新宿・歌舞伎町で20代の「立ちんぼ女子」が“増殖中” 中年男性との「交渉バトル」を実況中継

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歌舞伎町に日本人の若い「立ちんぼ女子」が急増して、大変なことになっている――。こんな話が聞こえてきたので、金曜日の夜に行ってみた。寒空の下、立って客を待ち続ける約20人の女性たち。さらに、その倍くらいの男性が目をギラつかせて彼女たちの周りを徘徊しているのだ。コロナ禍で起きた“異常現象”を現場からレポートする。(ジャーナリスト・墨田龍一)
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【写真8枚】一定間隔で並んだ、“お客待ち”の「立ちんぼ女子」たち。 交渉する様子、ホテルに入るカップル成立後の様子もフォロワー7000人超の「アイドル立ちんぼ」 立ちんぼは、裏風俗として古くから存在した。花街の裏道に立ち、客と直接交渉して1時間1~2万円で体を売る。その多くが外国人だった。「オニイサン、アソバナイ?」。カタコトの日本語で声をかけられた経験のある男性は多いであろう。

歌舞伎町で急増中の「立ちんぼ女子」たち。スマホに目を落として、声をかけられるのを待ち続けている 若い日本人女性は風俗店で働くものだった。男性スタッフが身近にいる店の方が安心して働けるからだ。だが、そんな常識を覆す現象が日本最大の歓楽街・新宿歌舞伎町で起きている。「立ちんぼというネーミングのイメージの悪さを嫌ってか、この逢い引きは界隈で『交縁』と呼ばれています。歌舞伎町の大久保公園周辺が『交縁女子』がよく出没するスポット。公園だから交縁と呼ばれています」 こう話すのは、事情通の男性だ。「今年初めくらいから徐々に増えてきました。これまでの立ちんぼと違うのは、営業にSNSを利用しているところです。Twitterのフォロワーが7000人以上もいるアイドル的存在の立ちんぼもいる。DMだけで予約がいっぱいになってしまい、立つ必要がなくなってしまった女性もいるほどです」「立ちんぼ追っかけ男子」まで出現 試しにTwitterで検索してみると、〈今日の18:30~空きが出ました〉〈20歳/162cm/Cカップ/スペ117(註・身長から体重を引いた数値)〉〈私の人生拾ってください〉などと集客しているアカウントがいくつも確認できた。美貌に自信があるのだろう、口元だけぼかしを入れるなどした自撮り画像を投稿している女性も多い。関西方面から出稼ぎに来る有名アカウントも存在するという。 驚くのは、そんな彼女たちを追いかける男性側の“追っかけアカウント”まで複数存在するところだ。何の目的か謎だが、立ちんぼ女子の出現スポットを記した「交縁マップ」や「交縁マニュアル」まで作成してアップする者も。〈貴重品・個人情報は守ろう〉〈支払いは事後がベスト〉と注意喚起までしているのだ。 果たして、現場はどうなっているのか。金曜日に歌舞伎町に行ってみた。到着したのは午後3時過ぎ。誰が作ったのかわからないマップを頼りに回ってみる。 大久保公園を中心とした、横100メートル、縦200メートルほどの区域が立ちんぼ女子の出没スポットだ。界隈には2時間3000円程度で休憩できるラブホテルが林立しており、交渉が成立すればそこに消えていくという。スマホをいじりながら声がかかるのを待つ女性たち だが、日中はハッキリ立ちんぼと確信できるような女性は少ない。3人くらい不自然に長時間、座り込んだり立っている女性はいたが、ただ待ち合わせしているだけの可能性もある。先の事情通に電話すると、「まだ早いですよ。日が暮れてからまた行ってみてください」というので、喫茶店に入って時間を潰した。 日が暮れた午後7時過ぎに再訪すると、見たこともない光景が目に飛び込んできた。大久保公園と大久保病院の間にある、200メートルくらいの細い通りに2~3メートルの間隔を開けて、10人くらいの女性が立っている。人通りの少ない裏通りにもぽつぽつと。明らかに立ちんぼだ。 全員で30人くらいか。みな、20~30歳くらいの若い日本人女性だ。だが、これまで見かけてきた立ちんぼとは明らかに違う。向こうからはまったく声をかけてこない。みな俯いてスマホをいじりながら、声をかけられるのを待っているのだ。 しっかり見定めてもらいたいからか、マスクを外している女性も多い。