衝撃!30代の支持率で自民が国民民主、れいわに負ける…103万円の壁見直しを求める国民を無視!若年層と岩盤支持に嫌われた石破自民の末路

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今夏の参院選を前に自民党に危機感が充満している。石破茂政権の内閣支持率や自民党の政党支持率は比較的安定しているものの、若年層の支持が落ち込んでいるためだ。逆に、昨秋の総選挙で議席を4倍増した国民民主党に加え、れいわ新選組は18歳から30代で支持を拡大する。若年層の“自民離れ”を指摘し続けてきたSNS分析に定評がある佐藤健太氏は「内閣支持率や政党支持率が今以上に下がらない場合でも、自民党は選挙に参院選で敗北する可能性がある」と見る。その深刻すぎるワケとは―。
予想通り、としか言いようがない。石破首相(自民党総裁)は2月25日、教育無償化などをめぐり公明党、日本維新の会の代表らとの3党合意文書にサインした。昨年秋の総選挙で大惨敗し、少数与党という結果を招いた首相は野党に押される形で来年度予算の成立にメドをつけた形と言える。
ただ、予算成立という「第1関門」を突破できても、引き続き第2、第3の関門が押し寄せる。1つは、「政治とカネ」問題を踏まえた企業・団体献金のあり方だ。政策活動費の廃止や政治資金のチェック機関設置を盛り込んだ政治改革関連法は成立したが、企業・団体献金のあり方については与野党で申し合わせた「一定の結論」を得る期限が3月末に迫る。
もう1つは、歳費とは別に非課税で国会議員に月100万円が支給されている調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の改革だ。使途公開などを義務付ける改正歳費法は昨年末に成立し、今年8月1日に施行される。ただ、使途の範囲や公開の方法といった細目は詰まっておらず、3月から4月にかけて決めていかなければならない。議員の「第2の財布」といわれる旧文通費をめぐる改革は調整の難航が予想され、自民党が野党との協議でどこまで折り合えるのかは見通せない。
とはいえ、6月の東京都議選や7月の参院選をにらめば自民党が「改革に後ろ向き」と見られることは何としても避けたいところだろう。「年収103万円の壁」見直しを主張する国民民主党や教育無償化などを掲げる日本維新の会と協議を重ねてきたのは、昨年の総選挙敗北を踏まえて「国民政党」とアピールする狙いがあったからに他ならない。改革に前向きな姿勢を見せることで、少しでも各種選挙でのダメージを和らげていきたいとの思いが透けて見える。
ただ、現実は政府・自民党が描くように甘くないと言える。その理由は、すでに自民党は一部で「オワコン」と化しているからだ。ふざけるな、という関係者もいることだろう。だが、怒る前に次の調査結果をよく考えてもらいたい。
NHKが2月7~9日実施した世論調査によれば、石破政権の支持率は前月より5ポイント増の44%だった。不支持率は5ポイント減の35%だ。支持する理由は「他の内閣より良さそうだから」が35%で最も高い。政党支持率を見ると、自民党は0.8ポイント増の31.3%で、2位は立憲民主党の9.2%(前回比1.1ポイント増)、3位は国民民主党の6.8%(同0.4ポイント増)と続く。
ちなみに、4位は公明党の3.5%(同0.8ポイント増)、5位は維新の3.2%(同0.4ポイント減)、6位は共産党の2.2%(同0.9ポイント増)、7位はれいわ新選組の2.1%(増減なし)となっている。
なぜ7位まで触れたかと言えば、支持政党は年代によって大きく異なる時代に入っているからだ。とりわけ、若年層では全体とは違う見方をしていることがわかる。18~39歳の支持政党を見ると、トップは16.2%で自民党(全体1位)と国民民主党(同3位)が並ぶ。そして次は、れいわ新選組の4.2%(同7位)だ。立憲(同2位)と維新(同5位)は3.5%にとどまっている。
年代別に見ると、自民党は80歳以上が48.5%と最も高く、立憲も60~80代の高齢層で10%以上を得ている。だが、逆に国民民主は40代・50代で10%超となり、れいわ新選組も40代・50代で5%前後となっている点は興味深いところだろう。この数字は決して一過性のものではない。
産経新聞とFNNが2月22、23日実施した世論調査を見ても、18~29歳の自民支持率は11.8%で、トップの国民民主(18.9%)に抜かれている。30代は自民党が11.2%であるのに対し、国民民主は15.9%、れいわ新選組は14.4%で3位だった。40代は自民が19.4%、国民民主11.9%、れいわ11.5%の順になっているが、若年層では少数野党2党の方が人気を得ていることをうかがわせる。
