「婚活をあきらめてタガが外れた」“ライバー業界の沼”にハマり1500万円投げ銭した男性リスナーの後悔

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3月11日に東京新宿区の路上で、ライブ配信中の女性が元リスナー男性に刺殺された事件。容疑者男性の供述や事件以前の容疑者と知人らのLINEのやり取りなどから、被害女性との個人間の金の貸し借りが事件の動機といわれている。しかし、なぜリスナー男性は配信者に過度な投げ銭をしたり、個人的に金の支援をするほどのめり込むのか?“沼”にはまる男性リスナー側の意見を聞いた。
【画像】高田馬場ライバー刺殺事件で、被害者が加害者に送っていた“おねだりLINE”
動画配信中の「最上あい」を名乗る佐藤愛里さん(22歳)を殺害した栃木県小山市の職業不詳・高野健一容疑者(42)。
調べによると、動画配信アプリの「投げ銭」機能で多いときは月に10万円送金していたほか、女性の求めに応じて250万円以上の金を貸したとみられている。
高野容疑者は2023年8月に女性を相手取って宇都宮地裁に訴訟を起こした。同年12月に女性に支払いを命じる判決が下されたが、女性から容疑者にその金が支払われることはなかった。
この事件について「自分は経済的余裕があるから同様の行動に出ないだけで、他人事ではないと思っている」と話すのは、かつて女性配信者に「投げ銭」だけで500万円、その他の金銭授受を含めるとトータルで1500万円ものお金を投じてしまった50代男性のAさんだ。
「20代のある女性配信者を2年ほど推してました。その子の裏に彼氏というか指示役的な男性がいることは最初からわかってたけど、可愛かったのと人の良さに惹かれて、その子の言うがままに、月に数十万円から多いときでは100万円近い投げ銭をしました」
本来であれば、配信者とリスナーは直接会わないことがほとんどだが、この女性配信者はAさんに直接会い、肉体的な接触のない“デート”のような行為や旅行などにも出向いたという。
「もちろん、そういうデートや旅行の際にはそれ相応のお礼金を支払いしました。なので貸したわけではないのです。あくまでお礼です。それらの額がトータルで1000万円近くにはなったと思います」
Aさんはごくごく一般的な会社員だ。なぜそのような資金があったのか。
「私は結婚願望が強かったので、20代のときからコツコツお金を貯めていました。40代で婚活もしたけど叶わず、半ばあきらめてタガが外れたようにハマってしまったのがライブ配信でした」
なぜ、その女性にそんな大金を「投げ銭」したり、渡してしまったのか。
「『恋人になりたい』という感情がなかったわけじゃない。でもそれが叶わないことはわかってました。だから、せめてリスナーのなかでも頂点に近い存在でいたかったんです。その女性が私に頼ってくれて、ファンという立場からその子のスタッフとかマネージャー的な立場にひとつ上がった気がしたんです」
だが、払う金額が1000万円を超えたタイミングで、Aさんは女性配信者に対し「裏に男性とかいないよね」と何度も聞いたという。
「女性は何度も『いない』と答えましたが、あるとき『実は男性スタッフはいます』と白状しました。私は今回の容疑者のように殺そうなどとは思いませんでしたが、被害届を出すなり、なんらかの社会的制裁を下したいとは思いました。でも、その子を攻撃してしまったら、もしかしたら配信サイト内に私の噂が出回り、そうなると私の居場所がなくなる。だから、思いとどまりました」
Bさんは言う。
「私はあるアイドルグループを推してるのですが、同じグループ推しの某女性配信者からInstagramをフォローされたことをきっかけにグループの話で盛り上がりました。普段、男性ファンと絡むことはあっても、女性ファンと絡むことは新鮮だったので、いつしかこの女性の配信を見るようになりました。そのうち彼女が『配信中にアイテム(配信者への投げ銭と同様)を投げてほしい』と甘えてくるようになったんです」
最初のうちは甘えに乗ってアイテムを投げていたと言うBさん。その女性とアイドルグループの話で盛り上がったり配信を聞いたりしているときは夢中になれたからだと言う。
「元妻は私の趣味を理解する人じゃなかったし、女性で同じ趣味の理解者に出会えたことが嬉しかった。子どもとの面会も最近はほとんどないし、生きがいというか趣味がそのアイドルグループくらいだった私にとって、その女性とのやり取りは楽しかったのです」
だが、その女性配信者からの「甘え」の要求が、だんだん過剰になってきたという。
「最初は数千円単位のアイテムを贈っていましたが、次第に数万円単位のアイテムを要求してきました。他のリスナーの中には平然と毎日のように数万円単位で投げてる人もいて、リスナー同士の競争のようになる。そのうち『自分はこの人を応援してるのではなくて、アイドルグループを推しているんだった』と悟ってからは、すぐに冷めて離れました」
いまや国民的ワードにもなった“推し活”。ライブ配信もその一環と言えよう。推すほうも推されるほうも、トラブルに発展しないことを願うばかりだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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