スタイルがよく目鼻立ちが整った女性ばかりだ。妥協しない男たち 女性以上に驚かされたのは、獲物を狙うようなギラついた視線を送りながらうろついている男性たちである。3~40人くらいはいたのではないか。年齢はまちまちで、20代の若者から上は60代くらいまで。40~50代のサラリーマン風の男性が多い。 彼らは回遊魚のように一帯をぐるぐると歩き、これだと思った女性に“突撃”していくのだ。素知らぬふりをして近づき、耳をそばだてた。「いま何歳?」「20歳です。大学生です」「これでどう?」「うーん……」 意外だったのは不成立の方が多いこと。5分も話し込んだくせに踵を返す男性もいる。一人目がダメなら次へ、またその次へ……。妥協しない男性が多いのだ。じっとガードレールに腰掛け、“ライバル”の動きを見終えてからやおら腰を上げる遊び人風の若者も。「相場は30分1万円、1時間で1万5000円~2万円。交渉の場では金額ばかりでなく、ホテル内でどういうプレイが可能か細かく確認する男性も多いです。未成年の女性も一部混じっており、捕まるリスクを恐れてホテルに入る前に免許証の提示を求める男性もいます」(前出・事情通)ロシア系女子も負けずに“奮闘” しばらく見ていると、交渉成立の場にもいくつか立ち会えた。話し終えると急に仲良く歩き始め、近くの安ホテルへ消えていく男女。何も知らずにすれ違えば、普通のカップルにしか見えない。 一方、旧来型の立ちんぼたちも負けてはいない。病院とホテル街の間の通りに、2~3人のロシア系美女が立っているが、あからさまに流し目を使ってくる。目が合った途端、いきなりコートを開けてセクシーな胸元を見せつけてくる女性もいた。だが、日本人女性の方が人気で、苦戦を強いられているようだった。 こんな客の取り合いが終電近くまであちこちで繰り広げられているのである。しかし、なぜ危険を冒してまで、立ちんぼをする女性が増えたのだろうか。「店に所属すれば中抜きされてしまいますが、全額自分の稼ぎに出来るリターンの大きさが一番の理由。自分のペースで働けるメリットもある。担当ホストの売掛を払うために働いている女性も多く、月末になると立ち出す女の子が増える傾向がある。コロナ禍で生活が苦しくなり、風俗嬢になる決心が立たないままやむなく街角に立ち始めた女性も一部にいるようです。警察も見回りを強化していますが、ナンパされて意気投合した体を取っているのでなかなか手出し出来ないのです」(同) 2年くらい前に「コロナ明けたら、可愛い人が短期間ですけれども、お嬢やります」と発言して大炎上したお笑い芸人がいたが、まさしく彼の“予言”通りの現象が起きている。ジャーナリスト・墨田龍一デイリー新潮編集部
立ちんぼは、裏風俗として古くから存在した。花街の裏道に立ち、客と直接交渉して1時間1~2万円で体を売る。その多くが外国人だった。「オニイサン、アソバナイ?」。カタコトの日本語で声をかけられた経験のある男性は多いであろう。
若い日本人女性は風俗店で働くものだった。男性スタッフが身近にいる店の方が安心して働けるからだ。だが、そんな常識を覆す現象が日本最大の歓楽街・新宿歌舞伎町で起きている。
「立ちんぼというネーミングのイメージの悪さを嫌ってか、この逢い引きは界隈で『交縁』と呼ばれています。歌舞伎町の大久保公園周辺が『交縁女子』がよく出没するスポット。公園だから交縁と呼ばれています」
こう話すのは、事情通の男性だ。
「今年初めくらいから徐々に増えてきました。これまでの立ちんぼと違うのは、営業にSNSを利用しているところです。Twitterのフォロワーが7000人以上もいるアイドル的存在の立ちんぼもいる。DMだけで予約がいっぱいになってしまい、立つ必要がなくなってしまった女性もいるほどです」
試しにTwitterで検索してみると、〈今日の18:30~空きが出ました〉〈20歳/162cm/Cカップ/スペ117(註・身長から体重を引いた数値)〉〈私の人生拾ってください〉などと集客しているアカウントがいくつも確認できた。美貌に自信があるのだろう、口元だけぼかしを入れるなどした自撮り画像を投稿している女性も多い。関西方面から出稼ぎに来る有名アカウントも存在するという。
