「迷惑社員」を辞めさせたい…“強要”にあたらない「退職勧奨」の進め方【弁護士が解説】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

勤務態度が悪い、協調性がない、トラブルばかり起こす……会社として更生してもらうよう努力を続けても一向に変わらない「迷惑社員」が社内にいた場合、スムーズに辞めさせることは可能なのでしょうか? Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が「退職勧奨」のスムーズな進め方とトラブルを避けるための注意点について解説します。
解雇や自主退職とは異なる「退職勧奨」とは退職勧奨とは、会社側として退職してほしいと考えている従業員に対して、退職するようにすすめる行為です。会社の人員削減の一環で行う場合もあれば、遅刻を繰り返したりセクハラをしたりなど問題行動の多い従業員に対して行う場合もあるでしょう。

退職勧奨と似たものに、解雇や退職届を出しての退職が存在します。それぞれの違いは次のとおりです。「解雇」との違い退職勧奨は、あくまでも「辞めたらどうか」と会社側が退職を勧奨するのみです。そのため、退職勧奨に応じて退職をするか、退職勧奨を拒否してそのまま勤務を続けるのかは、従業員側の自由です。これに対し、解雇は、会社側が一方的に従業員を辞めさせる行為です。退職勧奨とは異なり、従業員側の意思は反映されないため、解雇は法律で厳しく制限されています。解雇に客観的に合理的な理由がなく、かつ社会通念上相当であるといえない場合などには、従業員側から解雇の無効や損害賠償を求めて訴訟が提起される可能性があるでしょう。本人自ら退職届を出すケースとの違い退職には、大きく分けて「会社都合退職」と「自己都合退職」の2つが存在します。どちらに該当するかによって、その後の失業給付や助成金受給などに違いが生じるため、いずれに該当するのかは会社側にとっても従業員側にとっても非常に重要な問題です。自己都合退職とは、従業員自らが退職届を出して退職するケースを指します。たとえば、配偶者の転勤に伴い本人の希望で退職届を提出する場合や、転職を希望して退職届を提出する場合などがあるでしょう。一方、退職勧奨を発端とした退職は、原則として会社都合退職に該当します※。※ 厚生労働省:労働契約の終了に関するルール従業員が退職勧奨の条件に合意をしたからといって、自己都合退職扱いとなるわけではありません。助成金受給企業は要注意!「自己都合退職」と異なる点自己都合退職と会社都合退職とで、どのような違いが生じるのでしょうか?主な違いは次のとおりです。失業給付…会社都合退職のほうが「手厚い」退職理由が会社都合か自己都合かによって、退職後に従業員が受け取る失業給付に違いが生じます※。※2 厚生労働省:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~失業給付とは、失業期間中に雇用保険から支給される手当のことです。会社都合退職の場合、失業給付は受給手続日後7日間の待機期間を経た翌日分から支給されます。一方、自己都合退職の場合には、そこからさらに原則として2ヵ月間の給付制限期間を過ぎてからでなければ、給付を受けることができません。また、支給を受けられる日数(受給者の年齢や雇用保険の被保険者であった期間などによって変動)も会社都合退職の方が長く、全体的に手厚くなっています。退職金…会社の規定により違いがある会社によっては、自己都合退職の場合と会社都合退職の場合とで、退職金の支給額に差をつけている場合があります。これは、会社が定めている退職金規程によるものですので、あらかじめ規程を確認しておくとよいでしょう。助成金…「会社都合」の退職者を出した場合受給できなくなるケースも助成金とは、一定の条件を満たして申請することによって、国や地方公共団体などから企業などへ返済不要な資金が支給される制度です。助成金にはさまざまなものが存在しますが、多くが人材雇用や人材育成に関するものであり、主に厚生労働省が所轄しています。助成金のなかには、会社都合の退職者を出した場合には受給要件が満たせなくなるものが少なくありません。そのため、助成金を受けている企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ助成金の要件を確認しておく必要があるでしょう。退職勧奨をスムーズに進める「4つ」のプロセス退職勧奨を行う際の進め方や流れは、次のとおりです。1.弁護士へ相談する企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ労使問題に強い弁護士へ相談するとよいでしょう。なぜなら、退職勧奨が発端となりトラブルとなるケースが少なくないためです。弁護士へ相談することで、その案件に沿った具体的な進め方のアドバイスを受けることが可能となります。場合によっては、面談の場に同席してもらうことも1つの選択肢となるでしょう。また、万が一トラブルとなった際に、スムーズに対応してもらうことが可能となります。2.従業員と個別に面談をする退職勧奨をする際には、対象となっている従業員と個別で面談の場を設けます。他の従業員が大勢いる場や他の従業員に聞こえる場で退職勧奨の話をすることは避けましょう。面談の場では、会社として退職を勧める旨を明確に伝えます。ただし、あくまでも退職するかどうかの選択権は従業員側にあることもはっきり伝えておくとよいでしょう。併せて、退職勧奨の対象となっている理由も明示します。なぜなら、理由を示されることで、退職勧奨に納得しやすくなる可能性があるとともに、恣意的に対象者を選定して退職勧奨を実施しているのではないのかという疑念を払拭するためです。3.従業員へ条件を提示する退職勧奨の面談では、従業員へ退職勧奨に応じた場合の条件を提示します。たとえば、退職金を上乗せすることや、転職先をあっせんすることなどです。このように条件を提示し、退職の動機付けを設計することで、前向きな退職の実現を図ることができます。提示をする条件は、あらかじめ弁護士へ相談するなどして、よく検討しておきましょう。4.合意書を作成する従業員が退職勧奨に合意した場合には、すみやかに合意書を作成し、従業員に署名と捺印をもらいましょう。合意書には決まった様式はありませんが、最低限、次の事項は記載しておくべきです。・退職勧奨に合意をする旨・合意をした退職日・退職金の額など、退職勧奨に応じる条件・その他一切の債権債務がない旨合意書は、万が一後にトラブルとなった際に重要な証拠となる書類です。他にも、秘密情報の不使用等の条項を設定しておくと、退職後のトラブル防止につながります。そのため、不安がある場合には、あらかじめ弁護士に案文を確認してもらうとよいでしょう。「退職勧奨」する前に…会社が検討すべきポイント退職勧奨をする前に、次の点について会社側でよく検討しておきましょう。退職金の「上乗せ支給」単に「辞めてほしい」と伝えるのみでは、退職勧奨に応じてくれない可能性が高いでしょう。そこで、退職金の上乗せ支給を提案することがしばしば行われています。上乗せ額はケースバイケースですが、給与の3ヵ月分程度を上乗せすることで交渉することが一般的です。なお、残業代の未払いなどがある場合には、退職後に未払い残業代が請求される可能性があります。