最低な「ごんぎつね」の感想文? 小学生の回答に先生から“厳しい指摘”「国語嫌いになっちゃう指導の仕方だ」とSNS上で批判も…

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小学4年生の国語の教科書に掲載されている児童文学『ごんぎつね』(新美南吉)。多くの人が読んだことがあるだろうが、先日この物語に関する“感想”がSNSで大きな話題となった。
【画像】小学生の国語学習の名作「ごんぎつね」の石像 作者・新美南吉記念館に設置
「ごんぎつね」とは、イタズラが好きなキツネ・ごんと、村の青年・兵十に関する物語だ。
ごんはある日、兵十が川で採ったウナギをイタズラ心で盗んでしまう。その後、村で兵十の母親の葬式を行なっているのを見たごんは、兵十が床にふしている母親のために、うなぎを採ろうとしていたに違いないと気づく。
兵十に悪いことをしてしまったと反省したごんは、自分と同じくひとりぼっちになった兵十のために、栗やマツタケを山で拾っては、こっそりと兵十のもとへ運んでいく。
そんなある日、ごんが家の中に侵入しているのを見た兵十は、うなぎを盗られた恨みを思い出し、ごんを火縄銃で撃つ。倒れたごんの近くに栗が落ちているのを見て、栗を運んでくれていたのはごんだったことに気づく。
火縄銃を落とし、がっくりと気落ちする兵十。その筒口からは青いけむりが細く出ていた……という話だ。
多くの人が知っているだろうこの物語について、〈小学校の頃の最低ごんぎつね感想文〉と、約25年前に書いた小学校時代の国語のノートをXに投稿したのは、いかそーめんさん。
いかさんのノートには、最後のシーンのごんの気持ちについて「あやまりたかった。うなぎをとったこと」と書いている一方で、兵十の気持ちについては「ああ、うたなきゃもっとくりをもらえたのかなぁ」と書いている。
この感想文に対して、先生からは赤いペンで「こういうふうに思うかなぁ。もう一度ごんぎつねを読んでください。先生はちょっとがっかりです」と指摘がされていた。
するとこの投稿に対して、先生を批判する声が上がっている。感想文ならどう書こうと問題はなく、どんな答えでも正解になるべきだという意見だ。
〈小学生の国語ぐらい誘導せずに色々な解釈があってもいいと思う〉
〈感想文に正解など無いです、国語嫌いになっちゃう指導の仕方だなぁ〉
〈失礼ながら、先生のほうが凝り固まった、つまらない発想だなと思いました〉
〈まったく問題ない回答だと思いますが。先生の意見と違うからといって、誤答とは限りません〉
そこで実際に関東在住の現役小学校教諭にこの投稿を見てもらったのだが、「残念ながら、この感想文はテストで回答したら“×”ですね」とバッサリ切り捨てられてしまった。
「兵十がごんを撃ったことを後悔しているという指摘までは正しいのですが、その後悔の理由は、罪の償いのためにごんが栗を届けてくれていたことを知らずに撃ってしまたこと、ごんとは独りもの同士、話せば仲よくなれたかもしれなかったのに……という後悔です。
素直に読めばその考えにいきつくと思いますが、もっと文章の“テクニック”的な面から話すと、最後の『筒口から青いけむりが細く出ていた』という一文。ここが悲しみを現した表現になっています。
私が授業をしていたときも、この投稿した方と同じような感想を書いた生徒がいましたが、他の子の感想を聞いて考えを変えてくれていましたね」(30代・小学校教諭)
先生の言うことはもちろんわかる。しかし“多様性を尊重しよう”という考えが強いこの時代。読書の感想や考察を、一つの正解に導く方針は、今回のSNSの反論のように時代錯誤とも指摘されかねない。保護者から「これも正解だろ!」とクレームをつけられないのだろうか。
「物語文の読解ですと、作者がそこに言及している作品を国語の教材として扱うことが多く、『ごんぎつね』もそんな作品の一つで、明確な正解があると言えます。
また、『ごんぎつね』のように小4くらいの国語で扱う物語は、読解の仕方を学ぶ上での分かりやすい教材が重視されるために、結末を読者にゆだねるオープンエンドなものより、きちんと作者が答えを提示している物語が採用されています。
確かに読み方は人それぞれかもしれませんが、ある程度の定石を学ぶのが学校の授業です。そのため、子どもの間違った回答には否定はしないけど肯定もせず、正解に導くようにしています」(同・教諭)
時代が変わったとはいえ、国語の教育の仕方は今も昔も大きくは変わっていないようだ。
ただ一方で、先生の赤字コメントについては、「コンプラやハラスメントがうるさい時代なので、今の教師はこんな否定的なコメントは残さないと思います」とのことだ。
投稿者のいかさんに聞くと、このノートは25年ほど前のものであった。ただ、先生とは確かな信頼関係があったうえでのやりとりだったとも明かす。
「当時、私はやんちゃな小学生で、授業もいい加減だし宿題も忘れてばかりでした。これも元々は宿題をまとめて消化したやつなのですが、たぶん途中で飽きてふざけたのを見透かされたのかなあと思います。
『ちゃんとやればできる子なんだから、真面目にやりなさい』的なニュアンスもあった気がします」(いかそーめんさん)
いかさんは「あのときは先生、ごめんなさい」と語りながら、先生との思い出も話す。赤ペンでコメントをくれたのは、自分の母親よりも年上くらいの女性の先生。不真面目ないかさんのことを強く怒ることはせず、いつも穏やかに接していてくれていたという。
また、そのころ、いかさんの母親が妊娠していたのだが、お腹が大きくなっていく様子を先生に話したところ、「○○くんもお兄さんになるんだねえ」と親身になって聞いてくれていたことが印象に残っているそうだ。
SNS上では先生に対して批判の声が寄せられていたが、いかさんと先生との関係性を聞くと、イメージがガラッと変わる。また、いかさんは当時、国語が大好きだったとも語っている。
今回の投稿だけを見て、一方的に先生を叩いていた人こそ、読解力が足りていないのかもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部

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