんは警察に被害届を提出。8月に受けた暴行についてはすでに被害届が受理され、他の2件についても来月、届が受理予定だという。Aさんは肩を落とした。
「私も大人ですし、会社だって経営しています。私に落ち度があったことは重々承知しています。ただ、“色恋営業”にハマると、本当に冷静な判断ができなくなるんです。いま、ホストに行く女の子は増えていますが、この怖さはもっと知られてほしい」
今回の事態をこのグループはどう捉えているのか。NEWSポストセブンは経営陣に対してに複数回取材を申し込んだが、返答はなかった。 一部のホストクラブが“適正な営業”を推し進める動きはあるものの、Aさんのように深刻なトラブルに発展してしまう女性はあとを絶たない。法改正によって、こうした悪質な色恋営業は是正されていくのだろうか──。(了。前編から読む)
「NEWSポストセブン」では、ホストクラブに関するトラブルについての情報・タレコミを募集しています。情報提供フォームまたは、下記の「公式X」のDMまで情報をお寄せください。
・情報提供フォーム:https://www.news-postseven.com/information
XのDMは@news_postsevenまでお送りください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。