そのため、仮に未払い残業代が発生している場合には、あらかじめ弁護士へ相談のうえ、対応を検討しておくとよいでしょう。退職の「時期」や「有給休暇」の取り扱い退職勧奨をする前に、その従業員の消化していない有給休暇の有無や日数を確認しておきましょう。退職勧奨や退職金などの条件について合意したあとで、未消化有給休暇の買い取りを請求されたり、会社としては引き継ぎ期間として考えていた期間に有給休暇を取得されたりする可能性があるためです。未消化有給休暇の取り扱いを考慮したうえで、退職日を検討するとよいでしょう。再就職支援再就職先のあっせんなど再就職の支援をすることで、従業員が退職勧奨に応じやすくなります。そのため、可能であれば再就職の支援を検討することも1つです。ただし、問題行動が多いことが理由で退職勧奨をする従業員を他社にあっせんしてしまうと、再就職先となる企業との関係が悪化してしまう可能性があります。そのため、再就職支援をするかどうかは、従業員の問題行動の有無など状況に応じて検討するとよいでしょう。トラブルを避けるためのポイント「8つ」退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。「強要」は違法…損害賠償請求の可能性も退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。1.退職勧奨に応じるかどうかは任意であることを説明する退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。2.マイナスの条件を提示しない退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。3.面談の頻度や時間退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。4.相手の人格否定などは行わないたとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。5.退職を拒否されたら面談を打ち切る退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。6.従業員に有利になる条件を書面で提示する従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。7.面談内容や合意内容を書面化する退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。8.あらかじめ弁護士へ相談する退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。西尾 公伸Authense法律事務所弁護士
退職勧奨とは、会社側として退職してほしいと考えている従業員に対して、退職するようにすすめる行為です。会社の人員削減の一環で行う場合もあれば、遅刻を繰り返したりセクハラをしたりなど問題行動の多い従業員に対して行う場合もあるでしょう。
退職勧奨と似たものに、解雇や退職届を出しての退職が存在します。それぞれの違いは次のとおりです。
退職勧奨は、あくまでも「辞めたらどうか」と会社側が退職を勧奨するのみです。そのため、退職勧奨に応じて退職をするか、退職勧奨を拒否してそのまま勤務を続けるのかは、従業員側の自由です。
これに対し、解雇は、会社側が一方的に従業員を辞めさせる行為です。退職勧奨とは異なり、従業員側の意思は反映されないため、解雇は法律で厳しく制限されています。
解雇に客観的に合理的な理由がなく、かつ社会通念上相当であるといえない場合などには、従業員側から解雇の無効や損害賠償を求めて訴訟が提起される可能性があるでしょう。
退職には、大きく分けて「会社都合退職」と「自己都合退職」の2つが存在します。
どちらに該当するかによって、その後の失業給付や助成金受給などに違いが生じるため、いずれに該当するのかは会社側にとっても従業員側にとっても非常に重要な問題です。
自己都合退職とは、従業員自らが退職届を出して退職するケースを指します。たとえば、配偶者の転勤に伴い本人の希望で退職届を提出する場合や、転職を希望して退職届を提出する場合などがあるでしょう。
一方、退職勧奨を発端とした退職は、原則として会社都合退職に該当します※。※ 厚生労働省:労働契約の終了に関するルール
従業員が退職勧奨の条件に合意をしたからといって、自己都合退職扱いとなるわけではありません。
助成金受給企業は要注意!「自己都合退職」と異なる点自己都合退職と会社都合退職とで、どのような違いが生じるのでしょうか?主な違いは次のとおりです。失業給付…会社都合退職のほうが「手厚い」退職理由が会社都合か自己都合かによって、退職後に従業員が受け取る失業給付に違いが生じます※。※2 厚生労働省:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~失業給付とは、失業期間中に雇用保険から支給される手当のことです。会社都合退職の場合、失業給付は受給手続日後7日間の待機期間を経た翌日分から支給されます。一方、自己都合退職の場合には、そこからさらに原則として2ヵ月間の給付制限期間を過ぎてからでなければ、給付を受けることができません。また、支給を受けられる日数(受給者の年齢や雇用保険の被保険者であった期間などによって変動)も会社都合退職の方が長く、全体的に手厚くなっています。退職金…会社の規定により違いがある会社によっては、自己都合退職の場合と会社都合退職の場合とで、退職金の支給額に差をつけている場合があります。これは、会社が定めている退職金規程によるものですので、あらかじめ規程を確認しておくとよいでしょう。助成金…「会社都合」の退職者を出した場合受給できなくなるケースも助成金とは、一定の条件を満たして申請することによって、国や地方公共団体などから企業などへ返済不要な資金が支給される制度です。助成金にはさまざまなものが存在しますが、多くが人材雇用や人材育成に関するものであり、主に厚生労働省が所轄しています。助成金のなかには、会社都合の退職者を出した場合には受給要件が満たせなくなるものが少なくありません。そのため、助成金を受けている企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ助成金の要件を確認しておく必要があるでしょう。退職勧奨をスムーズに進める「4つ」のプロセス退職勧奨を行う際の進め方や流れは、次のとおりです。1.弁護士へ相談する企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ労使問題に強い弁護士へ相談するとよいでしょう。なぜなら、退職勧奨が発端となりトラブルとなるケースが少なくないためです。弁護士へ相談することで、その案件に沿った具体的な進め方のアドバイスを受けることが可能となります。場合によっては、面談の場に同席してもらうことも1つの選択肢となるでしょう。また、万が一トラブルとなった際に、スムーズに対応してもらうことが可能となります。2.従業員と個別に面談をする退職勧奨をする際には、対象となっている従業員と個別で面談の場を設けます。他の従業員が大勢いる場や他の従業員に聞こえる場で退職勧奨の話をすることは避けましょう。