2月26日、真夜中の路上で泥酔して眠る日本人女性の動画がXに投稿され、5日間で6000万回以上再生されるなど、世界中で大きく話題となっている。シャッターを下ろしたビルの入り口前や駐車場の隅、歩道橋の階段の上など、女性たちはところ構わず爆睡し、さらには着物姿やスカートを履く女性が肌を露出させ、無防備な状態で寝転がっていた。
【写真】海外でも物議を醸す、真夜中の路上であまりにも無防備な姿で寝ている女性の姿。路上寝している女性の動画について報じる海外メディアの記事ほか
このような光景に海外のユーザーは〈日本は安全な国だ〉などと納得の声があがった一方で、〈日本は女性専用車両があり、携帯電話にシャッター音が義務付けられている国です。暴行の恐れがないとは思えません〉などの困惑する声も目立つ。そんななか、NEWSポストセブン取材班は、Googleが運営する動画投稿サイトYouTubeにて、“Tokyo Night Walk”と銘打ち、新宿や渋谷、横浜などの関東の繁華街を夜に散歩風景を集めたチャンネルを発見した。【前後編の後編。前編を読む】
どうやら、このチャンネル内の動画の一部シーンを切り抜き再編集したものが、X上で拡散された“路上寝動画”のようだ。ITジャーナリストが語る。
「投稿されている動画には『#nightlife』『#japaneseculture』とのハッシュタグがつけられ、チャンネルの概要欄には英語で『東京では一部の地域を除き、路上での飲酒が許されている。(中略)さあ、街を探検しよう』と記載されていました。
主に海外の方に視聴されているのか、コメント欄にも英語が目立ちます。また、いくつかの動画は10万回前後再生されており、なかには100万回以上再生されているものもありました」
とはいえ、同ジャーナリストは「視聴者は、“日本の夜の風景”を楽しむ目的で視聴しているとは思えません」と指摘する。
「チャンネル内に投稿されているほとんどの動画に、数秒~10数秒ほど”日本の夜の街で酔い潰れた女性“を盗撮したシーンが存在しており、動画内のシークバーに表示された“リプレイ回数が最も多い場所”をみると、圧倒的にそのシーンが視聴されていることがわかります。
また、22本の動画のうち21本が路上で寝転ぶ女性がサムネイル画像に設定されており、さらには女性の下着が露わになっているものまで存在しています」(同前)
YouTubeでは「コミュニティガイドライン」という規約が定められており、基本的に性的満足を意図した露骨なコンテンツの投稿を禁止している。以前にも、“ブラジャー未着用”をうたう女性が街中を歩く動画や、“搾乳器の使い方”をレクチャーするとしてモザイクなしの胸部を露出させた動画がコミュニティガイド違反により削除された事例がある。
ガイドライン上には「教育、ドキュメンタリー、科学、芸術が主な目的であり、必要性や脈絡がある限り、性的なコンテンツが許可される場合もある」と例外的な許可に関する記載もあるが、「搾乳器の使い方」に関しては、胸部を出している場合、たとえ教育目的であってもガイドラインに違反するとして禁止されている。
では、今回X上で拡散された“路上寝動画”の元動画にあたる一連の映像はどうか。同ガイドラインには「合意なく共有された画像や盗撮など、本人の意に反する性的対象化」を目的としたコンテンツもガイドライン違反にあたるとの記載もあるが、YouTubeを運営するGoogleはどう判断するのか。問い合わせたところ、以下の回答が得られた。
「YouTubeのコミュニティガイドラインには、合意のない性的行為、本人の意に反する性的対象化、または本人の同意なしに性的もしくは親密な状況にある個人を映すコンテンツを禁止する明確なポリシーがあります。
ご報告いただいたチャンネルを確認し、ヌードや性的なコンテンツに関するポリシー違反で同チャンネルを停止しました」(Google広報担当)
Googleは、当該チャンネルを“本人の意に反する性的対象化”を目的としたコンテンツであると認めた。
世界から「女性が“路上寝”していても襲われない、治安が良い国」というイメージを持たれている日本。しかし、“路上寝”している様子を盗撮し、性的対象化する者もいるという現実は、はたして「治安が良い」と言えるのだろうか──。
(了。前編を読む)