立花孝志氏“漏洩情報”拡散問題で設立した第三者委員会と斎藤元彦兵庫県知事に「新たな疑惑」が浮上

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

兵庫県知事選を巡って持ち上がったさまざまな問題は年を越してもまだ解決する兆しは見えず、それどころかまた新たな問題が噴出している。
百条委員会のメンバーでもあった竹内英明元兵庫県議員が亡くなった直後に『NHKから国民を守る党』党首・立花孝志氏(57)が投稿した動画での、竹内氏に対する虚偽でもある誹謗中傷発言は、さすがに許せるものではない。
これを機会に“立花氏をこのままにしておいていいのか”という世間の声は大きくなり、オールドメディアといわれている、テレビや新聞は立花氏の発言を検証し始めている。
『報道特集』(TBS系)は2度にわたって、“立花問題”を報じているが、その中で、立花氏が発信した一連の“デマ”情報のソースとなっていた“文書”を立花氏に渡した人物が、百条委員会の副委員長でもある岸口実県議ではないかと報じていた。
同番組の取材に立花氏も認めたのだが、岸口氏が否定したために、二人の間でバトルが勃発。しかし2月19日に日本維新の会の岩谷良平幹事長が記者会見で、岸口県議が立花氏と面会したことを認めたうえで
「手渡したと言われても反論のしようがない」
と話したことを明らかにした。
立花氏が入手した怪文書は、斎藤元彦知事(47)を告発し亡くなった元県民局長のプライバシーにかかわる内容や、同じく亡くなった竹内元県議に対するデマ情報が記載されたものだが、そもそも何を目的として、そんな怪文書が作られ、立花氏が拡散する必要があったのか。
目的は一つ。立花氏も
「私のおかげで当選した」
と語っているように、斎藤知事を再選させるためであろう。
にもかかわらず、起きている問題の当事者でもあるはずの斎藤知事は、何を聞かれても“私は関係ない”“知らない”を貫き通している。
立花氏が入手した「元県民局長が使用していた公用パソコンのデータ」、「秘密会で行われた百条委員会の音声データ」について、これらは“県の内部情報の漏洩に当たるのではないか”ということで、斎藤知事は拡散している情報の内容などの調査を行うため兵庫県弁護士会に弁護士の推薦を依頼して、1月7日付けで第三者委員会を設置したと発表した。そして2024年度末までに報告をうけたいとしていた。
実は、この“第三者委員会”に対して、新たな疑惑が浮上している。
発表から1ヵ月が過ぎ、調査は進んでいるのかどうか、誰もが気になるところ。2月13日に行われた、定例会見でも、記者から第三者委員会に関する質問が出て、斎藤知事の発言が注視されたのだが、不可解な回答が繰り返された。
記者の質問は、おおむね、第三者委員会の座組みと調査方法、進捗についてだった。つまり委員会のメンバーはどのような人たちで、どういうプロセスで調査をしているのか。調査の進み具合はどうか、について尋ねたのだが、斎藤知事の答えは、
「メンバーとかを含めて調査の内容ややり方、手法については、現時点では非公表とさせていただいています」
だった。非公表とする理由は、
「法令を含めた内容に関するということ。結果によっては処分という人事にも関係すること」
だからという。それは県の情報公開条例に基づいて、人事管理に関する者は公開対象から外しているのだという。
実は情報漏洩に関する第三者委員会は2つ設置されている。1つは公用パソコンの中身を漏洩したのは誰か、ということで人事課に設置。
もう1つは、立花氏が入手し拡散した情報の漏洩に関して調査するため、県の法務文書課で設置したものなのだ。記者はそれらが、どういう枠組みで、どういう作業をしているのかと問うているだけなのだが……。
少なくとも、委員会のメンバーは公表してしかるべきではないだろうか。先の『文書問題』についても、兵庫県のホームページには要綱も含め、メンバーである5人の弁護士の名前が記されている。フジテレビもメンバーを公表し、3月末をめどに調査を進めていると発表しているではないか。
斎藤知事は
《調査、体制も含めて、どこまで公表できるか、今後検討する》
としていたが、調査結果については
「結果が出た後にしかるべきタイミングであったり、しかるべき状況になったときには、どのような形で、公表の仕方も含め検討していくということはあります」
と語っていた。なんだかよくわからない日本語だ。
在阪テレビ局の記者は、こう語る。
「こうまで隠されると、第三者委員会のメンバーは公平、中立の立場の人なのか、斎藤知事の息のかかった人たちじゃないかと疑いたくなります。もっと言えば第三者委員会が設置されているのかどうかも疑わしいです。ごまかし、ごまかしで問題が風化するのを待っているような気がしてなりません」
そしてここにきて、立花氏が入手した百条委員会の音声データについて、百条委員会の委員である増山誠県議がネット番組に出演し、自分が渡したと告白した。
兵庫県知事選で起きた前代未聞の出来事の“核心”に迫るためには、この情報漏洩について、徹底的に調査、検証する必要がある。おざなりの対応で世間が忘れることを待っているとしても、そうは問屋がおろさないだろう……。
取材・文:佐々木 博之(芸能ジャーナリスト)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。