面談の場では、会社として退職を勧める旨を明確に伝えます。ただし、あくまでも退職するかどうかの選択権は従業員側にあることもはっきり伝えておくとよいでしょう。併せて、退職勧奨の対象となっている理由も明示します。なぜなら、理由を示されることで、退職勧奨に納得しやすくなる可能性があるとともに、恣意的に対象者を選定して退職勧奨を実施しているのではないのかという疑念を払拭するためです。3.従業員へ条件を提示する退職勧奨の面談では、従業員へ退職勧奨に応じた場合の条件を提示します。たとえば、退職金を上乗せすることや、転職先をあっせんすることなどです。このように条件を提示し、退職の動機付けを設計することで、前向きな退職の実現を図ることができます。提示をする条件は、あらかじめ弁護士へ相談するなどして、よく検討しておきましょう。4.合意書を作成する従業員が退職勧奨に合意した場合には、すみやかに合意書を作成し、従業員に署名と捺印をもらいましょう。合意書には決まった様式はありませんが、最低限、次の事項は記載しておくべきです。・退職勧奨に合意をする旨・合意をした退職日・退職金の額など、退職勧奨に応じる条件・その他一切の債権債務がない旨合意書は、万が一後にトラブルとなった際に重要な証拠となる書類です。他にも、秘密情報の不使用等の条項を設定しておくと、退職後のトラブル防止につながります。そのため、不安がある場合には、あらかじめ弁護士に案文を確認してもらうとよいでしょう。「退職勧奨」する前に…会社が検討すべきポイント退職勧奨をする前に、次の点について会社側でよく検討しておきましょう。退職金の「上乗せ支給」単に「辞めてほしい」と伝えるのみでは、退職勧奨に応じてくれない可能性が高いでしょう。そこで、退職金の上乗せ支給を提案することがしばしば行われています。上乗せ額はケースバイケースですが、給与の3ヵ月分程度を上乗せすることで交渉することが一般的です。なお、残業代の未払いなどがある場合には、退職後に未払い残業代が請求される可能性があります。そのため、仮に未払い残業代が発生している場合には、あらかじめ弁護士へ相談のうえ、対応を検討しておくとよいでしょう。退職の「時期」や「有給休暇」の取り扱い退職勧奨をする前に、その従業員の消化していない有給休暇の有無や日数を確認しておきましょう。退職勧奨や退職金などの条件について合意したあとで、未消化有給休暇の買い取りを請求されたり、会社としては引き継ぎ期間として考えていた期間に有給休暇を取得されたりする可能性があるためです。未消化有給休暇の取り扱いを考慮したうえで、退職日を検討するとよいでしょう。再就職支援再就職先のあっせんなど再就職の支援をすることで、従業員が退職勧奨に応じやすくなります。そのため、可能であれば再就職の支援を検討することも1つです。ただし、問題行動が多いことが理由で退職勧奨をする従業員を他社にあっせんしてしまうと、再就職先となる企業との関係が悪化してしまう可能性があります。そのため、再就職支援をするかどうかは、従業員の問題行動の有無など状況に応じて検討するとよいでしょう。トラブルを避けるためのポイント「8つ」退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。「強要」は違法…損害賠償請求の可能性も退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。1.退職勧奨に応じるかどうかは任意であることを説明する退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。2.マイナスの条件を提示しない退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。3.面談の頻度や時間退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。4.相手の人格否定などは行わないたとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。5.退職を拒否されたら面談を打ち切る退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。6.従業員に有利になる条件を書面で提示する従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。7.面談内容や合意内容を書面化する退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。8.あらかじめ弁護士へ相談する退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。西尾 公伸Authense法律事務所弁護士
助成金受給企業は要注意!「自己都合退職」と異なる点自己都合退職と会社都合退職とで、どのような違いが生じるのでしょうか?主な違いは次のとおりです。失業給付…会社都合退職のほうが「手厚い」退職理由が会社都合か自己都合かによって、退職後に従業員が受け取る失業給付に違いが生じます※。※2 厚生労働省:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~失業給付とは、失業期間中に雇用保険から支給される手当のことです。会社都合退職の場合、失業給付は受給手続日後7日間の待機期間を経た翌日分から支給されます。一方、自己都合退職の場合には、そこからさらに原則として2ヵ月間の給付制限期間を過ぎてからでなければ、給付を受けることができません。また、支給を受けられる日数(受給者の年齢や雇用保険の被保険者であった期間などによって変動)も会社都合退職の方が長く、全体的に手厚くなっています。退職金…会社の規定により違いがある会社によっては、自己都合退職の場合と会社都合退職の場合とで、退職金の支給額に差をつけている場合があります。これは、会社が定めている退職金規程によるものですので、あらかじめ規程を確認しておくとよいでしょう。助成金…「会社都合」の退職者を出した場合受給できなくなるケースも助成金とは、一定の条件を満たして申請することによって、国や地方公共団体などから企業などへ返済不要な資金が支給される制度です。助成金にはさまざまなものが存在しますが、多くが人材雇用や人材育成に関するものであり、主に厚生労働省が所轄しています。助成金のなかには、会社都合の退職者を出した場合には受給要件が満たせなくなるものが少なくありません。そのため、助成金を受けている企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ助成金の要件を確認しておく必要があるでしょう。退職勧奨をスムーズに進める「4つ」のプロセス退職勧奨を行う際の進め方や流れは、次のとおりです。1.弁護士へ相談する企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ労使問題に強い弁護士へ相談するとよいでしょう。なぜなら、退職勧奨が発端となりトラブルとなるケースが少なくないためです。弁護士へ相談することで、その案件に沿った具体的な進め方のアドバイスを受けることが可能となります。