驚くのは、そんな彼女たちを追いかける男性側の“追っかけアカウント”まで複数存在するところだ。何の目的か謎だが、立ちんぼ女子の出現スポットを記した「交縁マップ」や「交縁マニュアル」まで作成してアップする者も。〈貴重品・個人情報は守ろう〉〈支払いは事後がベスト〉と注意喚起までしているのだ。
果たして、現場はどうなっているのか。金曜日に歌舞伎町に行ってみた。到着したのは午後3時過ぎ。誰が作ったのかわからないマップを頼りに回ってみる。
大久保公園を中心とした、横100メートル、縦200メートルほどの区域が立ちんぼ女子の出没スポットだ。界隈には2時間3000円程度で休憩できるラブホテルが林立しており、交渉が成立すればそこに消えていくという。
だが、日中はハッキリ立ちんぼと確信できるような女性は少ない。3人くらい不自然に長時間、座り込んだり立っている女性はいたが、ただ待ち合わせしているだけの可能性もある。先の事情通に電話すると、「まだ早いですよ。日が暮れてからまた行ってみてください」というので、喫茶店に入って時間を潰した。
日が暮れた午後7時過ぎに再訪すると、見たこともない光景が目に飛び込んできた。大久保公園と大久保病院の間にある、200メートルくらいの細い通りに2~3メートルの間隔を開けて、10人くらいの女性が立っている。人通りの少ない裏通りにもぽつぽつと。明らかに立ちんぼだ。
全員で30人くらいか。みな、20~30歳くらいの若い日本人女性だ。だが、これまで見かけてきた立ちんぼとは明らかに違う。向こうからはまったく声をかけてこない。みな俯いてスマホをいじりながら、声をかけられるのを待っているのだ。
しっかり見定めてもらいたいからか、マスクを外している女性も多い。スタイルがよく目鼻立ちが整った女性ばかりだ。
女性以上に驚かされたのは、獲物を狙うようなギラついた視線を送りながらうろついている男性たちである。3~40人くらいはいたのではないか。年齢はまちまちで、20代の若者から上は60代くらいまで。40~50代のサラリーマン風の男性が多い。
彼らは回遊魚のように一帯をぐるぐると歩き、これだと思った女性に“突撃”していくのだ。素知らぬふりをして近づき、耳をそばだてた。
「いま何歳?」「20歳です。大学生です」「これでどう?」「うーん……」
意外だったのは不成立の方が多いこと。5分も話し込んだくせに踵を返す男性もいる。一人目がダメなら次へ、またその次へ……。妥協しない男性が多いのだ。じっとガードレールに腰掛け、“ライバル”の動きを見終えてからやおら腰を上げる遊び人風の若者も。
「相場は30分1万円、1時間で1万5000円~2万円。交渉の場では金額ばかりでなく、ホテル内でどういうプレイが可能か細かく確認する男性も多いです。未成年の女性も一部混じっており、捕まるリスクを恐れてホテルに入る前に免許証の提示を求める男性もいます」(前出・事情通)
しばらく見ていると、交渉成立の場にもいくつか立ち会えた。話し終えると急に仲良く歩き始め、近くの安ホテルへ消えていく男女。何も知らずにすれ違えば、普通のカップルにしか見えない。
一方、旧来型の立ちんぼたちも負けてはいない。病院とホテル街の間の通りに、2~3人のロシア系美女が立っているが、あからさまに流し目を使ってくる。目が合った途端、いきなりコートを開けてセクシーな胸元を見せつけてくる女性もいた。だが、日本人女性の方が人気で、苦戦を強いられているようだった。
こんな客の取り合いが終電近くまであちこちで繰り広げられているのである。しかし、なぜ危険を冒してまで、立ちんぼをする女性が増えたのだろうか。
「店に所属すれば中抜きされてしまいますが、全額自分の稼ぎに出来るリターンの大きさが一番の理由。自分のペースで働けるメリットもある。担当ホストの売掛を払うために働いている女性も多く、月末になると立ち出す女の子が増える傾向がある。コロナ禍で生活が苦しくなり、風俗嬢になる決心が立たないままやむなく街角に立ち始めた女性も一部にいるようです。警察も見回りを強化していますが、ナンパされて意気投合した体を取っているのでなかなか手出し出来ないのです」(同)
2年くらい前に「コロナ明けたら、可愛い人が短期間ですけれども、お嬢やります」と発言して大炎上したお笑い芸人がいたが、まさしく彼の“予言”通りの現象が起きている。
ジャーナリスト・墨田龍一
デイリー新潮編集部

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