航空機内で客室乗務員のエプロンを盗み窃盗の罪に問われているピアニストの齊藤一也被告(34=逮捕時)の公判が1月29日、東京地裁で開かれた。
起訴状などによると齊藤被告は昨年4月、石垣島行きのANA機のギャレー(旅客機内のキッチン)から客室乗務員のエプロンをズボンの中に入れて盗んだ疑いが持たれている。齊藤被告は起訴内容を認めている。
「齊藤被告は4歳からピアノをはじめ東京藝術大学に進学。その後、留学したパリ国立高等音楽院、ベルリン芸術大学を最優秀で卒業しました。数々の国際コンクールで入賞するなど実力派のピアニストで、留学先で知り合った弦楽器奏者の妻がいます」(音楽関係者)
気品を感じさせるセミロングヘアの齊藤被告は、ネイビーのスーツにドット柄のネクタイ姿で出廷。かなり緊張した様子でキレイに整えられた眉を神経質に動かしていた。この日は被告人質問が行われ、齊藤被告のエプロンに対する異常な愛が語られた。エプロンを盗んだ理由について問われると、
「私は服に対して異常な愛情があり、(服を)性的な対象と見る特性があります。(ギャレーで)エプロンが粗末に扱われることに恐怖を覚え、守りたいという思いから行動に至りました」
と、消え入りそうな小さな声で話した。弁護士からもっと大きな声でしゃべるように促されると、改めて、
「性的な行為に使う目的はありませんでした」
と否定。
「エプロンを救って、自分の手元に置いておきたかった」
理解しがたい主張を行った。そして、
「小学2、3年生の時に蘭ちゃんのエプロン姿の描写を見て、かわいいなと思って興味がわきました」
と、エプロンに興味を持つきっかけとなったのが、漫画『名探偵コナン』のキャラクターの毛利蘭だったと語っている。
その後、高校に進学し、一人暮らしが始まるとネット通販で女性用のエプロン、制服、浴衣、ドレスなどの収集を始めたそうだ。捜査関係者によると、自宅からは、これまでに53枚ものエプロンが見つかっているという。
初めて盗みを行ったのは、’19年、日本から留学先のドイツに向かうANA機だった。サービスを終えた客室乗務員のエプロンが、ギャレーに乱雑に置かれた状況を目撃した齊藤被告は、
「私はエプロンに人格があるように感じていたので助けを求めていると思い、盗りました。虐待から守ったと一種の正義感を感じた」
と述べている。
「齊藤被告は以前にも同様の犯罪を起こしており、前回の逮捕時には心療内科で対物性愛(生物ではない物に対して性的に惹かれるセクシャリティ)と診断されました。治療を受けていましたが、エプロンを助けることが正義なので治療を受けると助けることができなくなると思い、治療には積極的ではなかったと語っています。今回は執行猶予中の犯行でした」(全国紙司法担当記者)
そんなときにANAが制服のリニューアルを予告する動画をリリース。齊藤被告は、
「(以前のエプロンが処分されるので)リニューアルされることに恐怖を感じました。いち早くエプロンを救ってあげたいと思いANA機に頻繁に乗るようにしました」
と語った。盗みを重ねるうちに、
「愛着が湧き、性的な目的のために盗ることもありました」
と歪んだ感情も芽生えたという。「自慰行為が本来の目的だったのでは?」と疑いの目を向ける検察から自慰行為の方法を問われると、
「乱暴に扱ったり、汚したりはしていません。(エプロンを)枕元に置いて見ながらだったり、布に包まれたり(して行った)」
と説明。「陰茎を付けたことは?」と問われる「全くしていません」と語気を強めて否定し、感情を露わにする場面もあった。
齊藤被告は女性の体に一切の興奮を覚えることはなく、妻との間にも「性的関係はほとんどなかった」という。それでも、
「とても大切なパートナー。性愛はなくても愛していました。できれば関係を取り戻したい」
と訴えた。
「前回逮捕時の裁判では妻は情状証人として出廷し『見守っていく』と述べました。しかし今回は出廷していません」(全国紙記者)
愛している妻をまたも裏切ってしまった罪はあまりにも深い。