全国の土地取引価格の目安となる2025年「公示地価」が18日午後に発表され、全国で最も地価が高かったのは、19年連続で東京・銀座の「山野楽器 銀座本店」だった。住宅地での上昇率では北海道・富良野市北の峰町が、2024年に比べ31.3%上昇し1位に。2位、3位もリゾート地で、インバウンド需要の影響の大きさが浮き彫りになった。
全国の土地取引価格の目安となる2025年「公示地価」が18日発表された。
全国で最も地価が高かったのは、19年連続で東京・銀座の「山野楽器 銀座本店」で、1平方メートル当たり6050万円。
この結果に、街の人からは50代「坪1億超えてるわけですね。6×3=18だから2億か。それはもうベリーエクスペンシブですよ、高い」、40代「年々上がっててびっくりですね」といった声が聞かれた。
全国平均の住宅地がプラス2.1%、商業地はプラス3.9%、全用途ではプラス2.7%と、いずれも4年連続で上昇。伸び率も拡大し、バブル期以来の上昇率となった。
一方、住宅地での上昇率ランキングを見ると、意外な場所が全国ナンバー1になっていた。
それが、ドラマ「北の国から」の舞台となった北海道・富良野市。
これぞ北海道という雄大な自然が広がり、夏はラベンダー畑が見ごろを迎え、冬は幻想的な雪景色に包まれる。
この富良野市にある静かな住宅街、北の峰町の地価が、2024年に比べ31.3%上昇し、上昇率全国1位になった。
17日夜に富良野駅前の繁華街を取材すると、平日の夜にもかかわらず、バーに多くの外国人の姿があった。
カナダからの観光客に富良野を訪れた目的を聞くと「スキー!とにかくスキーだよ。4月になったら帰る」「冬の間はずっと富良野にいる。ニセコの方が海外では人気だけど、富良野は今、どんどん人気が高くなっていると思う」と話す。
パウダースノーを求め、冬の間だけ富良野に滞在するという海外からのスキーヤーなどが殺到していた。
地元住民も「この5、6年は外国人が多くてすごいですよ。ニセコみたく少しなりつつありますね」と話す。
“第2のニセコ”としてインバウンドの波が押し寄せていた。
外国人向けの別荘などの需要が高まったことで、土地の売買が盛んに行われ、地価はこの5年で約2.5倍に跳ね上がった。
「空き(物件)があったらみんな外国人さん、うちの隣も外国人さん」といった声も聞かれた。
全国の住宅地の上昇率ランキングを見ても、2位は長野県の白馬村、3位は沖縄県の宮古島市と、インバウンド需要でにぎわう人気リゾート地が住宅地の上昇率トップ3を独占していた。
一方で、地元からは「冬期間だけ来ている人もいる」「(昔からの)北の峰町の住民がいなくなっている」との声も聞かれた。
急激な地価の高騰で、物件を購入するのは外国人ばかりで、「移住してくる日本人はゼロですね。不安しかない。オフシーズンは空き家なので、それがゴーストタウン的になっていく」と町の将来に不安をもらす住民もいた。
東京カンテイ市場調査部・高橋雅之さん:国内の富裕層や海外の投資家の潤沢な資金が入りやすいエリアについては、まだまだ天井知らずの形で価格は伸びてますので、二極化がさらに引き続き広がっていく。
専門家はこの地価上昇はまだしばらく続きそうだと指摘する。(「イット!」 3月18日放送)