結婚相談所の婚活では「複数交際OK」という点が恋愛とは違うところです。
就活とも似て、婚活では最終的に一人に絞るまでは全員に「あなたが一番」という言動を取ります。婚活の場合ではこれらを理解した上で活動することが大切です。
関西の大手企業に技術職として勤める年収600万円の33歳男性、坂下達夫さんは、非モテな彼には不釣り合いと思えるような「可愛い」女性との結婚を夢見ていました。
しかし、相談所に入る前は婚活に苦戦していましたが、結婚相談所に登録後、橋本沙織さんという28歳の女性に一目ぼれしお見合いを成功させます。
デートを数回重ね、達夫さんは彼女との結婚しか考えられなくなり、他の人との婚活を止めてしまったのです。その甲斐もあってか、交際は3ヵ月ほど続きプロポーズの準備を始めてしまいます。
数回のデートを経て、達夫さんと沙織さんは旅行に行くことになったそうです。
唐突に、沙織さんのほうから「2人でどこか旅行に行きませんか?」と言われたといいます。部屋は別でと言われたものの、達夫さんは二つ返事でOK。
これを上手に決めれば結婚の決め手になるはずと考えた彼は、旅行に関わる全て費用を出すことを約束しつつ、入念な旅行計画を練りました。
(※日本仲人協会では問題ないが、婚前旅行を禁止している連盟や相談所もある点に注意)
旅行当日、普段のデートとはまた違った、ラフな姿で彼女は登場。達夫さんは改めて気合を入れ、彼女の荷物を持ちいつも以上に沙織さんに気を遣います。
旅館に到着し彼女の望みのままに観光地を巡り、名物を食べお土産を買ったといいます。
沙織さんは心なしか、いつもより買い物などで多くねだったようでした。しかし、旅行の解放感から気にせず、そのすべてを叶えたそうです。
そうして二日目は、二人は観光をしたうえでランチを取り、帰りの電車に乗り込みました。
緊張感が切れた達夫さんは少し寝入ってしまい、いつのまにか最寄り駅に着き、最後は笑顔でお礼を言われそれぞれ別々の家に帰ったといいます。旅行の成功を確信した達夫さんは「次はいよいよプロポーズだ!」と心を躍らせていたそうです。
その2日後、彼女からラインが入ります。追加のお礼かなと思って内容を確認すると、衝撃の言葉が目に飛び込んできます。
メールに書かれていたのは「今後は交際できない」の言葉。
達夫さんは訳が分からず返信しようとしたものの、すでにブロックされていました。
あまりに突然の出来事に、彼は茫然とするばかりでした。達夫さんは結婚相談所に相談することにしました。
アドバイザーを介して連絡したところ、どうにか沙織さんとの電話が繋がり、ライン内容の真意を聞くことができました。
要約すると、彼女が達夫さんとの交際を断った理由は、職場の上司から告白されていたからだといいます。その上司の年齢は達夫さんと同年代で、年収も達夫さんより高く、容姿も沙織さんの好みだったそうで、その上司を結婚相手に決めたと話しました。
曰く、達夫さんとの交際も順調だったのは確かだったそうですが、最後にテストとして旅行して自分の気持ちを確認したかったとのことでした。
これを聞いた達夫さんは狂ったように涙を流しながら彼女を責め立てたそうです。断られた悲しみ、テストと称して気持ちをもてあそばれた憎しみ、高額な旅費を全額出させた怒り、とめどなく負の感情が沸き上がったといいます。
話し合いが行われたのは結婚相談所の電話の中。最終的に彼はアドバイザーに諭され、最後は彼女と和解して電話を切りました。
しかし、ダメージは絶大だったようで彼はその後うつ状態になり、しばらくは仕事にも支障が出たそうです。また本件がトラウマになり強い女性不信に陥り、改めて婚活することもできなくなったといいます。
「本当に女性は怖いですね。なんで平然と、あんなことができるんでしょう。なんで堂々と、あんなことが言えるんでしょう。元々、私は女性から見向きされることはありませんでしたが、あれはあんまりです」と嘆くばかりでした。
この事例は、男性視点ではかなりショックな結末でした。
モテない男性ほど笑顔を向けられただけで勘違いすることがあり、今回もそのパターンの一つと言えます。達夫さんも沙織さんから普通に接してもらえて嬉しく舞い上がってしまったのでしょう。
しかし、一般的な恋愛を介さない婚活では最終的に誰を選ぶかは互いに自由であり、結末は成婚退会するまで分かりません。
最終的に自分が選ばれなくても、相手を責められないものです。また、結婚相談所における「交際」は真剣交際でなければ、複数交際も自由。
この基本的な話がアタマから抜けてしまうと今回のようなことが起きてしまいます。まずはアドバイザーのような、冷静な第三者の指摘を注意深く聞き冷静な判断をしていくべきです。
女性視点で見ると、最後の断り方や旅費負担に関しては多少の問題を含んでいるものの、おおむね適切な動きだったと言えます。複数の可能性を同時並行で進めていくことは婚活の基本です。
男女関係なくこの事実を受け入れ、上手く婚活が進むことを祈ります。
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