制服警官のコンビニ立ち寄り「どう見られるか」と疑心暗鬼も…「利用宣言」に大反響「むしろあちこち出没して」

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制服警察官がコンビニ店を利用します――。
山梨県警が今月、X(旧ツイッター)で、制服を着用した警察官がコンビニで飲食物を購入することに理解を求める投稿をしたところ、「いいね」が約31万件つくなど大きな反響を呼んでいる。一部に批判的な声も寄せられたものの、大半が好意的な意見で、県警は「制服による来店は犯罪の抑止にも効果的」などとして今後も理解を求めていくという。(鈴木日南子、木村誠)
県警は今月19日、公式Xに「制服警察官が犯罪抑止活動の一環としてパトカーでコンビニなどの店舗に立ち寄った際に、勤務に必要な飲食物などを購入する取り組みを行っております」などと投稿した。コンビニで買い物をする制服警察官の写真も添え、県民に理解を求めた。夏場を控え、コンビニ利用が増えることを踏まえたのだという。
すると、リポスト(転載)が4万回以上されるなど、投稿は瞬く間に拡散、一気に8000件近くのコメントがついた。「規律が緩まないのか」「市民に威圧感を与えている」などの批判的な意見もあったものの、大半は好意的なもの。「警官だって人間であることを忘れている人多すぎ!どんどん立ち寄ってもらいたい!」や「むしろ制服であちこち出没してほしい。制服警察官がいると安心する」などと応援する書き込みが目立っている。

県警警務課によると、県警では元々、制服の有無にかかわらずコンビニへの立ち寄りは明確に禁止していなかったが、「県民にどう見られるかがわからない」(県警幹部)などと考え、控えてしまう警察官が多かったという。
しかし、日夜にわたり事件や事故の対応にあたる警察官は、水分補給する間もなく、現場から現場に移動することも少なくない。ある幹部は「署で出前や弁当を注文して食べる時間もない」と実情を打ち明ける。
県警は昨夏、制服警察官がコンビニで飲食物などを購入することを認め、同時にサングラスや冷却タオルといった暑さ対策品を身につけることも許可した。ただ、購入できるのは飲食物や暑さ対策の物品などに限定。マニュアルを作成して警察官に周知している。制服警察官が訪れることで「見せる防犯」の効果も高く、これまで苦情はほとんど寄せられていないという。
県警警務部の担当者は「(投稿の反響に)驚いている。県警のXアカウントを知ってもらえたのは非常にありがたく、防犯情報などのほかのXの投稿も見てほしい」と話した。
県内の各消防本部でも、コンビニ利用を認める動きが広がっている。
読売新聞の取材に対し、県内10の全消防本部は、コンビニや病院内の売店の利用について「認めている」もしくは「禁止はしていない」と回答した。
甲府地区消防本部では2022年8月、新型コロナの感染拡大で出動回数が増えていることなどを受け、救急隊が水分補給や食事のためにコンビニなどに立ち寄れるように運用を改めた。県民からの理解を得るため、救急車のダッシュボードに「ただいま水分補給をしています」と記したパネルを掲げたり、ホームページで周知したりしている。
各消防によると、これまでに苦情は特にないといい、峡南消防本部の担当者は「店員の了承を得たり、最小限の人数かつ短時間で入店したりするなど、利用方法を工夫している」と話す。

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