東日本大震災の津波で両親と子ども2人を失った男性は、2021年3月、東京五輪の聖火リレーでトーチを掲げて笑顔で走った。精いっぱい生きている姿を天国の家族に届けるために。
【写真を見る】娘ほど年の離れた女性への不同意性交容疑で逮捕となった上野氏
それから3年半余り。聖火ランナーの手は後ろに回っていた――。この事実が明るみに出たのは、12月3日の読売新聞社会面に載った小さな記事だった。
〈復興団体代表 性的暴行疑い 南相馬で有志活動〉
記事は、福島県南相馬市を拠点に復興活動を行うボランティア団体「福興浜団(ふっこうはまだん)」の上野敬幸(たかゆき)代表(51)が、知人女性への性的暴行の疑いで逮捕、起訴されていたことを伝えている。
「上野被告は顔も名前も地元で知れ渡っているだけに、衝撃的でした」
と、福島県内の民放記者。
「今年7月、群馬県太田市のホテルで20代半ばの知人女性に性的暴行を加えたとして、群馬県警が10月に不同意性交容疑で逮捕。そして11月、前橋地検が不同意性交罪で前橋地裁に起訴していたのです。女性は8月に被害届を出し、一方の上野被告は、逮捕時に“合意のうえだった”と容疑を否認したといいます」
わいせつ事案を理由に地検は概要を明らかにしておらず、事件の詳細は来年1月末の初公判まで待つほかない。だとしても、妻と震災後に生まれた子どもがいる上野被告がなぜ、群馬で娘ほど年の離れた女性と関係を持つに至ったのか。
上野被告の知人が重い口を開く。
「上野はもともと農協職員でした。震災後は親御さんの農業を継ぎ、被災地ににぎわいを取り戻そうと、仲間とボランティア団体を結成した。それが福興浜団です」
以来十数年、福興浜団は菜の花の巨大迷路や震災の犠牲者を追悼する花火大会などを企画してきた。
「菜の花の迷路は来場者が年に1万人を超すほどの人気スポットになりました。ほかにも上野は自身の体験を伝えるため、各地で講演もしてきた。こうした活動が多くのメディアに取り上げられ、ドキュメンタリー映画や本にもなっています。それらを見て興味を持ったボランティア参加者も次第に増えました」
上野被告が関係した女性も何度か手伝いに来ていたという。
「女性はジャーナリスト志望と話していたそうです。上野は、女性に“太田市にいるアーティストに取材するから”との名目で誘われて現地へと赴きました。そこではアーティスト関係者などと宴席になり、彼女と上野とで3次会を、となった。ホテルの上野の部屋でサシ飲みした末に関係を持ったわけです。私には同意の有無は分かりませんが」
南相馬市内で会社を経営する年配男性が語る。
「彼が被災地のために尽くしてきた功績は計り知れません。だからこそ、ちゃらちゃらした身なりをしたり、復興支援関係者かボランティアか分からないけど、奇抜な格好をした人たちとつるまないでほしい。その様子に眉をひそめる年寄りもいるんです。ましてや今回のような女性問題など言語道断。天国のご家族に顔向けできないじゃないですか」
震災後の歳月を共に重ね、聖火リレーを見守ってくれた妻と子にも、だ。
「週刊新潮」2024年12月19日号 掲載