“普通の風邪”が5類感染症に 医師が語る狙いは「早期の注意喚起」「治療薬を適切に準備」生活に影響は?【Nスタ解説】

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咳やノドの痛みなどの症状があるいわゆる風邪。4月から患者数の観測がはじまり、22日、その数字がはじめて公表されました。その狙いは何なのか?また私たちの生活に影響はあるのでしょうか?
【写真で見る】“普通の風邪”が5類に分類…生活に影響は?
井上貴博キャスター:いわゆる風邪が5類に分類されました。
【感染症の分類】1類…エボラ出血熱・ペストなど2類…結核・SARSなど3類…コレラ・腸チフスなど4類…マラリア・狂犬病・デング熱など5類…季節性インフルエンザ・新型コロナなど

4月7日、新たに「急性呼吸器感染症」が5類に追加されました。「急性呼吸器感染症」は、のどの痛みやせき、鼻水などの症状の総称です。季節性インフルエンザや、新型コロナウイルス、RSウイルスなどに加えて、“普通の風邪”も含まれます。これにはどのような背景があるのでしょうか。
TBS報道局社会部岡村仁美記者:厚生労働省によると、急性呼吸器感染症の流行を早期に把握し、未知の感染症に迅速に対応することが目的だといいます。これは新型コロナウイルスが発生した当初に、患者の数も原因も調べる体制がなかった経験から作られました。定点観測の方法は、全国3000の内科・小児科の医療機関が患者数を報告し、一部の医療機関では検体の採取も行います。検体を採取することで、どのウイルスや菌が流行しているのか、早い段階から知ることができるようになります。
井上キャスター:患者数だけではなく、検体を採取することで、後に活かせるということですね。
岡村記者:平時からどのようなウイルスが流行っているかを調べていくということです。風邪の患者数を把握することに、他にはどんなメリットがあるのでしょうか。医師にも聞いてみました。
昭和医科大学病院 相良博典病院長「重症化リスクのある呼吸器感染症の流行の兆候を、早期に察知しようということだと思います。高齢者などのいわゆる『免疫弱者』にとっては、『こういうウイルスに注意をしよう』という注意喚起に繋がっていく。治療薬をどう準備すべきかに関しては、非常に重要な情報になる」
岡村記者:昭和医科大学病院の相良病院長によると、「これまでインフルエンザや新型コロナ以外は流行を把握するのが難しかった。しかし、いわゆる風邪全般を把握することによって、重症化リスクのある患者への注意喚起や治療薬を適切に準備することに繋がるのではないか」と言います。
井上キャスター:ウイルスの流行に早く気がついて、早く対処することができそうですね。我々の生活に影響はあるのでしょうか。
岡村記者:出勤や登校への制限、医療費の負担、病院などの面会は今まで通りで、私たちの生活への影響は特にありません。引き続き、手洗いやマスクの着用といった基本的な感染症対策をしてほしいとのことです。
井上キャスター:コロナ禍を考えてみると、初期対応ががしっかりとできていれば、もう少し早い段階でパンデミックを抑えることができたのではないかという教訓があります。だからこそ、日本もしっかりと感染症の流行を把握していこうという流れのようですね。
お笑い芸人 サバンナ八木真澄さん:受診したくても、病院もいっぱいで受診できず、お医者さんも疲弊されていたので、風邪が5類に分類されることで整理されるのかなと思います。
井上キャスター:人数をFAXで送って報告するなどといったアナログのやり方だと、かえって現場が疲弊することも考えられます。日本の医療機関のデジタル化の必要性も感じます。
岡村記者:新型コロナウイルスのとき、最初は全数把握だったので、そのあたりは大変でしたが、今回は全国3000の内科・小児科と一部の医療機関の報告になります。厚労省としても、将来的にはデータベース化していきたいようです。
4月1日に国立健康危機管理研究機構、通称「JIHS(ジース)」が発足しました。これまで感染症の発生状況の調査などを行ってきた国立感染症研究所と、患者の診察や治療法の開発などを行ってきた国立国際医療研究センターを統合し、パンデミックの備えを強化していく狙いです。
井上キャスター:縦割りとも言われていた組織をよりコンパクトに、集中的にしていこうという流れのようですね。
お笑い芸人 サバンナ八木真澄さん:またパンデミックがくるかもしれない。コロナ禍の反省を生かしていきたいですね。
出水麻衣キャスター:コロナ禍を経ていろいろな検証がされて、さまざまな反省や教訓が生かされての動きだと思います。当時はマスコミも結構混乱したので、我々もきちんとした情報をお伝えしていきたいです。
井上キャスター:日本として、そして世界として、どう未知のウイルスに対応していくのか。諸外国もこういった定点観測を含めて行っているところもあるので、日本も含めて包囲網を世界でつくっていこうということなのかもしれないですね。
岡村記者:WHOとしても症候群全体を観測していくことを推進しているので、その中での流れでもあります。
========<プロフィール>岡村仁美TBS報道局社会部厚生労働省・こども家庭庁担当お笑い芸人 サバンナ八木真澄2児の父 昨年に難関国家資格FP1級を取得「ブラジルの人聞こえますか~!」など1000個以上のギャグを持つ

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