モーニングの名店「1700円朝食」が流石すぎた朝

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ベルギー発のパンチェーン、ル・パン・コティディアンのモーニング。ル・パン・コティディアン ブレックファストと、マンハッタン ブレックファスト(筆者撮影)
チェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんの連載「チェーン店最強のモーニングを探して」では、さまざまなチェーン店のモーニングをご紹介しています。
第109回、ご紹介するのは「ル・パン・コティディアン(Le Pain Quotidien)」です。
ひそかに飲食チェーンがしのぎを削っているジャンル、それがモーニングです。集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。
今回ご紹介するのは、ベルギー発のベーカリーカフェ「ル・パン・コティディアン」のモーニングです。
オーガニック小麦などの素材にこだわったパンは、おいしさに定評があり。特に店内で食べる朝食メニューは人気で、休日には長い行列ができています。
「ル・パン・コティディアン」は1990年に、ベルギーのブリュッセルに1号店をオープン。
【画像22枚】土日に早起きして食べに行きたい、ル・パン・コティディアンの「1700円モーニング」はこんな感じ!
それから35年、現在ではパリやロンドン、ニューヨークなど世界21カ国、220店舗にお店がある、世界を股にかけたグローバルなパンブランドとして成長を遂げました。
ル・パン・コティディアン芝公園店があるのは、東京タワーのほど近く、増上寺と芝公園に隣接する都会のオアシス的なエリア(筆者撮影)
日本では、2011年に東京プリンスホテルの敷地内に芝公園店がオープン。2025年現在、六本木の東京ミッドタウン、新宿の東京オペラシティと、都内に3店舗があります。
店名はフランス語で「デイリーブレッド(=日常の糧)」を意味しているのですが、テイクアウトでクロワッサンは税込291円、ブルーベリーマフィンは税込400円。
毎日食べるには価格設定はちょっとお高めで、日常的に食べるというよりは、わざわざ行って食べたいお店というイメージです。
『いつかティファニーで朝食を』でも紹介されたル・パン・コティディアンの朝食メニュー(筆者撮影)
特にモーニングが大人気で、ドラマ化もした人気マンガ『いつかティファニーで朝食を』にも登場しています。
筆者が利用している芝公園店は100席近い大型店であるにもかかわらず、朝はいつ行っても誰かしらが順番待ちをしていて、休日には店の外まで行列が延びていることもあるほどです。
「ル・パン・コティディアン」を、国内で運営しているのは株式会社スティルフーズ。
調べたところ、ほかにショコラ専門店「ル・ショコラ・アラン・デュカス」、モンブラン専門店「アンジェリーナ」や、イタリアンレストラン「BAROLO」など、23ブランド36店舗を展開し、ほとんどのお店が、デパートやホテル、アウトレットなどピカピカのお出かけスポットに居を構え、価格帯もお高め。
「せっかく来たから、贅沢しちゃおう」と、お財布の紐がゆるんだ人たちが食べたくなるような、おしゃれでおいしい店作りが得意なようです。
「ル・パン・コティディアン」の朝限定メニューは7種類。販売時間は開店から11時までです。
開店時間は店舗によって異なり、筆者が利用した芝公園店では、レストランのオープンは朝9時でした。
(筆者撮影)
(筆者撮影)
・ル・パン・コティディアン ブレックファスト 税込1180円・自家製アーモンドミルクのフレンチトースト 税込1200円・フラットブレッド ブレックファスト 税込1500円・ミニパンケーキ 税込1500円・ブレックファストボウル 税込1500円・マンハッタン ブレックファスト 税込1700円・ベルギーワッフル 税込850円
レストランエリア中央のカウンターテーブル。スプレッドやウォーターグラスはセルフサービスで(筆者撮影)
店内中央にある特大のカウンターテーブルに、ジャムとチョコレートクリームなどのスプレッド、ビネガーや塩こしょうなどの調味料が並んでおり、いずれも使い放題です。
4種類のパン用トッピング。ブルーベリー、ストロベリー、アプリコットのジャムと、チョコレートヘーゼルナッツのスプレッド(筆者撮影)
また、芝公園店はペットも利用可能なテラス席を併設していますが、こちらで飲食できるのはテイクアウトメニューだけで、レストランメニューをオーダーできるのは店内のみとなっています。