場合によっては、面談の場に同席してもらうことも1つの選択肢となるでしょう。また、万が一トラブルとなった際に、スムーズに対応してもらうことが可能となります。2.従業員と個別に面談をする退職勧奨をする際には、対象となっている従業員と個別で面談の場を設けます。他の従業員が大勢いる場や他の従業員に聞こえる場で退職勧奨の話をすることは避けましょう。面談の場では、会社として退職を勧める旨を明確に伝えます。ただし、あくまでも退職するかどうかの選択権は従業員側にあることもはっきり伝えておくとよいでしょう。併せて、退職勧奨の対象となっている理由も明示します。なぜなら、理由を示されることで、退職勧奨に納得しやすくなる可能性があるとともに、恣意的に対象者を選定して退職勧奨を実施しているのではないのかという疑念を払拭するためです。3.従業員へ条件を提示する退職勧奨の面談では、従業員へ退職勧奨に応じた場合の条件を提示します。たとえば、退職金を上乗せすることや、転職先をあっせんすることなどです。このように条件を提示し、退職の動機付けを設計することで、前向きな退職の実現を図ることができます。提示をする条件は、あらかじめ弁護士へ相談するなどして、よく検討しておきましょう。4.合意書を作成する従業員が退職勧奨に合意した場合には、すみやかに合意書を作成し、従業員に署名と捺印をもらいましょう。合意書には決まった様式はありませんが、最低限、次の事項は記載しておくべきです。・退職勧奨に合意をする旨・合意をした退職日・退職金の額など、退職勧奨に応じる条件・その他一切の債権債務がない旨合意書は、万が一後にトラブルとなった際に重要な証拠となる書類です。他にも、秘密情報の不使用等の条項を設定しておくと、退職後のトラブル防止につながります。そのため、不安がある場合には、あらかじめ弁護士に案文を確認してもらうとよいでしょう。「退職勧奨」する前に…会社が検討すべきポイント退職勧奨をする前に、次の点について会社側でよく検討しておきましょう。退職金の「上乗せ支給」単に「辞めてほしい」と伝えるのみでは、退職勧奨に応じてくれない可能性が高いでしょう。そこで、退職金の上乗せ支給を提案することがしばしば行われています。上乗せ額はケースバイケースですが、給与の3ヵ月分程度を上乗せすることで交渉することが一般的です。なお、残業代の未払いなどがある場合には、退職後に未払い残業代が請求される可能性があります。そのため、仮に未払い残業代が発生している場合には、あらかじめ弁護士へ相談のうえ、対応を検討しておくとよいでしょう。退職の「時期」や「有給休暇」の取り扱い退職勧奨をする前に、その従業員の消化していない有給休暇の有無や日数を確認しておきましょう。退職勧奨や退職金などの条件について合意したあとで、未消化有給休暇の買い取りを請求されたり、会社としては引き継ぎ期間として考えていた期間に有給休暇を取得されたりする可能性があるためです。未消化有給休暇の取り扱いを考慮したうえで、退職日を検討するとよいでしょう。再就職支援再就職先のあっせんなど再就職の支援をすることで、従業員が退職勧奨に応じやすくなります。そのため、可能であれば再就職の支援を検討することも1つです。ただし、問題行動が多いことが理由で退職勧奨をする従業員を他社にあっせんしてしまうと、再就職先となる企業との関係が悪化してしまう可能性があります。そのため、再就職支援をするかどうかは、従業員の問題行動の有無など状況に応じて検討するとよいでしょう。トラブルを避けるためのポイント「8つ」退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。「強要」は違法…損害賠償請求の可能性も退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。1.退職勧奨に応じるかどうかは任意であることを説明する退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。2.マイナスの条件を提示しない退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。3.面談の頻度や時間退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。4.相手の人格否定などは行わないたとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。5.退職を拒否されたら面談を打ち切る退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。6.従業員に有利になる条件を書面で提示する従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。7.面談内容や合意内容を書面化する退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。8.あらかじめ弁護士へ相談する退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。西尾 公伸Authense法律事務所弁護士
自己都合退職と会社都合退職とで、どのような違いが生じるのでしょうか?主な違いは次のとおりです。
退職理由が会社都合か自己都合かによって、退職後に従業員が受け取る失業給付に違いが生じます※。※2 厚生労働省:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
失業給付とは、失業期間中に雇用保険から支給される手当のことです。会社都合退職の場合、失業給付は受給手続日後7日間の待機期間を経た翌日分から支給されます。
一方、自己都合退職の場合には、そこからさらに原則として2ヵ月間の給付制限期間を過ぎてからでなければ、給付を受けることができません。
また、支給を受けられる日数(受給者の年齢や雇用保険の被保険者であった期間などによって変動)も会社都合退職の方が長く、全体的に手厚くなっています。
会社によっては、自己都合退職の場合と会社都合退職の場合とで、退職金の支給額に差をつけている場合があります。これは、会社が定めている退職金規程によるものですので、あらかじめ規程を確認しておくとよいでしょう。
助成金とは、一定の条件を満たして申請することによって、国や地方公共団体などから企業などへ返済不要な資金が支給される制度です。助成金にはさまざまなものが存在しますが、多くが人材雇用や人材育成に関するものであり、主に厚生労働省が所轄しています。
助成金のなかには、会社都合の退職者を出した場合には受給要件が満たせなくなるものが少なくありません。
そのため、助成金を受けている企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ助成金の要件を確認しておく必要があるでしょう。
