「倒閣発言にニヤけた」ポスト石破候補の名前は

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石破茂首相の商品券配布問題によって内閣支持率が急落中だ。しかし、自民党内で「石破おろし」の機運が高まる気配はない。世論調査で首相の退陣を求める声がそこまで大きくないことがその原因とされているが、相前後して「このままでは選挙を戦えない」と党内から上がった声にニヤけた自民党の閣僚経験者がいるという。
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「石破氏が新人議員に1人あたり10万円分の商品券を配布したことが明らかになり、大いに批判を浴びることになりました」
と、政治部デスク。
「物価高による不満はもちろん、典型的な自民党政治とは距離を置いていると見られていた石破氏が商品券を配るというわかりやすく典型的な振る舞いをしてしまったことへの失望などが支持率低下に反映されたと見られています」(同)
石破氏が政治の師と仰ぐのは金権政治の権化とされる田中角栄元首相だ。その点で言うと今回の件に特段違和感はないのだが、世論は厳しい。
「派閥のボスだった時代も含めて石破氏がカネ集めを積極的に行ってきた印象はありません。本人にも苦手だとの思いがあったのではないでしょうか。今回の件について言うと、これまでの石破像を裏切ったという意味では驚きですが、側近のアドバイスや過去の内閣の慣例を踏襲したということならば納得できます。少なくとも石破氏本人の意思ではないのではないかと見られています」(同)
だからといって世間はそれを汲(く)むことはなく、商品券配布報道以降、内閣支持率は右肩下がりだ。
「55年体制のもとでは国会対策の都合上、自民党側が社会党など野党を接待し、帰りには野党側の出席者のスーツの左右の内ポケットはお金の入った封筒でいっぱいになったこともままあったようです。“ポケット両方で400万円くらいは入っていたよね”みたいなことも聞いたことがあります。当時は野党議員が外部に漏らすこともなかったですが、今回は実際に受け取り拒否されていますし、それでなくても商品券を受け取ったことを外部に話す可能性は十分あり、その点で石破氏の振る舞いはお粗末だったと指摘されています」(同)
世間は石破氏の振る舞いを厳しく捉えているものの、退陣を迫っているかというとそこまでではないらしい。
「石破氏は“違法性はない”などと説明しました。が、国民はその説明を理解し、納得していないことが世論調査では浮き彫りになっています。退陣の必要なしという意見は、トップの顔を変えて出直しすれば世間の批判をかわすことができてこれまでのミスをなかったことにできるというやり方は甘い、と指弾されているようにも映ります」(同)
自民党は党内で考えが違う者が新たな総裁になるなどして疑似政権交代を続けることで政権を維持してきた。ここ10年以上、それも限界に来ていると言われていた中で、今回は本当に終わりが近づいているのかもしれない。
「そもそも予算案に維新が賛成している、一方で最大野党の立憲民主より国民民主の支持率の方が高いなど、野党側もややこしい現実を抱え、単純に内閣不信任案を出せば良いという状況でもないのは悩ましいはずです」(同)
商品券問題がはじける少し前の12日、自民党の西田昌司参議院議員は「7月の参院選を今のままの党の体制では全く戦えない。新たなリーダーを選び直すべき」「石破首相は去年の衆院選で大敗し、すでに参院選の党の顔としての資格がなく、石破首相のままでは大惨敗するだろう。政治が混乱すると、いちばんの被害者は国民になる。被害が及ばないよう、しっかり自民党が議席を確保しなければならない。腹の中で同じ思いを持っている人はたくさんいる」「事実として、前回の総裁選挙で党員投票で1位だったのは高市前経済安全保障担当大臣だ」などと述べた。
「いわゆる倒閣運動とみなしうる発言ですが、西田氏が党内の実力者の後ろ盾を得て発言したものではなかったようで、実際その後に大きな動きに発展することはありませんでした。山崎拓元副総裁は時事通信のインタビューで“西田氏は一匹おおかみのような存在で、同調者はあまりいないだろう”と評していましたね。しかし、西田さんの発言を受けて当の高市氏は嬉しそうにしていたと聞きました」(同)
高市氏はかねて党内の支持基盤が脆弱で自身が主宰する勉強会への参加人数も減ってきていたとされる。そんな中で自身を持ち上げる発言を公にしてくれたことは歓迎すべきことだったということなのだろう。こういう局面で名前が上がり続けること自体、存在感を示すことにつながる。
「野党は石破氏が首相のままで都議選、参院選を戦った方がベターだと見ているようですが、かといって与党の敵失に依存するばかりで、相変わらずいざ政権を担うとなった場合のビジョンはハッキリしていません。特に外交防衛については相当厳しい。立憲の小川幹事長はフジテレビの番組で仮に国会で首相指名選挙になった場合に国民民主の玉木代表を指名することを排除しない旨を述べましたが、そう簡単にまとまるとは思えません。そもそもそれならなぜ分裂したのか、ということになる。そういった現実を踏まえ、いつバトンが回ってくるかわからないという意味で高市氏がこれまで以上に前向きになっていることは間違いないでしょう」(同)
デイリー新潮編集部

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