朝限定メニューで、最もお値段が高いのがこちら。マンハッタン ブレックファスト、税込1700円です。ドリンクはセットされていないため、別途注文が必要となります。
ル・パン・コティディアンのマンハッタン ブレックファスト1700円(筆者撮影)
これぞワンプレートの醍醐味。大きな丸いお皿に美しく並んだパンやサラダ、スモークサーモンは、彩りも美しく、食べる前から目に楽しい。セット内容は以下となっています。
・スモークサーモン・フレッシュハーブ入りリコッタチーズ・コリアンダー入りメスクランサラダ・半熟ゆで卵・オーガニック小麦のブレッド
食べて驚くのがそのおいしさです。
料理法や調味料といった、料理の過程ではなく、素材そのものがおいしい。ちょこっと添えられた、ハーブのひとかけらまでちゃんとおいしい。凝った料理はひとつもないけれど、それぞれの食材が厳選され、ベストな状態で目の前に並びます。
シンプルな田舎パンを、オーガニックのジャムでいただきます(筆者撮影)
オーガニック小麦のブレッドは、バケットとカンパーニュ、ライ麦のノルディックブレッドの3種類でした。
どれも小麦の味がしっかりして、噛めば噛むほど口の中に旨みが広がる、素朴だけど上質なパンです。
ノルディックブレッドは、ジャムをのせてパクリ。オーガニックのジャムは、甘さ控えめの優しい味わいで、多めにつけても、しつこさナシ。
バケットにはリコッタチーズをたっぷりのせて(筆者撮影)
大きめのココットにたっぷり入ったリコッタチーズには、イタリアンパセリのみじん切りが入っていました。ミルク風味のヨーグルトスフレのような、甘味と酸味が混じり合うさっぱりした味わいです。
バケットにたっぷり塗って食べると、もったりしたクリーミーな舌触りと、バリバリしたパンの食感のコントラストが楽しめます。
旨みが凝縮したスモークサーモンに、レボンを搾って酸味をプラス(筆者撮影)
明るいオレンジ色が目に鮮やかなスモークサーモンの上には、ハーブのディルと青ネギがトッピングされ、横にくし形にカットされたレモンが添えられています。
燻製されることで水分が飛んで身が締まるので旨みが凝縮されますし、燻煙の芳香は魚特有の臭みを抑えてくれます。鮭はお刺身や塩焼きが苦手な人でもスモークサーモンは好きという人も多いのではないでしょうか。
カンパーニュにサラダとスモークサーモンと半熟ゆで卵。全部のせオープンサンドは、贅沢な味わいです(筆者撮影)
メスクランサラダとは、葉野菜だけのサラダのことだそう。ベビーリーフを使用した青々と若く柔らかいグリーンサラダには、コリアンダー(パクチー)やハーブがミックスされ、香りが良く深い味わい。
カンパーニュの上に、メスクランサラダとスモークサーモンとゆで卵をのせれば、即席オープンサンドの完成です。
3種類のプレーンなパンを、さまざまな味付けでちょっとずつ楽しむ、大満足の朝ごはんとなりました。
増上寺の隣、東京プリンスホテルの敷地のはじっこにポツンと佇む「ル・パン・コティディアン」芝公園店。
東京タワーという観光スポットに隣接していながら、店の正面には芝公園の豊かな緑が広がり、東京の中心地なのに、避暑地のようなムードを醸し出しています。
温かみのあるナチュラルな雰囲気の店内(筆者撮影)
平日朝9時半に到着した時点で、店内はすでに満席。
パンのクオリティはもちろんのこと、都心ならではのアクセスの良さと、写真映えする内装に加え、もともと「ル・パン・コティディアン」が世界的な知名度を持つベーカリーチェーンということもあり「並んででも食べたい」と思っている人がたくさんいるようで、30分ほど待ってから席に案内されました。
大きな窓からのぞく、東京プリンスホテルの美しい庭。東京タワーが見える席もあるようです(筆者撮影)
一歩店に足を踏み入れると、そこはまるでジブリの世界。パンを並べる什器や、床材・建具、テーブルやいすのすべてが、無垢材で造作されており、木肌のぬくもりを感じる空間です。
西洋風の鎧戸がついた、大きな窓からの風景は、プリンスホテルの庭を望み、まるで森の中の隠れ家です。
客層は女性のグループや、家族連れ、インバウンド旅行者などが主で、ラフなファッションの人がほとんど。それぞれが食事と会話を楽しみ、さまざまな言語が混じり合うさざめきを心地よいBGMに、パンを頬張る朝です。
編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。
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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)

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