危機感を募らせる自民党は連立を組む公明党と青年局・女性局を中心とする協議体を設置し、政策提言などに反映させていく方針だ。自民党の森山裕幹事長は2月25日の記者会見で「30代の人たちの意見をどう聞くかということは色々な世論調査を見ても非常に大事なことではないか。政策議論だけに絞ったことではなく、色々な議論ができるような場を設けたい」と語っている。
かねて筆者は自民党の一部が「オワコン化」していると指摘してきた。それは昨年秋の衆院選で自民党が大敗したということではなく、政党としてのあり方や選挙手法、国民に対する感度がもはや時代に追いついていないからだ。
昨年の衆院選で自民党は比例票が2021年の前回衆院選(1991万票)から533万票も減らした。実に26.8%もの下落で計1458万票にまで落ち込んでいる。増えたのは、議席を4倍増にした国民民主党の617万票(前回比プラス358万票)、れいわ新選組の381万票(同プラス159万票)だ。衆院選に初めて臨んだ参政党は187万票、日本保守党が115万票を獲得した。
その他の政党を見ると、立憲民主党は公示前の98議席から148議席に増やしたが、1156万票で前回から約7万票しか増えていない。公明党は596万票でマイナス115万票、日本維新の会が805万票でマイナス294万票、共産党は417万票でマイナス81万票、社民党は102万票でマイナス9万票と軒並み減らしていることがわかる。つまり国民民主党、れいわ新選組を除き、有権者の多くは既成政党に「NO」を突きつけたと言える。
日本テレビ系列と読売新聞が行った出口調査を見ると、比例代表の投票先で自民党がトップだったのは18歳・19歳と40代以上に限られる。20代と30代は国民民主党が20%を超えて最も多い。れいわ新選組は30代・40代(12%)が最も高かった。この傾向は、朝日新聞の出口調査でもほぼ同じだ。
衆院選で国民民主党は「手取りを増やす」と若者を中心に働きかけ、年収103万円を超えると所得税が課税される「103万円の壁」見直し、ガソリン税に上乗せされている暫定部分の課税を停止する「トリガー条項」凍結解除などを掲げた。れいわ新選組は、消費税廃止や社会保険料引き下げ、季節ごとの10万円支給などを訴えた。物価高に苦しむ人々だけでなく、収入が増えずに生活が困窮する若者にアプローチし、SNSを積極活用した戦略も奏功した形だ。組織戦を展開した他の既成政党とは戦術も視点も異なる。
朝日新聞が2021年11月1日配信した2021年衆院選の分析記事を見ると、比例代表の投票先は10代・20代で自民党が40%を獲得し、30代・40代でも30%を超えていることがわかる。だが、昨年の衆院選では国民民主党、れいわ新選組が若者や働き盛りの人々に響く公約を掲げたことで、従来の“勝ち筋”が抜けてしまったと言える。
加えて、保守政治家の代表格だった安倍晋三元首相が死去し、距離を置いてきた石破氏が宰相にのぼりつめたことで保守層離れが進む。石破自民党は「若年層」と「岩盤支持層」にソッポを向かれ、すでに勝利の方程式が瓦解しているのだ。
もちろん、「政治とカネ」問題をはじめとする自民党の対応はマイナスに響いているだろう。ただ、若者や無党派層に効果的なアプローチをしてこなかったこと、高齢者頼みの選挙手法で胡座をかいてきたことに「本当の敗因」がある。その意味では、自民党のあり方や選挙手法などを抜本的に見直さなければ“下野”する可能性もあり得るのではないか。
日経新聞とテレビ東京は2月21~23日実施した世論調査で、今夏の参院選の投票先をたずねている。それによれば、自民党はトップの29%で、2位は国民民主の14%、3位は立憲の13%だった。そして、4位はれいわ新選組(8%)、5位は維新(7%)と続く。国民民主、れいわの伸長は自民党のみならず、既成政党には脅威だ。
自民党の長島昭久首相補佐官は2月24日の「X」(旧ツイッター)で、「30代の支持率で、自民は国民民主とれいわの後塵を拝したとのこと。私は常々れいわ新選組を侮るべからずと訴えてきた。現状に対する若い世代の不満や不安を確実に掬い上げて政策提言している。自民は、政府与党として真剣に向き合い、その幾許かでも実現させるべきだ。若い世代の税や社会保険料負担、奨学金返還の軽減は急務だ」と指摘している。
先の衆院選で議席を4倍増にした国民民主は再び躍進するのか。れいわ新選組はリベラル系の代表格として大幅に伸びるのか。今夏の参院選は、「オールド政党」と「新興勢力」による生き残りを賭けた熾烈な闘いが見られそうだ。

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