退職勧奨をスムーズに進める「4つ」のプロセス退職勧奨を行う際の進め方や流れは、次のとおりです。1.弁護士へ相談する企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ労使問題に強い弁護士へ相談するとよいでしょう。なぜなら、退職勧奨が発端となりトラブルとなるケースが少なくないためです。弁護士へ相談することで、その案件に沿った具体的な進め方のアドバイスを受けることが可能となります。場合によっては、面談の場に同席してもらうことも1つの選択肢となるでしょう。また、万が一トラブルとなった際に、スムーズに対応してもらうことが可能となります。2.従業員と個別に面談をする退職勧奨をする際には、対象となっている従業員と個別で面談の場を設けます。他の従業員が大勢いる場や他の従業員に聞こえる場で退職勧奨の話をすることは避けましょう。面談の場では、会社として退職を勧める旨を明確に伝えます。ただし、あくまでも退職するかどうかの選択権は従業員側にあることもはっきり伝えておくとよいでしょう。併せて、退職勧奨の対象となっている理由も明示します。なぜなら、理由を示されることで、退職勧奨に納得しやすくなる可能性があるとともに、恣意的に対象者を選定して退職勧奨を実施しているのではないのかという疑念を払拭するためです。3.従業員へ条件を提示する退職勧奨の面談では、従業員へ退職勧奨に応じた場合の条件を提示します。たとえば、退職金を上乗せすることや、転職先をあっせんすることなどです。このように条件を提示し、退職の動機付けを設計することで、前向きな退職の実現を図ることができます。提示をする条件は、あらかじめ弁護士へ相談するなどして、よく検討しておきましょう。4.合意書を作成する従業員が退職勧奨に合意した場合には、すみやかに合意書を作成し、従業員に署名と捺印をもらいましょう。合意書には決まった様式はありませんが、最低限、次の事項は記載しておくべきです。・退職勧奨に合意をする旨・合意をした退職日・退職金の額など、退職勧奨に応じる条件・その他一切の債権債務がない旨合意書は、万が一後にトラブルとなった際に重要な証拠となる書類です。他にも、秘密情報の不使用等の条項を設定しておくと、退職後のトラブル防止につながります。そのため、不安がある場合には、あらかじめ弁護士に案文を確認してもらうとよいでしょう。「退職勧奨」する前に…会社が検討すべきポイント退職勧奨をする前に、次の点について会社側でよく検討しておきましょう。退職金の「上乗せ支給」単に「辞めてほしい」と伝えるのみでは、退職勧奨に応じてくれない可能性が高いでしょう。そこで、退職金の上乗せ支給を提案することがしばしば行われています。上乗せ額はケースバイケースですが、給与の3ヵ月分程度を上乗せすることで交渉することが一般的です。なお、残業代の未払いなどがある場合には、退職後に未払い残業代が請求される可能性があります。そのため、仮に未払い残業代が発生している場合には、あらかじめ弁護士へ相談のうえ、対応を検討しておくとよいでしょう。退職の「時期」や「有給休暇」の取り扱い退職勧奨をする前に、その従業員の消化していない有給休暇の有無や日数を確認しておきましょう。退職勧奨や退職金などの条件について合意したあとで、未消化有給休暇の買い取りを請求されたり、会社としては引き継ぎ期間として考えていた期間に有給休暇を取得されたりする可能性があるためです。未消化有給休暇の取り扱いを考慮したうえで、退職日を検討するとよいでしょう。再就職支援再就職先のあっせんなど再就職の支援をすることで、従業員が退職勧奨に応じやすくなります。そのため、可能であれば再就職の支援を検討することも1つです。ただし、問題行動が多いことが理由で退職勧奨をする従業員を他社にあっせんしてしまうと、再就職先となる企業との関係が悪化してしまう可能性があります。そのため、再就職支援をするかどうかは、従業員の問題行動の有無など状況に応じて検討するとよいでしょう。トラブルを避けるためのポイント「8つ」退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。「強要」は違法…損害賠償請求の可能性も退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。1.退職勧奨に応じるかどうかは任意であることを説明する退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。2.マイナスの条件を提示しない退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。3.面談の頻度や時間退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。4.相手の人格否定などは行わないたとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。5.退職を拒否されたら面談を打ち切る退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。6.従業員に有利になる条件を書面で提示する従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。7.面談内容や合意内容を書面化する退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。8.あらかじめ弁護士へ相談する退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。西尾 公伸Authense法律事務所弁護士
退職勧奨をスムーズに進める「4つ」のプロセス退職勧奨を行う際の進め方や流れは、次のとおりです。1.弁護士へ相談する企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ労使問題に強い弁護士へ相談するとよいでしょう。なぜなら、退職勧奨が発端となりトラブルとなるケースが少なくないためです。弁護士へ相談することで、その案件に沿った具体的な進め方のアドバイスを受けることが可能となります。場合によっては、面談の場に同席してもらうことも1つの選択肢となるでしょう。また、万が一トラブルとなった際に、スムーズに対応してもらうことが可能となります。2.従業員と個別に面談をする退職勧奨をする際には、対象となっている従業員と個別で面談の場を設けます。他の従業員が大勢いる場や他の従業員に聞こえる場で退職勧奨の話をすることは避けましょう。面談の場では、会社として退職を勧める旨を明確に伝えます。ただし、あくまでも退職するかどうかの選択権は従業員側にあることもはっきり伝えておくとよいでしょう。併せて、退職勧奨の対象となっている理由も明示します。なぜなら、理由を示されることで、退職勧奨に納得しやすくなる可能性があるとともに、恣意的に対象者を選定して退職勧奨を実施しているのではないのかという疑念を払拭するためです。3.従業員へ条件を提示する退職勧奨の面談では、従業員へ退職勧奨に応じた場合の条件を提示します。たとえば、退職金を上乗せすることや、転職先をあっせんすることなどです。このように条件を提示し、退職の動機付けを設計することで、前向きな退職の実現を図ることができます。提示をする条件は、あらかじめ弁護士へ相談するなどして、よく検討しておきましょう。4.合意書を作成する従業員が退職勧奨に合意した場合には、すみやかに合意書を作成し、従業員に署名と捺印をもらいましょう。合意書には決まった様式はありませんが、最低限、次の事項は記載しておくべきです。