職場の熱中症対策、きょうから「義務」に…重症化防ぐ狙い・怠れば拘禁刑または罰金も

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

熱中症による死傷者が増える中、事業者に職場での熱中症対策を義務付けた労働安全衛生法の改正省令が1日、施行された。
従業員が熱中症となった場合の応急措置の手順策定などを求め、対策を怠った場合の罰則も設けられた。
対策の義務化は、気温や湿度などから算出する「暑さ指数」(WBGT)が28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上か1日4時間以上作業する事業者が対象。
対策の主眼は「重症化予防」だ。熱中症の恐れのある労働者を早期に発見して職場で報告する体制を整えるほか、応急措置を施したり医療機関を受診させたりする手順を定めることを義務付けた。整備した体制や手順について職場内に周知することも求める。違反した場合、6月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科される。
厚生労働省によると、職場で熱中症となって4日以上の休業を余儀なくされるなどした死傷者は昨年、過去最多の1257人に上った。死者は31人で、3年連続30人台で推移している。
労働問題に詳しい尾林芳匡弁護士は「対策義務化は事業者への強い警告となり、職場環境の改善につながる」と指摘。対策を講じるために事業者は気温や暑さ指数を観測・記録する必要があるとして、「行政は、記録装置の導入補助など中小企業へのさらなる支援策も検討するべきだ」と話した。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。