新年を迎え、天皇陛下は「希望を持って歩んでいくことのできる年となることを祈ります」と文書で感想を寄せられました。
宮内庁を通じて寄せられた文書の中で、陛下は能登半島地震など自然災害のほか、物価の上昇なども案じ「お互いを思いやり、支え合いながら、様々な困難を乗り越えていくことができるよう願っています」と記されました。
また、戦後80年の節目にあたり、「終戦以来、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられた」とする一方で、「現在も戦争や紛争により、世界各地で多くの人の命が失われていることに深い悲しみを覚えます」「平和な世界を築いていくために、人々がお互いの違いを認め合い、共に手を携えて力を合わせて協力していくことの大切さを感じます」と平和への強い願いを綴られました。
その上で「新しい年が、我が国と世界の人々にとって、希望を持って歩んでいくことのできる年となることを祈ります」と結ばれました。
宮内庁が公開した新年の映像で、両陛下と愛子さまは、能登半島地震や豪雨の被災地・石川県輪島市に伝わる伝統芸能「御陣乗太鼓」のお面とばちをご覧になっています。
両陛下はそれぞれ学生時代に能登半島を旅行した際や、去年やおととしに出席した「国民文化祭」などで、「御陣乗太鼓」を鑑賞されています。
旅行や公務で思い出のある能登半島が、地震で甚大な被害を受け、復興に向かうさなかに豪雨にも見舞われたことに両陛下は深く心を痛め、去年3回現地を見舞われました。
愛子さまも去年9月に地震の被災地への訪問が予定されていましたが、直前に豪雨が発生し、取り止められました。
お面などは、新年用の映像を撮影するにあたり、輪島の保存会から借りたもので、側近によりますと、陛下が太鼓の由来などを説明され、愛子さまはお面を手に取り「りりしい表情ですね」などと話されていたということです。
去年2月の陛下の誕生日の映像も、輪島塗などの伝統工芸品と共に撮影されていて、天皇ご一家は、地震の発生から1年を迎えるにあたり、改めて一日も早く安心して生活できる日が訪れ、復興が一歩一歩進んでいくことを願う思いを映像を通して示されました。
今回の映像は、年末に愛子さまがインフルエンザに感染したことから、5日間の療養を終えた後の12月29日に撮影されました。
また、上皇ご夫妻、秋篠宮ご一家もそれぞれお住まいで撮影された映像が公開されました。
皇居ではきょう、両陛下が新年の挨拶を受けられる「新年祝賀の儀」が行われ、愛子さまもティアラを着用し、出席される予定です。
筑波大学への進学が決まった秋篠宮家の長男・悠仁さまは、成年式を行っていないため、儀式には出席せず、両陛下や上皇ご夫妻に新年の挨拶をされます。