・退職勧奨に合意をする旨・合意をした退職日・退職金の額など、退職勧奨に応じる条件・その他一切の債権債務がない旨合意書は、万が一後にトラブルとなった際に重要な証拠となる書類です。他にも、秘密情報の不使用等の条項を設定しておくと、退職後のトラブル防止につながります。そのため、不安がある場合には、あらかじめ弁護士に案文を確認してもらうとよいでしょう。「退職勧奨」する前に…会社が検討すべきポイント退職勧奨をする前に、次の点について会社側でよく検討しておきましょう。退職金の「上乗せ支給」単に「辞めてほしい」と伝えるのみでは、退職勧奨に応じてくれない可能性が高いでしょう。そこで、退職金の上乗せ支給を提案することがしばしば行われています。上乗せ額はケースバイケースですが、給与の3ヵ月分程度を上乗せすることで交渉することが一般的です。なお、残業代の未払いなどがある場合には、退職後に未払い残業代が請求される可能性があります。そのため、仮に未払い残業代が発生している場合には、あらかじめ弁護士へ相談のうえ、対応を検討しておくとよいでしょう。退職の「時期」や「有給休暇」の取り扱い退職勧奨をする前に、その従業員の消化していない有給休暇の有無や日数を確認しておきましょう。退職勧奨や退職金などの条件について合意したあとで、未消化有給休暇の買い取りを請求されたり、会社としては引き継ぎ期間として考えていた期間に有給休暇を取得されたりする可能性があるためです。未消化有給休暇の取り扱いを考慮したうえで、退職日を検討するとよいでしょう。再就職支援再就職先のあっせんなど再就職の支援をすることで、従業員が退職勧奨に応じやすくなります。そのため、可能であれば再就職の支援を検討することも1つです。ただし、問題行動が多いことが理由で退職勧奨をする従業員を他社にあっせんしてしまうと、再就職先となる企業との関係が悪化してしまう可能性があります。そのため、再就職支援をするかどうかは、従業員の問題行動の有無など状況に応じて検討するとよいでしょう。トラブルを避けるためのポイント「8つ」退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。「強要」は違法…損害賠償請求の可能性も退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。1.退職勧奨に応じるかどうかは任意であることを説明する退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。2.マイナスの条件を提示しない退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。3.面談の頻度や時間退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。4.相手の人格否定などは行わないたとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。5.退職を拒否されたら面談を打ち切る退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。6.従業員に有利になる条件を書面で提示する従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。7.面談内容や合意内容を書面化する退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。8.あらかじめ弁護士へ相談する退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。西尾 公伸Authense法律事務所弁護士
退職勧奨を行う際の進め方や流れは、次のとおりです。
企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ労使問題に強い弁護士へ相談するとよいでしょう。なぜなら、退職勧奨が発端となりトラブルとなるケースが少なくないためです。
弁護士へ相談することで、その案件に沿った具体的な進め方のアドバイスを受けることが可能となります。場合によっては、面談の場に同席してもらうことも1つの選択肢となるでしょう。
また、万が一トラブルとなった際に、スムーズに対応してもらうことが可能となります。
退職勧奨をする際には、対象となっている従業員と個別で面談の場を設けます。他の従業員が大勢いる場や他の従業員に聞こえる場で退職勧奨の話をすることは避けましょう。
面談の場では、会社として退職を勧める旨を明確に伝えます。ただし、あくまでも退職するかどうかの選択権は従業員側にあることもはっきり伝えておくとよいでしょう。
併せて、退職勧奨の対象となっている理由も明示します。なぜなら、理由を示されることで、退職勧奨に納得しやすくなる可能性があるとともに、恣意的に対象者を選定して退職勧奨を実施しているのではないのかという疑念を払拭するためです。
退職勧奨の面談では、従業員へ退職勧奨に応じた場合の条件を提示します。たとえば、退職金を上乗せすることや、転職先をあっせんすることなどです。このように条件を提示し、退職の動機付けを設計することで、前向きな退職の実現を図ることができます。
提示をする条件は、あらかじめ弁護士へ相談するなどして、よく検討しておきましょう。
従業員が退職勧奨に合意した場合には、すみやかに合意書を作成し、従業員に署名と捺印をもらいましょう。
合意書には決まった様式はありませんが、最低限、次の事項は記載しておくべきです。
・退職勧奨に合意をする旨・合意をした退職日・退職金の額など、退職勧奨に応じる条件・その他一切の債権債務がない旨
合意書は、万が一後にトラブルとなった際に重要な証拠となる書類です。他にも、秘密情報の不使用等の条項を設定しておくと、退職後のトラブル防止につながります。
そのため、不安がある場合には、あらかじめ弁護士に案文を確認してもらうとよいでしょう。
「退職勧奨」する前に…会社が検討すべきポイント退職勧奨をする前に、次の点について会社側でよく検討しておきましょう。退職金の「上乗せ支給」単に「辞めてほしい」と伝えるのみでは、退職勧奨に応じてくれない可能性が高いでしょう。そこで、退職金の上乗せ支給を提案することがしばしば行われています。上乗せ額はケースバイケースですが、給与の3ヵ月分程度を上乗せすることで交渉することが一般的です。なお、残業代の未払いなどがある場合には、退職後に未払い残業代が請求される可能性があります。そのため、仮に未払い残業代が発生している場合には、あらかじめ弁護士へ相談のうえ、対応を検討しておくとよいでしょう。退職の「時期」や「有給休暇」の取り扱い退職勧奨をする前に、その従業員の消化していない有給休暇の有無や日数を確認しておきましょう。退職勧奨や退職金などの条件について合意したあとで、未消化有給休暇の買い取りを請求されたり、会社としては引き継ぎ期間として考えていた期間に有給休暇を取得されたりする可能性があるためです。未消化有給休暇の取り扱いを考慮したうえで、退職日を検討するとよいでしょう。再就職支援再就職先のあっせんなど再就職の支援をすることで、従業員が退職勧奨に応じやすくなります。そのため、可能であれば再就職の支援を検討することも1つです。