享年68歳、真面目だった元会社員の夫が零した「衝撃の事実」に妻、戦慄。遺族年金8万円・貯金200万円で「一体どうやって生きていけば」

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いつかは別れが来るけれど、それはまだまだ先のこと。そう思っていても、突然別れが訪れるケースもあります。そんな時、相手の知られざる秘密を知り、窮地に陥ってしまったら……。そんなケースをご紹介します。
和田優子さん(仮名・66歳)は、大学生の時に2歳年上の夫と出会い、その後、2年間の会社員生活を送った後に寿退社。それ以降、時々アルバイトはしたものの多くの時間を専業主婦として過ごしてきました。
稼ぎのない優子さんは、毎月生活費を夫からもらって、その中でやりくり。夫がいくら稼いでいるのか、細かくは知りませんでした。とはいえ、夫は真面目で浪費癖もありません。また、20代から30代は収入が低かったものの、「若い2人だから大変だろう」と両親が援助してくれたこともあり、生活苦と感じたことはありませんでした。
優子さんも仕事をすれば生活に余裕がでる……それはわかっていましたが、優子さんは外で働くのが苦手でした。そのため、時々やる気を出してアルバイトを始めても、なかなか続きません。
夫も「贅沢しなければなんとかなるから」と理解を示し、夫の庇護のもとで家庭を守り、毎日の食事作りや子育てを中心にして生きてきたのでした。
優子さんが50歳の時には、子どもも独立。時間にかなり余裕ができたものの、今さら正社員として働くのはムリだろうと、そのまま専業主婦を続け、年金生活に突入しました。
一足先に年金生活に入っていた夫。退職金ももらっていたようだし、貯蓄もあるだろう。相変わらず、お金の事を夫に任せて暮らしていました。
ところが、ある日、夫の身体に異変が。検査の結果、進行性のがんの告知を受けたのです。動揺する優子さんでしたが、衝撃はそれだけではありませんでした。夫が「話していなかったことがある」と告げたのです。
それは優子さんが想像もしない事態でした。
「実は、お金がないんだ」

60代に入った頃、雇用継続で働くようになった夫は投資でお金を増やした同僚の話を聞き、「老後の足しになれば」と、退職金の一部を元手に投資を始めたそうです。
年齢的に、自分には積立をしている時間はないと短期売買で早くお金を増やそうと思ったのですが、儲かったのは最初だけ。少しずつ損失が増えていきます。
それでも、まだ取り戻せるチャンスがあると、FXにも手を出した結果、泥沼に。退職金・貯金など、老後資金として貯めていたお金の多くを失ってしまったのだと言います。
「話そうと思っていたんだけど、心配をかけたくなかった……すまない」
夫は夜な夜な取引のためにパソコンに向かっていたといいますが、そうした実情に気づくこともなかった優子さん。「自分は相談相手にもならなかったのか」というショックと共に、これまで無縁だったお金の不安にも囚われることになりました。
その後ほどなくして、夫は死去。その時点で、貯金の残りは200万円程度でした。
「それでも私の年金と夫の遺族年金がある」
そう思っていましたが、結果として、優子さん自身の年金は6万円強。夫の遺族年金は8万円強。合計14万円程度でした。
どうしてこんなに少ないのか、唖然とする優子さん。
実際には、1人に対して年金合計14万円程度ならばそれほど、少ないとはいえません。しかし、生活費、住宅ローンの支払い、これから増えるであろう医療費……。とても十分な額とは思えなかったという優子さん。
「私、仕事もほとんどしたことがないのに。どうやって生きていけばいいの?」
しかし、優子さんはラッキーでした。残っていたマイホームのローン返済が団信によって不要になったのです。
「この家を売ればなんとかなる」
結局、家を売って1Kのコンパクトな賃貸マンションに引っ越した優子さん。地方都市の一角、築30年で大きな現金収入とまではいきませんでしたが、それでも、優子さん1人が長生きしても暮らしていけるぐらいのお金にはなったといいます。

優子さんのように、夫に家計を任せていて、思わぬ家計の実態に驚くというケースは少なくありません。妻と夫が逆のパターンもしかりです。
養ってもらっているという立場だと思うと、お金の事をあれこれ聞けない……そんな気遣いもあるかもしれません。しかし、優子さんのように夫から「お金の心配はいらない」と言われていたなら、最低限、夫婦間でお金の状況を状況を共有しておくべきでしょう。
また、家計の大黒柱が亡くなったとき、想像以上に少なくて驚くケースが多いのが遺族年金です。
遺族年金には、国民年金の加入者が亡くなったときに遺族が受け取る「遺族基礎年金」と、会社員など厚生年金の加入者が亡くなったときに遺族基礎年金に上乗せで受け取る「遺族厚生年金」の2つがあります。
このうち遺族基礎年金は、18歳未満の子がいる配偶者または18歳未満の子どもが対象。優子さんのように子どもが成人しているケースでは対象外です。
また、遺族厚生年金は、妻と18歳未満の子どもが対象で、夫は妻が亡くなったときに55歳以上の場合のみ対象です。受け取れる額は、亡くなった人の老齢厚生年金に4分の3を掛けた額。年金額全体の4分の3ではない点に注意が必要です。
「相手が何とかしてくれる」「遺族年金があれば」このように考えていると、いざというときに困ることになるかもしれません。
優子さんも、もし家という財産がなければ、どうなっていたでしょうか。いつ何時、何があるかわからないのが人生ですから、夫婦でしっかりとお金について話し合いをしておくことが大切だといえそうです。

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