熊本市立中3年(当時)の女子生徒が同級生から現金を受け取っていたとされる問題で、「いじめ重大事態」として調査していた第三者委員会は13日、報告書をまとめた。
SNS上で約100人の人物になりすました女子生徒に、同級生が現金約18万円を渡していたと認定。黒山竜太委員長(熊本大大学院准教授)は「1人で複数人へのいじめ行為が行われた非常に特殊な事案」とし、再発防止策を講じるように市教育委員会に求めた。
第三者委によると、女子生徒は小学6年生から中学3年生だった頃、複数のSNSや手紙で約100人になりすまし、「ある人物が(被害者を)殺しに来るかもしれない」といった趣旨のメッセージを送るなどして、被害者3人のうち2人から数十回にわたって現金を受け取った。現金は衣類や香水などの購入費に充てたという。背景には、女子生徒が長い期間をかけて被害者を精神的に支配していたことが強く推認されるとしている。
学校側は調査前、「被害者は2人」としていたが、別の1人も被害者に認定された。被害者を把握していなかったことについて、第三者委は「大きな問題」とし、市教委の支援体制を見直し、いじめへの初期対応を強化する必要があると訴えた。
黒山委員長は「人格形成が未熟な段階からSNSでやりとりを行うことがいじめを助長したと考えられる」と述べ、SNS利用の年齢制限を国や自治体で議論する必要性に言及した。報告書を受け取った市教委の遠藤洋路・教育長は「報告書を精査し、再発防止に生かしたい」と話した。