ただし、問題行動が多いことが理由で退職勧奨をする従業員を他社にあっせんしてしまうと、再就職先となる企業との関係が悪化してしまう可能性があります。そのため、再就職支援をするかどうかは、従業員の問題行動の有無など状況に応じて検討するとよいでしょう。トラブルを避けるためのポイント「8つ」退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。「強要」は違法…損害賠償請求の可能性も退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。1.退職勧奨に応じるかどうかは任意であることを説明する退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。2.マイナスの条件を提示しない退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。3.面談の頻度や時間退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。4.相手の人格否定などは行わないたとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。5.退職を拒否されたら面談を打ち切る退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。6.従業員に有利になる条件を書面で提示する従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。7.面談内容や合意内容を書面化する退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。8.あらかじめ弁護士へ相談する退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。西尾 公伸Authense法律事務所弁護士
「退職勧奨」する前に…会社が検討すべきポイント退職勧奨をする前に、次の点について会社側でよく検討しておきましょう。退職金の「上乗せ支給」単に「辞めてほしい」と伝えるのみでは、退職勧奨に応じてくれない可能性が高いでしょう。そこで、退職金の上乗せ支給を提案することがしばしば行われています。上乗せ額はケースバイケースですが、給与の3ヵ月分程度を上乗せすることで交渉することが一般的です。なお、残業代の未払いなどがある場合には、退職後に未払い残業代が請求される可能性があります。そのため、仮に未払い残業代が発生している場合には、あらかじめ弁護士へ相談のうえ、対応を検討しておくとよいでしょう。退職の「時期」や「有給休暇」の取り扱い退職勧奨をする前に、その従業員の消化していない有給休暇の有無や日数を確認しておきましょう。退職勧奨や退職金などの条件について合意したあとで、未消化有給休暇の買い取りを請求されたり、会社としては引き継ぎ期間として考えていた期間に有給休暇を取得されたりする可能性があるためです。未消化有給休暇の取り扱いを考慮したうえで、退職日を検討するとよいでしょう。再就職支援再就職先のあっせんなど再就職の支援をすることで、従業員が退職勧奨に応じやすくなります。そのため、可能であれば再就職の支援を検討することも1つです。ただし、問題行動が多いことが理由で退職勧奨をする従業員を他社にあっせんしてしまうと、再就職先となる企業との関係が悪化してしまう可能性があります。そのため、再就職支援をするかどうかは、従業員の問題行動の有無など状況に応じて検討するとよいでしょう。トラブルを避けるためのポイント「8つ」退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。「強要」は違法…損害賠償請求の可能性も退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。1.退職勧奨に応じるかどうかは任意であることを説明する退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。2.マイナスの条件を提示しない退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。3.面談の頻度や時間退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。4.相手の人格否定などは行わないたとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。5.退職を拒否されたら面談を打ち切る退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。6.従業員に有利になる条件を書面で提示する従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。7.面談内容や合意内容を書面化する退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。8.あらかじめ弁護士へ相談する退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。西尾 公伸Authense法律事務所弁護士
退職勧奨をする前に、次の点について会社側でよく検討しておきましょう。
単に「辞めてほしい」と伝えるのみでは、退職勧奨に応じてくれない可能性が高いでしょう。そこで、退職金の上乗せ支給を提案することがしばしば行われています。
上乗せ額はケースバイケースですが、給与の3ヵ月分程度を上乗せすることで交渉することが一般的です。
なお、残業代の未払いなどがある場合には、退職後に未払い残業代が請求される可能性があります。そのため、仮に未払い残業代が発生している場合には、あらかじめ弁護士へ相談のうえ、対応を検討しておくとよいでしょう。
退職勧奨をする前に、その従業員の消化していない有給休暇の有無や日数を確認しておきましょう。
退職勧奨や退職金などの条件について合意したあとで、未消化有給休暇の買い取りを請求されたり、会社としては引き継ぎ期間として考えていた期間に有給休暇を取得されたりする可能性があるためです。
未消化有給休暇の取り扱いを考慮したうえで、退職日を検討するとよいでしょう。
再就職先のあっせんなど再就職の支援をすることで、従業員が退職勧奨に応じやすくなります。そのため、可能であれば再就職の支援を検討することも1つです。
ただし、問題行動が多いことが理由で退職勧奨をする従業員を他社にあっせんしてしまうと、再就職先となる企業との関係が悪化してしまう可能性があります。そのため、再就職支援をするかどうかは、従業員の問題行動の有無など状況に応じて検討するとよいでしょう。
