5カ月前、隣の建物の解体工事によって老舗ビアホールが破壊される事故がありました。その後を取材すると、賠償に時間がかかり、トラブルが長期化していることが分かりました。
ビアホールの夏場の書き入れ時だった去年7月。壁は無残に崩れ落ち、天井の梁(はり)もはね飛ばされました。店内からは、青空が見えます。
4カ月後、隣はすっかり空き地となりましたが、被害を受けた店を訪ねてみると、事故の衝撃で柱には大きな亀裂が入っています。
店は500人分もの予約のキャンセルに追い込まれ、1000万円の売り上げが消えてなくなりました。
事故を起こしたのは、隣のビルを解体していた業者でしたが、事態はさらに深刻になっていました。隣の解体が終わらなければ、店の復旧工事に入れないのですが…。
500万円以上かかる大規模な解体工事を行う場合、2021年以降は行政の許可が必要になりました。今回の解体工事は「許可」が必要な規模だったのか、解体を発注した建設会社側は取材に対して「事故原因など詳細は回答を控える」とコメントしています。
事故以前の画像を見ると、解体していたビルとビアホールの建物の間に隙間はほとんどありません。専門家は、工事で使用していた重機に疑問を持ちました。
さらに、ビアホール側を苦しめたのは資金繰りです。
ビアホールの損害は解体業者側が入っていた保険で補償される予定ですが、一時金として入ってきたのは工事費の1割程度のみです。
従業員の人件費や店を維持する固定費も保険で賄われるはずですが、いつ、いくら支払われるのかいまだ決まらず、店側が立て替えている状態です。
そのため、クラウドファンディングを実施し、500万円の寄付が集まりました。
近年、高度経済成長期につくられた建築物が老朽化し、解体工事の需要が増加。現場での事故も度々、起きています。
福島県会津若松市では足場が倒れて、向かいの建物に直撃。100年以上の歴史がある文化財のため、調査に時間がかかり、今も完全には修復できていません。
解体事故の賠償を巡っては、補償対象が多岐にわたるため支払いに時間がかかるケースがあるといいます。
トラブルを防ぐ方法はあるのでしょうか。
(「グッド!モーニング」2025年1月9日放送分より)