困った行動はなぜ? 誰に相談する? 治療すればよくなる? この先どうなる?
イラスト図解で基礎からわかるADHD入門書『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』より、連載形式でADHDの「今」をご紹介します。今回は、「子どもがADHDかもしれない」と思ったら相談する場所、就学前にやっておくことなどを解説します。
子育てをしていくなかで「ADHDかもしれない」と不安に思っても、すぐに医療機関を探すことはありません。家庭で気になる行動があっても、すべてADHDによるものとは限らないからです。
まずは保育園や幼稚園、学校の先生に相談してみましょう。
先生は、家庭とは違い、集団のなかでの子どもの様子をよく知っています。また、多くの子どもと接してきたキャリアのなかで、発達障害を含む、さまざまな子どものタイプも把握しているでしょう。そのため、親が不安に感じる我が子の行動が“ふつうの範囲なのか、そうではないのか”を見立てる力をもっていると考えられます。個人面談などの際に、先生と情報を共有し、気がかりなことを話してみてください。
先生から集団生活上の困難を伝えられるケースや、健診で見つかるケースもあります。
(1)親が気づいた場合
家庭での様子だけでは判断できないので、先生などに相談を。多くの子どもを見てきた経験から、わかることもたくさんあります。
■先生にどう相談する?
園や学校での様子を聞く
家での様子を話す
困りごとを話してみる
集団生活で問題なく過ごせているか聞く
■園や学校の先生の意見を聞く
園や学校での様子を教えてもらい、先生の意見を聞く。また家での困りごとや不安を相談し、情報を共有する。学校のスクールカウンセラーに相談するのもよい
(2)先生が気づいた場合
先生が気づいた場合は、親に園や学校での困難を伝えたり、実際に授業などを見に来てもらったりして、共通理解を深めることが大事です。
■保護者にどう伝える?
家での様子を教えてもらう
園・学校での様子を伝える
状況を客観的に伝える
親や子どもを責めない
いきなり「障害があるのでは」などと切り出さない
親が気づいていないときは、園・学校での様子を見に来てもらう
(3)健診で見つかった場合
健診では、医師や保健師が医学的な観点から問診などをおこないます。ADHDの疑いがあれば、専門家への受診がすすめられます。
ADHDに対する支援は少しずつ広がっており、さまざまな公的相談窓口があります。ひとりで悩むことはありません。専門家といっしょに、適切な環境や対応を探っていきましょう。
最初の相談先としては、園や学校の先生がおすすめですが、園や学校でのトラブルが続いたり、先生には相談しづらかったりするケースもあるでしょう。
そんなときでも、どうかひとりで悩みを抱え込まないでください。園や学校以外にも相談窓口は広がっています。自治体の福祉課や保健センター、発達障害者支援センターなどで、専門知識をもった職員が相談に応じています。保護者だけでも相談できますし、子ども本人が困りごとを自覚しているようなら、いっしょに相談することもできます。事前に電話で問いあわせておくとスムーズです。
(1)ひとりで悩まずに相談先を広げる
トラブルが続くと、親も子どももつらいもの。専門家に話をすることで見通しがたてば、気持ちも軽くなります。
■こんなときは専門家に相談を
トラブルを何回も起こしている
先生から対応が難しく困っていると言われた
本人も困りごとを自覚している
(2)電話相談できる所もある
基本的に相談は無料で、来所相談以外に電話相談を受けつけているところもあります。詳しくは各窓口に問いあわせを。
発達障害の子どもの就学先としては、通常学級や特別支援学級、特別支援学校などがあります。ADHDの子どもは、ほとんどが通常学級に就学します。困りごとが生じたときは、そのうえで合理的配慮を受けることができます。
子どもが小学校に上がるときは、事前に候補の学校を見学し、面談しておくとよいでしょう。また、現在受けているサポートが途切れないよう注意が必要です。
保護者と園・学校の関係者は子どもを支える一つのチームです。互いに理解を深め、よりよい支援態勢をつくっていきましょう。
(1)就学前相談で心配ごとや希望を伝える
保護者が申し出れば、教育委員会の「就学前相談」が受けられます。就学先や支援の引き継ぎなどで不安なことがあれば、相談窓口に問いあわせてみましょう。
まず面談で、就学先の希望や心配ごとを伝えます。その後、発達検査や行動観察などの結果をもとに就学支援委員会(教育関係者、医師、心理相談員、特別支援学校の教員などで構成される)が審議し、就学先や支援に関する助言をしてくれることになります。
(2)就学までの流れ
ADHDの子どもにとって、就学は大きな環境の変化となります。就学までの流れを知り、準備していきましょう。
続きは<ADHD理解不足が招く二次障害の危険性。「ADHDの子はいじめられやすい」データも…【自尊感情を測るチェックリスト付】>にて公開中。
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