トラブルを避けるためのポイント「8つ」退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。「強要」は違法…損害賠償請求の可能性も退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。1.退職勧奨に応じるかどうかは任意であることを説明する退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。2.マイナスの条件を提示しない退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。3.面談の頻度や時間退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。4.相手の人格否定などは行わないたとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。5.退職を拒否されたら面談を打ち切る退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。6.従業員に有利になる条件を書面で提示する従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。7.面談内容や合意内容を書面化する退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。8.あらかじめ弁護士へ相談する退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。西尾 公伸Authense法律事務所弁護士
トラブルを避けるためのポイント「8つ」退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。「強要」は違法…損害賠償請求の可能性も退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。1.退職勧奨に応じるかどうかは任意であることを説明する退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。2.マイナスの条件を提示しない退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。3.面談の頻度や時間退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。4.相手の人格否定などは行わないたとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。5.退職を拒否されたら面談を打ち切る退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。6.従業員に有利になる条件を書面で提示する従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。7.面談内容や合意内容を書面化する退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。8.あらかじめ弁護士へ相談する退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。西尾 公伸Authense法律事務所弁護士
退職勧奨の進め方を誤ると、後にトラブルへと発展する可能性があります。そのため、退職勧奨はさまざまな面に配慮したうえで慎重に進めなければなりません。
退職勧奨がトラブルとならないために注意すべきポイントは、主に次のものがあります。
退職勧奨は単に退職をすすめるのみであり、なんら違法な行為ではありません。一方、退職を強要する「退職強要」は違法であり、退職強要をすれば会社が損害賠償責任を負う可能性があります。
そのため、退職勧奨をする際には、違法な退職強要であると判断されないよう、充分注意しなければなりません。
退職勧奨のつもりが退職強要とならないための主な注意点は、次のとおりです。
退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員側の任意です。この点を誤解させる言い方をしてしまえば、退職強要と捉えられてしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、退職するかどうかの選択権は従業員側にあることをよく説明しておきましょう。
そのうえで、「退職を命じます」「会社を辞めてください」など、退職を拒否できないと思わせるような言い方は避けるべきです。
退職勧奨にあたって、退職金の上乗せ支給など従業員にとってプラスとなる条件を提示することは、なんら問題ありません。
一方で、たとえば「退職勧奨に応じなければ解雇する」「退職勧奨に応じなければ遠方に転勤させる」「退職勧奨に応じなければ減給する」など、マイナスの条件の提示は避けましょう。これらの発言は、退職を強要していると判断される可能性があるためです。
退職勧奨をする際には、面談の設定についても注意しましょう。
たとえば、毎日のように退職勧奨の面談が設定されれば、退職強要であると判断される可能性があります。また、あまりにも長時間に及ぶ面談や大勢で取り囲むような面談も、避けるべきです。
たとえ従業員側に非がある場合であっても、相手の人格否定となる発言をしてはなりません。たとえば、「馬鹿野郎」「死んでしまえ」「役立たず」「お前が会社にいるとみんなが迷惑する」などです。
このような発言で相手を追い込んでしまうと、退職強要やパワハラなどに該当すると判断される可能性が高いでしょう。
退職勧奨に応じるかどうかは、従業員次第です。そのため、退職を明確に拒否された場合には、それ以上面談を続けることは避けましょう。
拒否しているにもかかわらず、執拗な説得を続けてしまうと、退職強要となりかねません。
従業員への条件の提示は、書面で行うとよいでしょう。口頭で説明するのみでは勘違いや聞き間違いなどが生じやすく、後にトラブルとなる危険性があるためです。
退職勧奨を行う際には、面談内容や合意内容を、その都度書面に残しておきましょう。
せっかく退職の合意ができたとしても、書面に残していなければ、あとから合意などしていないなどと主張されてしまいかねないためです。また、退職強要があったなどと主張されてしまうリスクもあります。
また、相手に了承を得たうえで面談の様子を録音しておくことも、トラブル予防策の1つとなるでしょう。
退職勧奨を検討する際には、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。なぜなら、退職勧奨は1つのミスや失言が、後の大きな問題に発展してしまいかねないためです。
弁護士へ相談することで、従業員の性格や退職勧奨に至った原因など、その状況に応じた注意点などのアドバイスを受けることが可能となります。また、万が一後にトラブルとなった場合を見据え、合意書を作成してもらったり確認してもらったりすることもできるため安心です。
なお、従業員が退職勧奨に応じなかったものの、その従業員を退職させたい場合には、解雇を検討することとなります。
解雇のハードルは非常に高く、正当な理由のないままに解雇をしてしまうと、損害賠償や解雇無効を求めた訴訟へと発展してしまいかねません。
弁護士へ相談することで、解雇が可能かどうかなど最終的なゴールを考慮したうえで、退職勧奨に臨むことが可能となります。
西尾 公伸
Authense法律事務所
弁護士

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。