2005年にサンリオのマイメロディのライバルとして誕生した人気キャラクター・クロミだが、「誰がクロミの生みの親なのか」などを巡り裁判となっていた。
26日も多くの人でにぎわう東京・原宿の竹下通り。
女の子が提げていたバッグのキャラクターは、サンリオの人気キャラクター「クロミ」だ。2005年にマイメロディのライバルとして誕生したクロミは、黒いずきんとピンクのどくろがチャームポイントで、「ちょっと乱暴者」という悪役キャラだが、ダークな魅力で人気が爆発。
2024年のサンリオ人気キャラランキングでは、ハローキティやマイメロディを押さえて堂々の3位にランクインした。
今や海外にも名が知れ渡り、世界規模の人気者に。海外からの観光客も「私の孫はクロミが大好き。クロミがナンバーワン!」「ピンクと黒が好き。ドクロも大好き」と話す。
2025年に20周年のアニバーサリーイヤーを迎えたクロミだが、今、「誰がクロミの生みの親なのか」などを巡って裁判となっていたのだ。
「クロミをつくったのは誰か?それはうちの社員デザイナー。それをまず認めてもらう」と訴えるのは、アニメ制作会社「スタジオコメット」の茂垣弘道社長だ。
もともと、クロミは2005年にマイメロディがテレビアニメ化された際に誕生したキャラクター。
サンリオにアニメ化の承諾を得た企画会社らが立ち上げた制作委員会に参加し、アニメ制作の依頼を受けたのがスタジオコメットだった。
このアニメ制作過程で、マイメロディのライバルとして発案されたのがクロミだった。
スタジオコメットに所属するアニメーターが描いたという初期のデッサンをもとに、さまざまな意見を反映して誕生したというクロミについて、茂垣社長は「うちのデザイナーが生みの親だ」と主張している。
アニメ制作会社「スタジオコメット」茂垣弘道社長:これが最終的な完成形。名前をどうしようかと。(当初は)「ハラミ」「ウラミ」とかいろいろ。色が黒いし「クロミ」がいいと。我が子とは言わないけど、こんな素晴らしいキャラができたことは、うちの携わったスタッフを誇りに思う。
今も多くのアニメーターが作業を行う事務所の中は、クロミグッズでいっぱいだ。
ところが、2年前にサンリオが出版したクロミのファンブックでは、「クロミを作ったのはサンリオのデザイナーのYさん」との記述があったのだ。
アニメ制作会社「スタジオコメット」茂垣弘道社長:クロミの世界観含めて、全く我々が今までやってきたことを無視したものじゃないかと思う。
さらに、販売されたクロミグッズを見ると、タグの著作・発売元には「サンリオ」の表記しかない点などを問題視し、茂垣社長は、グッズの破棄やホームページでの謝罪広告の掲載などを求め訴えを起こした。
2024年9月、サンリオ側から「認識の齟齬(そご)についての話し合いやおわびをしたい」などと面談の申し出があったというが、茂垣社長は、「著作者が誰であるかをはっきりしてもらいたい」と話す。
裁判資料によると、生みの親についてサンリオ側は「実際に絵を描くことのみならず、総合的なプロデュースについても使われている」などと主張する。
ファーイースト国際特許事務所の平野泰弘弁理士は、著作物の“生みの親”を争う難しさについて、「これは難しいです。“生みの親は誰か”というのは、正直部外者は分からない。ですから、当事者同士でどんな約束があったか」と指摘する。
サンリオ側は「イット!」の取材に対し、「係争中の案件なので、詳細の回答は今の段階では控えさせていただきたい」と回答している。(「イット!」2月26日放送より)